170516 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

LOGOS OF LUPRIA

LOGOS OF LUPRIA

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

lupria

lupria

Favorite Blog

スピリチュアリズム… km_spiritさん
病院大好き委員会!? monkey77さん
ふにふに歩こう ふにふにかめゆきさん
薔薇 de ゆるるん★心… リリ:さん
魔法学校より愛をこ… sayurin★魔法学校★エンジェルベルさん

Comments

lupria@ Re[1]:第15回YOSAKOIソーラン祭り 開幕へ(06/06) hide@GOGO'Sさん  あら、見られてまし…
hide@GOGO'S@ Re:第15回YOSAKOIソーラン祭り 開幕へ(06/06) 今年は踊り子だったのですね。大通で衣装…
松田@ ランキングサイトご参加のお願い 突然のコメントで失礼いたします。 携帯…
santa7188@ Re:言葉を超えて伝えるもの 「エア」(02/24) おはよー真・キクト伝説読むの大変なので…
santa7188@ Re:第15回YOSAKOIソーラン祭り 開幕へ(06/06) こんばんはーYOSAKOIソーラン祭り始っての…

Freepage List

2006/02/24
XML
カテゴリ:舞台&YOSAKOI
 一度に一万文字しか入らないので二つに分けて掲載する。



 現代において詩人が勝手に名付けた名で、「キクト」と呼ばれた彼等は特に人から隠れることもなかったが、人に積極的に接触を求めることもなく、彼等の周りに人が集まっても特に何かを自分達から説いたりすることもなかった。迫害と弾圧の歴史の中で、人々を扇動するようなことは結局自分達の活動を脅かすことになることを知っていたからだ。自分達が御光を守り、仕えることで、御光の祝福が人にも場所にも与えられ、希望が甦ることをただ広めていった。
 しかし、彼等が長の郷里に入った時は状況が変わってきた。人々は御光の出現と共にそれぞれの内面の課題に直面するようになっていった。御光が再び聖なる玉に近づいたことによって、新たな意志を表し始めていたのだ。ウレイはただ家を守ろうと必死で働いてきただけの人生から恋の喜びを求めていた自分の心に。ウサイはがむしゃらに妹を守ってきたのにその妹も自分からある意味巣立とうとしている事への苛立ちと、そして父とあの現象そのものを恨み続けていた自分の心に。詩人は厭世的な詩ばかり読んでいたのに本当は希望を求めていた自分の心に。ヘリオは力を奪われることによって、全てが自分の思うがままになるかのように慢心していた自分の心に。ミルメは夫との関係の中で我慢していた本当にやりたい事への渇望に。ヌレオはなんでも無理矢理自分の考えを押しつけて妻をコントロールしようとしていた自分の心に。そしてザムザは自らの邪悪さに・・・
 これこそが一族の中に伝承されてきた『真澄の鏡』の出現だった。しかし、この時、長自身もこのことには気付いてはいなかった。預言は成就に向けて確実に動き始めていたのだが。

 やがてザムザが人々を扇動してキクトのところへ向かう。長を見つけ、自ら復讐を焚き付けたウサイに長を殺させようとする。長は内心動揺はあったが、愛するわが子ウサイに刃を向けられるならそれも仕方がないと感じていた。自分の行為の結果により、自分の妻であり彼等の母を奪ってしまったことに変わりはないのだから。しかし同時にウサイに人を殺すという罪も決して犯させたくはなかった。真っ直ぐにウサイの目を見つめ、彼はただ心を開いた。ウサイはこの時本当に自分の心を見つめ、刃を向けるべきはザムザであることに気付いた。しかし、詩人がそれを止めに入る。
 その時、聖なる玉を持ってウレイが駆けつけた。彼女もまた一族の直系の血筋。巫女としての資質があり、天界の母から「誰かを護らなければならない時、命懸けでこれを使いなさい」と夢の中で教わっていた。いつも唱え続けていた「ツカズソワズニネガワジュ」は彼女をアリアの呪文が使えるまでに霊的に成長させていたし、「大切な人を守る為」に彼女はそれを使うことにためらうことはなかった。もう決して自分の愛する人を失いたくなかったから。だが、長にとってそれはさらなる悲劇となる。彼は叫んだ。
「ウレイ、やめろ!」
 しかし、ウレイにとって大好きな優しい父を、大切な兄を、愛する詩人を救えるのは今自分しかいないんだと感じていた。うろたえるザムザの前でウレイは玉を掲げて言った。
 「アリア!」
 眩い閃光の中にザムザは消滅した。だが、同時にウレイは命を落とす。
長はまたしても目の前で最愛の娘を失った。『また護れなかった・・・』その思いの中で彼は泣き崩れた。そしてこの悲しみの極みの中で、自分が本当に大切にしなくてはならなかったのは、自分の心に真っ直ぐに向かいあい、一番大切な家族を素直に愛することだった事を悟る。それぞれにとって相対から相補へのパラダイムシフトの時が来た。彼は今こそ“最後の言葉”を使う時である時を知った。
 自分の迷いから結局ウレイに呪文を使わせてしまったウサイは、父を憎んでいた自分の愚かさを知った。しかし、ウレイはもう帰ってこない。長はウサイの悲しみを見つめたあと、涙を拭い自分の左腕のバングルを外し、愛する娘ウレイの腕に嵌めた。そして、玉を持ち、立ち上がって仲間達の前に歩み寄った。皆の顔を見つめ、最後に旅に加わった女性の前に彼は立った。彼女は長と同じ直系の血筋を引き、幼き頃より御光の教えの中に生きてきた人であり、巫女として傑出した能力を持っていた。後を託せるのは彼女しかいない。長は右腕のバングルを外し、彼女の手を取り腕に嵌めてしっかりと手を握った。哀しみを超えて、無言でじっと瞳を見つめあっていた。彼女はこれから何が起きようとしているのかを感じていた。長が二度と戻らないことも。
 それは長にとっても特別に辛い別れだった。その彼女は、長が妻を失って12年目にして初めて再び本気で愛することの出来た女性だったのだ。しかし、長がその想いを彼女に告げることは最後までなかった。妻への感謝の想いもあるが、妻は許してくれるだろうと感じていた。しかし、何よりも子ども達にこれ以上の悲痛を与えることは、どんな事があっても彼自身許すことは出来なかった。
 意を決した長はウレイの傍に戻り、玉を置いてその前に座った。そして真っ直ぐに前を見つめた後、最後に視線をウサイの横にいる人物に向けた。それは成長したヘリオだった。かつて一時期ではあっても我が子のように接し、一族の教えも伝えた子。その子が占い師として様々な慢心、挫折、苦悩を経て、今真実に目覚め、自分の力を光の道に使おうと変わり始めていることを長は感じていた。町の人々のことは彼女が導いてくれる。万感の想いを込め彼女に向けてうなずいた。ヘリオもまた今何が起きようとしているのかを強く感じていた。
 彼は深く玉に向け額ずいた。そして合掌し祈り始める。

 「大いなる御光よ、あなたはその至上の愛にて我らを導き、護り、限りなき恵みを与え続けました。しかし人はあなたとの繋がりを忘れ、闇を纏い、我欲のままに生きて数知れぬ艱難辛苦を生みだしてきました。今、時満ちて我らは真澄の鏡の前に立ち、それぞれの隠された本質に出会っています。願わくば、我ら一人一人が逃げることなく真実の自分に向かい合い、その怖れを超えて再びあなたと繋がり、希望と歓喜の光に浴することを許し給え。」
 彼は印を組むと、こう唱えた
「エドム・エル・アヒム・サヴァートヅー・アドム」
それは光の扉を開く秘密中の秘密の呪文。彼は天を仰ぎ、再び御光の意識と合一すると共に、御光の権威と力を自らの中に召還した。

 「大地の精霊、水の精霊、炎の精霊、風の精霊よ。今こそ、光の御名に於いて命ぜん!我を社となし、聖なる光を人々に繋げ、我が残り火をこの子に託せ!」 
 精霊の力を合わせ、彼は自らの体の中にエネルギーを集約させる。
「ハァァァァァーッ!」
 自らの体をエネルギー変圧器となし、限界まで耐える中で彼は一瞬、父の顔に戻ってウレイを見つめ、そして呟いた。
 「ウレイ・・・ありがとう」

 “最後の言葉”を使う時が来たのだ。
 「光よ甦れ! ドゥール・イー・ウルラ!!」
 凄まじいエネルギーが彼を貫き、閃光と共に彼は全ての力を解き放った。

 光が弱まっていく中で、長はその場に崩れ落ちた。彼は駆け寄るウサイを微笑みを以て見つめ、最後に残った力でウレイに手を伸ばし、その額に手を触れた。長が息を引き取ると同時にウレイに命の灯火が再び灯った。
 ウレイは一瞬何が起こったのかわからなかった。しかし、傍には救おうと思った父が倒れていた。そして、彼女には何故かその時父の声が聞こえた気がした。
「ウレイ、父さんはいつもお前と共にいる」
 ウレイは遠くの空が不思議に輝いていることに気付いた。それが今まで自分が見ることの出来なかった御光なのだと気付くと同時に、全ての人の目に映っていることを感じた。そして彼女の心には詩人のあの詩が響いてきた。

「心と 心を込めて創るものとの間に
創られたものと それを見る人との間に
見た人と 感じる心との間に
コトバがある」

 ヘリオは自分がこれから何をすべきなのかを気付いていた。力は甦った。人々の羅針盤となるために。そして詩人に声を掛けた。
「今です」
「え?」
「これは創作ではありません。力は戻りました」
「・・・・・」
「大丈夫、あなたの言葉は伝わります」
「あれが、エアです」

 その時を境に、人々は自分達の心の内との和解を得て、誰もがエアと呼ばれる御光を見て感じることができるようになった。エアは人々の希望の集合意識に神の力が直接顕現したもの。それを見、それに触れる者に希望を与え、幸福を生み出す。信じ、一歩前に踏み出す者に夢を実現させる力を与えるのだ。長は自らが社となり、最終的に御光と人々とを繋ぎ、預言を成就させたのだった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006/02/24 08:37:02 AM
[舞台&YOSAKOI] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X