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LOGOS OF LUPRIA

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santa7188@ Re:言葉を超えて伝えるもの 「エア」(02/24) おはよー真・キクト伝説読むの大変なので…
santa7188@ Re:第15回YOSAKOIソーラン祭り 開幕へ(06/06) こんばんはーYOSAKOIソーラン祭り始っての…

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2006/02/24
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カテゴリ:舞台&YOSAKOI
 ついに「エア」公演まであと一日となった。5か月を掛けて創り上げてきた舞台がいま目前にある。誰も見たことのないU字型巨大スクリーンが客席まで包む異空間の中で、私達が言葉を超えて何を伝えることが出来るのか? その挑戦がいよいよ始まる。
 私が演じる役は謎の光を守り続けてきた一族の長。そして主人公ウレイの父親。その視点から書いた「キクト伝説」を以前にここで一部公開したが、その後全面的に書き直したものを今ここに全文掲載することにした。ただし、この文章を書き上げた直後に脚本は大幅に変更になったので、細部の設定はかなり異なるし、結末も違っている。そしてこれは物語の表面に出てこない裏の物語を中心に書いているので、これと同じ内容を舞台に期待するとガッカリすることになると思う。
 ストーリーの骨格はほとんど変わらないので、これから実際の舞台を見てくださる方々は、舞台を見てからこの先を読むことをお勧めする。ネタばれになるし、私はかなり自分で演出して書いているので、たぶんあなたの想像力の方が勝ってしまうだろう。舞台を見に来られない方に私達が創り上げてきた想いを知って頂きたい。何人かのキャストはこの裏ストーリーを心の中に感じつつこの舞台に立ってくれている。
 さあ、光の中に進み出る時は来た。



   真・キクト伝説
    光導きし鏡

 その者達は神代の古代より御光を守り、御光に仕える特別な部族だった。ウサイとウレイの父は、この部族の古代よりの長の直系子孫から続く末裔として生まれ、生まれた時から「御光と人々とを繋ぐ社となる」と預言されていた。しかし、その部族そのものはすっかりかつての栄華を失い、その文化も衰退して一般社会の中に紛れて暮らしており、御光や教えについても僅かな伝承があるだけで、彼等がその一族の血脈として社会の表面に出てくることはほとんどなかった。伝説に残る御光はもう長い間出現することはなく、彼等の宗教的な行為も御光が出現しなくなってから迫害を受けるようになり、地下に潜って伝承されている程度だった。
 彼の妻となった者も、同じ血筋の系統にある家から選ばれ、この夫婦は世が世なら王と王妃とも言える過去から連綿と続く長の系譜であり、一族の象徴であった。また、彼女には巫女としての優れた資質があった。それゆえ子ども達に呪文を授け、先祖からの教えを伝えていた。しかし、長は与えられた大きな使命とは裏腹に幼い頃からごく普通の子であり、さしたるカリスマ性もなく、預言を完全に信じてもいなかった。長と言っても今の時代に大きな実権はなく、ただその血筋にあることを教えられただけで、ごく普通の暮らしをしていて自分がそのようなさだめにあることを信じ難かった。しかし、一族の象徴として様々な儀式のために彼は長期間家を空けることが多く、生活は妻が小さな印刷工場を切り盛りしてなんとか暮らしていた。
 子ども達も大きくなりウサイが小学校6年生、ウレイが小学校2年生の頃、彼は伝説の御光が復活したとの噂を聞くようになり、やがてかつて聞かされた使命を思い出し、それが真実なのかどうかを確かめる為に同じ部族の者達と連れだって旅に出ることにした。そして約3か月の探索の旅の後、ついに、ある山中でその伝説の御光に出会う。その光は触れる者に幸福感を与え、希望を甦らせる力を有しているようだった。御光は自ら意志を持っているようで、彼等を導くように移動し、彼等は山中深い鍾乳洞へ辿り着いた。その奥に入っていくと、ある場所で御光が一閃し、土砂に埋もれた別な洞窟の入口が彼等に示された。彼等が入口を掘り起こし中に入ると、そこには驚愕すべき異文明の痕跡があった。数万年、もっと前だろうか、弥生でも縄文でもなく、巨石に刻まれた文字は見たこともないものだった。だが、明らかに現代に近い器などがあり、恐らくはつい100~200年くらい前までは、儀式の場として使われてきたことが感じられた。そして、洞窟の奥には小さな円柱形の石棺があり、それを開けると美しい玉があった。
 長がその玉を手にすると玉は急に光り出し、今まで彼等を導いてきた光の意識そのものが突然長の心の中に入ってきて合一した。そしてその玉が歩んだ過去の歴史と光の意志を一瞬にして感じ取った。彼の先祖の系譜はずっとこの御光とそれへ繋がる鍵のようなものである聖なる玉を守り続けてきたのだった。
 一週間ほど彼等はこの洞窟の中に留まり、長は毎日瞑想してこの場所に刻まれた様々な文字の意味を知ることになる。そこには様々な警告があり、また数々の秘密の言葉があった。だがその遭遇以後も彼自身に大きな力が与えられたわけではなく、同じ部族の中で霊能力に於いて大きな力を発揮し、弁も立つ同族のザムザが旅の中で次第に影響力を高めていた。ザムザは人々の心を読み、予言を行い、演説をふるって多くの仲間達に支持された。やがて自分は全ての点で長よりも上であり、自分が全ての力を伝承すべきであると思うようになっていった。
 だが、唯一つ大きく違ったのは、ザムザは御光を見ることは出来ても御光の意志に直接接触する力はなく、もちろん光と一体となることもできなかった。長は部族の中でただ1人、御光の“意識”に直接触れることができたのであり、御光の本当の意味・正体を知っているのは長だけだった。
 野心を抱いたザムザは仲間を集めて謀反を起こす。御光と通信する為の手段であり、聖なる力を閉じこめた玉を奪い、一族の伝承の中にある御光の大いなる力の一部である、“想いを現実化させる力”を持って全ての頂点に立とうとした。
 長はその部族の長い迫害の歴史の中で、一族が自分達の身を守るために伝承されていた武術の達人ではあったが、武器を持ち大人数で不意をついたザムザ達に襲われ、為す術もなく危うく命を落としかけた。しかし、ボロボロになりながらも4ヶ月振りに自宅に逃げ帰った。追ってきたザムザ達は彼の家に迫る。家族に危機が迫ったと知った時、妻は聖なる玉を手にし、意を決して古くからの教えの中にあった伝説の破邪の呪文「アリア」に力を与えた。この呪文によって召還される光は邪悪なものを滅する力があると言われていた。そして自己犠牲を伴うとも伝えられていたが、聖なる玉と共にしか働かない呪文であり、無論今まで誰も使ったこともなく、使ったのを見たことがある者も当然いなかった。邪悪さに支配されていたザムザはこの呪文によって危うく死にかけたが、持って生まれた霊能力の強さからなんとか生きながらえた。そして呪文を使った妻は御光の御許へ帰っていった。
 長もまさかこの呪文が術者の命すら奪うとは思っていなかった。長にとって妻は最愛の人であるばかりではなく、何よりも一族の長としての自分の役割・使命についての唯一の理解者であり、力のない自分をいつも支え続けてくれた魂の片割れのようなもの、それを失った痛みはたとえようもなく、彼は全てが終わったかのように感じた。御光と人々とを繋ぐ社となると言われたことは何だったのか? 自分にはそんな力などなかった。しかし、光の意志を彼は直接知っている。そこから離れることはもはやできなかった。
 我が子ウサイには「人殺し!」と恨まれ、彼はどうしたらいいかわからなかった。やがて、このまま自分がここにいれば再び子ども達に危害が及ぶ可能性があるので、彼は子ども達を残して再び御光に仕える旅に出ることにした。しかし、それは実は表面的な理由だった。彼は使命に自分の逃げ道を求めたのだ。癒しようもない悲痛、愛する息子からの恨み、自分の無力さ、彼にはそれを超えてそこに留まる事はできなかった。光と共にあることが自らの使命だと逃げるしかなかった。聖なる玉は自宅に隠し、自分が御光と共にあればザムザ達の目は自分に向けられると考え、御光の導くままに再び旅に出た。
 精神的にも肉体的にも傷つき果てた彼は、光の導きによって旧知の呪術師の老婆の家を訪ねた。しばらくの間そこに身を隠し、傷を癒す事にしたのだ。その家には老婆の孫である小学生の娘がいた。名をヘリオと言い、まだ幼いが人の心を読み、未来を感じる力を持っていた。長にとっては息子と同じくらいの年代であり、僅かな期間ではあったが、彼女をとても可愛がった。
 12年の時が経ち、ウサイとウレイは自分達だけで印刷工場を切り盛りし、御光の噂も途絶えていた。だが、長はその間に御光に導かれ、少しずつかつての部族の末裔や、遠い過去に過去生として光を護る一族を生きた仲間を捜し出し、共に旅を続けていた。ある者は旅の最初の頃に光に導かれて長に出会い、幼い頃から教わってきた一族の教えを新しい仲間達に分かち合い、実務的なことを一手に取り仕切って来た。人の見えないものが見え、人の聞こえないものが聞こえるが故にいじめられ、居場所を失って山中を彷徨っているうちにこの仲間達に出会い、受け入れられて共に旅をするようになった者。教えや儀式に興味があり、それを学びたくて旅に加わった者。人の感じられないことが感じられる特殊な能力から自分の生きる道を探し、やがてここに辿り着いた者。生まれた家に、御光と聖なる玉についての古文書があり、長と同じ正統な一族の教えによって巫女として育てられ、光の導きによってこの旅を続ける仲間達を知り、自ら最後に加わった恐らくは長と同じ血統を引く者。様々な過去を持ち、様々な個性を持つ仲間達であったが、彼等はもともと普通の社会で暮らす一般の人間であり、それぞれに特殊な異能はあるものの、普通の人と同じように感情もあり、悩みもすれば苦しみもする。
 彼等は御光を守り、讃える儀式を続けていった。それは旅をする場所や人に霊的な祝福を与えるものである。だが、かつての弾圧や迫害の記憶から、人々に見つけられても特に自分達から交流は持たず、御光の教えを説き回ることもなかった。縁あって導かれてきた者は受け入れてきたが、彼等はただ無限の恵みの源である御光に純粋に感謝を捧げ、人々に幸福と希望が広がるように祈っていた。御光の恩恵を受けた人々は彼等を神の使者として歓迎し、宿や食事を提供してもてなした。
 御光は意志を持って彼等を様々な場所に導く。やがて、12年の時を経て、長は自分の郷里に導かれた。だが、子ども達に会いに行く勇気もなく、森の中で密かに御光と共に儀式を行っていた。
 一方ザムザも彼等を捜して各地を旅して歩いていた。しかし、人々の前にあからさまに御光が出現することはそれまでにはなく、長達を見つけることはできなかった。だが、ある日とうとう彼等を見つけてしまう。ザムザは玉の力を利用したかったが、再び12年前と同じ事が起こることをひどく恐れてもいた。それゆえ慎重に周りの人間を利用することを考えていた。
 長はずっとひとつのことを考えていた。かつて一族の老予言者から聞かされた「悲しみの極みと悟りが出会う時、“最後の言葉”を使え、その時人々は真澄の鏡を超えて御光に直接触れるようになる」という言葉を。そして「その言葉を使う時は、お前自身が御光に帰還する時だ」とも言われていた。
妻が亡くなったのは最大の悲しみの極みだったが、そこに如何なる悟りも得られはしなかった。彼は予言者から言い渡された言葉の意味が掴めず、困惑していた。



 投稿順序を逆にしてこの下に続きを読めるようにした。一つ前の日記をご覧頂きたい。





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Last updated  2006/02/24 08:38:53 AM
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