どこでもドアを開かなかった彼、同じようにどこでもドアを開かないであろう私
書評/小山薫「もったいない主義」3.5点/5点もったいない主義楽天ブックス小山氏の本を読んだのは「考えないヒント」以来2冊目。私が小山氏を知ったのは関東ローカルで放送されていた「アイデアの鍵貸します」という番組にて。「アイデアの鍵貸します」という番組を作っていたのが小山氏だったのです。放送作家として「カノッサの屈辱」「料理の鉄人」、最近では「おくりびと」での脚本家としても有名な方です。そんな小山氏が書いたこの本の趣旨は<「もったいない」に気づくと、どんなアイデアは生まれるのか?」(p16)という事。小山氏の様々な実体験に基づき「もったいないに気づくと、どんなアイデアは生まれるのか?」について話が続いていく。私がいちばん興味深かったのは小山氏の発想は「COPS(コップス)」という能力に優れているから生まれてくるという分析結果です。COPSとは「一見何の関連性のない、別々のものを引き合わせることによって、新たな価値を創造する能力」(p138)の事なのだそうです。僕の脳は何かをキャッチしたいという欲求が人よりとても強くて、情報をさらにたくさんつかもうと思っているから、常に外に対してアンテナを立てている。自分の中に「これ、面白い」と思っているものがたくさんあるから、いろいろな情報が来たとき瞬時に、「これとこれがくっついたら面白い」と引き合わせる作業を無意識のうちにしているのだそうです。自分の中では今まで「なんか面白いな」という情報を「アイデアの種」と称していて、「発芽しなくてもいいからアイデアの種を拾っておく」というように表現していたので、この分析は腑に落ちた感じがしました。(p138~139)僕が意外なものどうしを結びつけることができるのは、いろいろなジャンルの仕事をしてきたからだと思います。(p139)COPSの話や上記引用辺りは(小山氏の)アイデアのもとを知りたい方には結構参考になるかもしれません。私が小山氏が色々書いた経験談の中でいちばん気になったのは実はいちばん最後に出てきた「彼」のエピソードです。<「どこでもドア」を開けなかった彼>というエピソードで紹介されています。日比谷線に乗っていると30歳くらいのサラリーマンが本田直之さんの「レバレッジ勉強法」という本を読んでいた。その数ヶ月前に小山さんは本田さんとメールのやり取りをしていた。だから小山さんは意を決しその彼に「すいません、実はその本を書いたのは僕の友人で、もしその人に会いたかったのだったら、僕がつないであげますよ。良かったら僕にメールをください」と言って名刺を渡した。彼はきょとんとした顔で名刺をもらったが結局メールは来なかった。その彼は勉強法の本を読むくらい(しかもただ読むのではなく「赤ペンで重要な所に線を引きつつ、付箋も横と縦につけながら」読んでいた)だから向上心はある。でもメールは来なかった。もらった名刺から小山さんのことを調べれば「恐らく本田さんと面識があるのは事実だろう」と推察できたはずなのに。私も本田さんのレバレッジシリーズは結構読んでいます。そんな私が小山さんに同じように声をかけられ名刺を渡されたらどうするだろうか?彼と同じようにどこでもドアのドアを開けないような気がします。そう、私はいくじなしだから。考えないヒントレバレッジ時間術図解レバレッジ勉強法レバレッジ勉強法