妙にくっきり覚えています。
中学生だったある日。
叔父がわたしに「お前キライじゃ。あっち行け」って言いました。
ヤレヤレです。
私はぷぅっとふてくされたものの
叔父は毎年一番高額のお年玉をくれるので
それはありがたく受け取り、
あとは冠婚葬祭で会っても
できるだけ近寄らないようにしていました。
『まあ、親戚とはいえ相性とか好き嫌いってあるよね。それをハッキリ口にするこの叔父さんって、大人としてどうなのよ?』とは思っていましたが。
あれから30年たった今
その叔父から電話がかかってきて
その件を誠心誠意謝ってくれました。
原因は、叔父の連れてきたお嫁さんに対して「◯◯子さん」となれなれしく呼びかけていたからだったそうです。「子供のくせに生意気な。これだけ年齢差もあるのに礼儀をわきまえないヤツだ」と考えたらしいです。
今聞いても私にはピンとこない理由ですが。
叔父は、最初の会話で私が「おばさん」と呼び、「いや~っ、私まだ若いのよ。◯◯子さんって呼んでよ」と言われたのを聞いていなかったのでした。
ひょんなことからその事実を知って、私に生まれて初めて電話をくれたんですね。
「誤解だった。傷つけて申し訳なかった。本当に嫌いだとか可愛くないとか思っていたわけではなかった」
昭和の男って、本当に口下手で不器用ですね。
「おい、叔母さんと呼びなさい」って一言注意すれば済むハナシでしょ?
そして30年もの間そのことを覚えていて苦しかったのはむしろ叔父さんのほうだったんじゃないかなぁ。死ぬ前に誤解がとけて、良かった良かった。
こんど里帰りしたら会いにいくよ。おじちゃん。◯◯子さん。そして、私の一番若いいとこたち。