aroma accessory mikoma

アロマと自然療法の学際的専門誌『aromatopia83号』
特集：植物の香りシリーズ1 カモミールの香りと効用
（フレグランスジャーナル社刊）7/25に発売されました。

ハーブ・アロマの入門植物として名高いカモミールについて
各方面の専門家の方々が執筆されています。

aroma accessory mikoma主宰による連載
「aroma romantique-香りの文芸散策-第14回」では
「普く匂へ天なる園-宮澤賢治の清らかな感官-」」
と題しまして宮澤賢治について述べております。

宮沢賢治と同時代に生きた白樺派の文学者
武者小路実篤が提唱した「新しい村」という活動があります。
「お互いに助け合う生活。他人を不幸にさせないで
自分が幸福になれる。否、他人が幸福でないと自分が
幸福になれない生活」
賢治はこれに感銘を受け「世界ぜんたいが幸福にならない
うちは個人の幸福はあり得ない」と、
理想郷、イーハトーヴォを夢想していました。

そんな賢治の作品群は、生命の尊厳、環境問題、
現在、人が生きていく上で改めて考えねばならない
問題を多く含んでいます。
宮澤賢治が自分の存在を「現象」と表現する時、
彼の中で 、人間は、食物連鎖の頂点に立つ驕り
高ぶった存在ではなく、人間も食物連鎖の中の
一存在に過ぎない、自然世界を構成する一要素に
すぎない、ゆえに、全ての生命あるものへ尊厳を
抱かねばならないとの思いが込められているのだ
と思います。

賢治の設計した花壇に「涙ぐむ眼」（Tearful eye）
と題されたものがあります。
白眼の部分にはBrachycom(ブラキコーメ・ヒメコスモス属の白花)、
黒眼の部分にはBrachycom(ブラキコーメ・ヒメコスモス属の藍花)、
中央の瞳の部分にはPansy（濃い色）、まつ毛の部分はSilver poplar
（銀ドロ）もしくはコキア（ホウキグサ）と推測されています。
そして、花壇の両端 の水甕（Water vase）に
Nymphus（エンフェア・ヒツジグサ科）、睡蓮を浮かべます。
この「眼」というのは「目」を指すとともに「眼差し」を
意味するのではないでしょうか。
この眼差しは、きっと、賢治が目指していた
「四次元」の理想郷を映していたのでしょう。
そして、その涙は、浄化された美しい世界との邂逅に
思わず知らず溢れ出た清らかな水となって、
心の飢えや渇きを癒すことでしょう。

写真：第14回のイメージ写真です。

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