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ずっと翻訳の仕事が忙しくて日記を書かないままだが、オスカーの印象だけは毎年書いているの少し残しておこうと思う。
--司会のエレン・デジェネレスは、日本人にはなじみがないだろうけど、こちらでは結構有名なコメディエンヌだ。彼女がまだカミングアウトする前に「Ellen」(1994-1998)という主演のシットコムがABCで放映されていて、当時テレビッ子だった私は毎週見ていた。今49歳のエレンは当時三十代半ばで、いかにもWASPという金髪に青い目の長身短髪女性。ボーイッシュでコミカル、美形なのにサバサバと女くさくなくて、ルシル・ボール系フィジカルで軽妙なタイプ。女性のコメディアンというと黒人やユダヤ系、ウッピーとか、どこかエスニックでくせのある人が多い中、彼女はいかにも「オールアメリカン」、全国的に人気がでそうな、万人向きのキャラに見えた。 その彼女がレズであることを番組で公表したのが97-98年頃だったろうか。当時人気のあった映画女優、やはり金髪のアン・ヘッチが三年越しの彼女だったと思う。ヘッチはその頃、メジャーな映画で主演とかしていたので、かなり勇気のある人だなと思った。(女優のポーシャ・デ・ロッシが今の彼女)しかし、「Ellen」はやはりバッシングを受けて番組は打ち切りに終わった。ニューヨークやカリフォルニアならともかく、保守的な大多数のアメリカ視聴者には受け入れるのは無理だったようだし、レスビアンが主役では、お茶の間向けのコメディのプロットを作るのも難しかったのだろう。 その頃、ロージー・オダンネルというコメディエンヌもレズでカムアウトして有名だったが、彼女もカムアウトする前の万人向けの人気は失ったように思う。 それから長くテレビを見ない暮らしをしていたので、オスカーの司会で久々に見たわけだが、エレンはあまり変わってなかった。フェイスリフトでシワ取りをしたのか、少し皮膚がつっぱっている感じくらいで、体型も声も変わってなかった。 彼女の司会は一言でいうと「チャーム」を全面に押し出したような雰囲気だったと思う。レズとかゲイかいう生々しい印象のない、政治的なきわどい発言や、一部を怒らせるような問題発言もなく、ひたすら、出場者の緊張をほぐそうと、親切で気配りに満ちた世話係に徹していたように思う。だから、私のような目の肥えた視聴者から見ると、物足りなかった。スピルバーグやスコセッシー、イーストウッド、ゴアとのやり取りなど、まるであどけない少女が年配の男性に甘えているようにも見えた。ユニセックスな白いスーツ、化粧気のない短髪、くったくのない笑顔が、身構えずに相手の心を開かせるのは才能だと思うし、この年令の白人女性としてはピーターパン的な爽やかさもある。でもやっぱり軽過ぎた。万人向けの良い人、というのは退屈で、やはり私はピリッとした毒や影のある人が好きなんだと思う。 最近映画を見ていないので何ともいえないが、オスカーも昔見たような華やかさ、圧倒されるようなエンターテイメント、という印象が薄れて、どこにでもある映画の授賞式みたいにしか見えない。 昨年同様に受賞したスターにも華がないし、プレセンターもどこにでもいる人みたいに地味に感じた。私自身が変わったのだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年03月01日 05時19分45秒
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