Things about other countries

（2ヶ月近く間が開いてしまったが、覚えているうちに書いておきたい。）

「到着まで」

ＮＹの自宅を朝３時に出て、タクシーで空港へ。早朝6時の国内便で出発。アトランタで成田行きの国際便に乗り換える。飛行機、それも国際線に乗るのは8年ぶりだった。最後に乗ったのは2001年初頭、ヨーロッパに行った時だ。911以降、テロのために警備がたいへんだと聞いていたが、出国はゲートをくぐるときに靴を脱ぐくらいで比較的簡単だった。15時間の飛行で10時間は寝ていたように思う。座席の周りにいるのは春休みで卒業旅行のシーズンなのか、若い日本人学生さんのグループが多かった。美味しいとはお世辞にも言えない機内食をもりもり食べている。21歳の自分が日航機で始めて海外に出た頃を思い出した。あの頃はＣＡでなくスチュワーデスと言い、花形職だったけに若い美人揃いだった。今回のデルタは４0－50代女性が主力のようで、こんな疲れる空中立ち仕事を中年になってやるのはさぞ大変だろうと感慨。かつては天井から降りてきたテレビも座席に各自あって自分で選んで見られるようになっている。

6日朝に出て、アトランタ経由で成田に着いたのが翌日7日の午後3時頃だった。入国で当然のように日本人の列につく。日本での滞在先にホテルの住所を書いたせいか、入国係官には「仕事で来たの？」と親戚の小父さんのような親しみのこもった様子で一言聞かれただけだった。バックパック一つの小さい荷物も調べられない。ああ、私はまだ日本人なんだと実感する。この、人と人の距離感のなさ、昔からの知り合いのような馴れ合った空気。永住権をとって15年になるが、万が一アメリカに帰化していたらここで外国人入国者の列につき、ビザやら滞在日数とか、もっとややこしい手続きをすることになるのだろう。ロビーに出てからＴＣのドルを円にして池袋行きリムジンバスのチケットを買う。ここまでですでに、日本人の丁寧さ、若いのに折り目正しい売店や空港の人々の応対に感動していた。手にした日本円のお札の人物はすべて初対面。500円玉というのを使ったのも初めてだった。空港外に出てベンチに座り、日本の初春の空気を吸った。3月初旬の日本はまだ寒い。ＮＹの芯が凍えるような寒さでなく、日は照っていて小寒い感じ。小春日和というのか。

高速が渋滞していたせいか、成田から池袋のホテルに着いたのが2時間後だった。そこまででもう大小のビルが無秩序に建ち並び、細い道や大通りやら無尽に果てしなく延々と続いていく東京の広さに呆然とした。ようやく辿り着いたホテルは外人専門というわけではないが、外人ハウスも併営しているだけに客は外人が多い。スタッフは日本人ばかりだった。その夜、食事のあと、いつしか部屋のテレビに釘付けなってしまった。ＢＳ放送でアカデミー賞をやっているではないか。ちょうど見逃して悔しかっただけに日本語訳入りのをじっくりと見てしまった。さらに見たいと思っていたドレスデン歌劇団の訪日公演「ばらの騎士」もやっていた。大学時代にコンサートに行ったことのある「チューリップ」の解散コンサートのドキュメンタリーも見た。ネットで見ていた占い師やお笑い芸能人のバラエティーショーとか、もう深夜まで日本のテレビに釘付けだった。ＮＹでは全くというほどテレビを見ないのだが、パソコンが手元にないこともあってテレビをさんざんエンジョイしてしまった。