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2008年05月28日
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「東京での一週間(4)」


15年ぶりの日本の印象は、以前よりずっと空いているように思った。東京と大阪しか行かなかったが、大きな建物が増えているせいか、少子化で若者が減っているせいか、駅の構内でも人が少なくなっているように感じた。そしてゴミが落ちてなかった。くずかごが全て、可燃ゴミ、不燃ゴミ、ビンと缶というように区分けされていた。というか、区分けなしに全部一緒くたに捨てられるような大きなくずかごは、駅にも道端にもビルの中にもなくなっていた。日本人はいつのまに、ここまでエコロジー精神に富む人種になったのか。もともとそうだったのが90年代半ば以降、徹底されたのだろうか。さっぱりとサイニタイズされたような街には、染みついたような臭いもなく、昔、新宿や池袋の地下道でよく見たようなズタ袋を抱えた浮浪者もいなかった。若い女性が一人歩きできないような、怖いおどろおどろしさみたいなものが、盛り場から消えていた。

私が東京に住んでた70年代後半ー86年頃、都心はまだゴミゴミしていた。つばを公道ではいたり立ちションをしたり、酔っぱらってホームや車内で大声で歌ったり、ゲロをまき散らしたり、ゴミを公道で捨てて平気な人(特に中年以上の男性)が結構いた。たばこはどこでも吸えたし、レストランも飲み屋も喫茶店も煙だらけだった。道に吸いガラポイ捨ては法律違反ではなく当たり前のようにみんながやっていた(当時、シンガポールでは吸いガラポイ捨ては罰金だという話を聞いてジョークかと思った)。私の大学時代の女友達は喫煙家揃いで、大学の授業の合間にも教室でも寮でもモクモク吸っていた。今や欧米では喫煙者は忌み嫌われ、もうカフェでもレストランでもバーでも、駅や建物内でも吸えなくなっている。日本ではまだ喫煙者天国かと思っていたら、やはり欧米化の波はここにも来ているようだった。ただし、日本ではJR駅のホームの隅っこに喫煙コーナーを設けていた。西新宿のデパート前のバス停の一角にも喫煙コーナーがあって、人々が数人集まって無言で黙々と吸っているのを見た。新宿東口に芝居を見に行ったとき、ある喫茶店に入ると、そこは全面的に喫煙フリーだった。さすが日本は違うと思った。でも愛煙家で満員でいたたまれずにすぐに出てしまった。

一週間の東京滞在中、メールのチェックは時間350円ほどのネットカフェでやっていた。アメリカにはない、この薄い壁で区切られた個室のネットカフェというものに行ったのも初めてだった。確かに若者が一晩夜明かしするのに十分快適な椅子と娯楽を保証された場所だと思った。漫画はたくさんあるし食べ物や飲み物も売っている、テレビも見られる。しかも深夜料金は安い。今も昔も日本では電車が24時間営業でなく、深夜を過ぎるとタクシー以外に交通手段がなくなる。私が東京にいた20年前、終電を逃した時は深夜喫茶で夜明かししたりしたものだが、今のネットカフェの方が一人になれてずっと居心地がよさそうだった。失業してアパート代を払えず、「ネットカフェ難民」になる若者たちが多くいる話も聞いた。池袋駅前にはその他にも、手頃に夜明かしできるカプセルホテルやサウナがいくつかあった。一泊5000円以下の低料金の和風旅館(ラブホテルでない、風呂場が共同)もあった。東京という街は、場所にこだわらなければ一人で安全に泊まるところには不自由しないようだ。ネットカフェのある同じビルには、やはり時間350円ほどのカラオケボックスもあった。低価格でお一人様が「プチ楽しみ」の時間を過ごすのに、日本は選択肢には困らないなと思った。駅周辺の大小の雑居ビルの中に数限りない飲食店があり、袋小路のような小さい通りの赤提灯や牛丼屋、表通りの洒落た店まで、あらゆる種類の食べ物の選択は数限りなくあった。昔ながらの安い立ち食いソバ屋、回転寿司、お総菜をパック詰めで売っている弁当屋もあり、私が行ったときはいつも勤め帰りのような男性客がたくさんいた(女性客は少なかった)。食べ物もまた、味や外見にこだわらなければ低価格での供給にまったく不自由しないようだ。

不動産屋の入った駅前ビルの表玄関にワンルームアパートの広告看板があった。見てみるとなんとユニットバス付きで一ヶ月6万円からあり、20年前の私の都心のアパート代とさほど変わっていなかった。日本の家賃はここ20年間停滞しているのだろうか? 100円の缶コーヒーが120~150円と、物価自体は全体に多少は上がっているようだが、店先に出ている飲食店求人の時給は「800円~」と20年前と200円ほどしか変わっていないようだ。一部のインターネットや金融関係が暴利しているだけで、裾野の労働者は一向に楽な暮らしをしていない、生活費に見合った給料を得ておらず、慎ましい生活を強いられているのだろうか。それでも広尾や恵比寿、外苑前の不動産価格を見ると、NY並とまでいかなくてもかなりのお値段だった。でもそういう洒落た街でも、少し駅から離れると今でもフロなしの木造アパートや、昔ながらの商店街が存在するから、街に惚れた若者が安く暮らすことも不可能ではないのだろう。でも、ロケーションによって物価の差は確実にあるようで、外苑前の通りに面したペットショップでダックスの子犬が「55万円」という超高値で売られているのにも出くわした。その価格で売られているということは、それを買う人が存在するということだろう。





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最終更新日  2008年06月05日 02時10分07秒



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