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2008年12月08日
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部屋をロックアウトされてトイレに籠もっていた黒人のおばさんだが、とうとう5ヶ月目に突入し、未だにトイレに籠もっている。2週間ほど前、朝の8時から大きな怒鳴り声が聞こえるので目を覚ますと、部屋の外でおばさんとここのビルの工事管理者であるスコという老人が大声でどなり合って居るのが分かった。このスコというのは南米からの移民だと思うが、ここのオーナーである大家のジェイの第一子分のような男で、10年ほど前にあった追い出し作戦はすべてこのスコの考えたことではないかと私たちは思っている。鬼瓦のような赤い顔の老人で、とにかく朝が早い。私がジムに行くので夏など6時に玄関を出ると、外にスコが立っていたりする。ハラスメントのあったこのビルの改修工事中など、朝の8時前から大音響で電動工具などを鳴り響かせていた。
スコは当然、私たちが大嫌いで、特にこの黒人のおばさんを嫌っている。だからおばさんが朝早くからトイレから出てきたのを見たスコの怒鳴り声は凄まじかった。「あんたはレントを払ってない」「あんたはここにいる資格がない」「仕事もない、身分証明書もない」「トイレに籠もるなんてとんでもない」。対するおばさんも口が達者だから負けていない。「仕事はある」「市のケースワーカーが居住権があるといった」「あんたは私をハラスメントしてる。訴えてやる」。ここでおばさんは仲良しのアジア人の女の子に「あんたが証人になってくれるわね、この男が私にハラスメントをしたの、見たわね」と叫ぶ。この調子でビル中に響き渡るような怒鳴り声の応酬が30分近くも続いていた。
その後、おばさんが相変わらずトイレに住んで居る様子を見ると、どうやらスコは諦めたのだろうか。おばさんは相変わらず夜中にトイレから出てきて、共同キッチンで紙袋に山のような古新聞紙を詰め込んではトイレに運んでいる。新聞紙を何に使うのか、風呂桶に重ねてベッドにしているのだろうか。一度、彼女がいないときにトイレのドアが開いていて中を見ると、便器の便座が引きちぎられたようになっていた。
おばさんは夜中以外にもビルのマネージャーが4時に帰宅したあと、外に出ていくこともある。どうやらマネージャー意外のドアマンは見て見ぬふりをしているらしい。というか、誰も関わりになりたくないようで、おばさんはこのままトイレで暮らしていくことになりそうな予感もする。
問題は公共のバスルームに籠もっているから、他の住人が使えないことで、総計4つのうち、すでに一つをおばさんの件で数年前にロックアウトされ、一つをおばさんが住み、残るは2つしかない。そのうちの一つは隣接した部屋に住む70代の気の触れたおばあさんが自分のもののように使っているので他の住人は使えない。とにかく、そのバスルームを使って髪の毛一本でも残そうものなら、そのお婆さんは「ビッチ」「ピッグ」と顔面で浴びせるといわれている。となると、残りの一つ、ずっと奥の廊下の突き当たりにあるバスルームを残りの複数の住人で使うことになる。
これはかなりのストレスで、これもまた、形を変えたジェイのハラスメントではないかと住人たちは噂しているところだ。





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最終更新日  2008年12月08日 15時02分17秒



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