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2008年12月22日
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さて、お洒落なアッパーウエスト、川沿いの「リバーサイドテラス」という一見ゴージャスな名前のホテルのトイレに住む黒人のおばさんだが、半年近い今でもまだ籠もっている。昼間はトイレのファンをオンにしてひたすら籠もり、夜になると外に出てきて、今ではかなり自由に館内をうろついている。どうやら管理側としても手のだしようがないらしい。部屋には戻したくないが、外に追い出すまでには関わりたくないということか。

一時期はずいぶん痩せてげっそりしていたおばさんだが、今は妙にウキウキとした顔で声高に笑いながらそこら中の住人に「マネージャーはあきらめたらしい。おかしいったらありゃしない」話をしている。元々がホームレスのようなおばさんだから、トイレに新聞紙を積み上げて寝るくらいはまったく平気という雰囲気だ。夜中にはもっぱらフロアにある共同キッチンで料理をしながらオープンで暖をとっているようだ。キッチンは夜になるといつもそのおばさんがいる。それでも状況が気になるらしく、警戒するように、廊下を通りがかる人間を一人一人キッチンから顔をのぞかせてチェックしている。

10日ほど前、私が明け方に起きてキッチンの隣にあるトイレに行くと廊下からキッチンにかけてやけに周辺が暖かく、不思議に思ってキッチンを見ると、オーブンの火がオンになったままだった。すぐに消したが、そこにおばさんはいなかった。オーブンを消し忘れてトイレに戻ってしまったのだろうか。そして昨夜、私が夜中に起きてキッチンの隣にあるトイレに行くと、やけにガス臭かった。そのガス臭さというのは、もはやガス漏れもかなり進んだ状況で、トイレに入ってもまだ都市ガスの漏れたような臭いが充満していた。トイレの帰りにキッチンを除くと、案の定おばさんがそこで暖をとっており、「何、この臭い? 尋常でないよ」と注意してみた。しかし、おばさんは「臭い?!何のこと?!」とまったく取り合わない。窓を開けるように言って私は部屋に戻ってきたが、考えて見るとかなり危険な状態になっているのではないかと不安になった。おばさんは自分の体臭が強烈なので有名な人だが、ガス漏れの臭いにも気がつかないほど神経が麻痺しているのだろうか。おばさんがそもそも家賃を払わないでここに住むことを許されたのも、市の監査員がおばさんを「精神病患者」と認定したからだった。「きちがいに刃物」ではないが、「火」の扱いを自由にさせておくのもかなり怖いことではないかと思った。何事も起こらないことを祈る。









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最終更新日  2008年12月22日 11時03分09秒



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