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2009年01月22日
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Susan Meiselas: In History,
Cornell Capa: Concerned Photographer,
Living with the Dead: W. Eugene Smith.

ユージン・スミスの戦場写真は凄い。おそらく爆風を目前にしてシャッターを押しているのだろう。サイパン陥落で逃げまどう日本人の母子、死体、負傷兵、すべてが生々しく迫ってくる。構図の撮り方など報道写真なのに絵画的でもある。報道写真であろながら芸術写真的でもある。

「写真家W・ユージン・スミスの軌跡と業績は、フォト・ジャーナリズムの歴史と重ね合わせて評価され検証されてきました。現代にまで続くスミスへの高い評価とほぼ等量の批判は、彼が写真家として貫き通したその主観的制作態度に起因する必然かもしれません。
従軍したサイパン、硫黄島、沖縄の最前線で戦場の現実に直面したスミスは、人間の尊厳に対する疑問と同時に、「私はカメラの向こう側にいたかもしれない」という、報道写真家としてはタブーともいえる根源的な問いを受け入れてしまったと言えます。戦争での体験からスミスは、「カメラ=中立的な視線」、「ジャーナリズム=客観的」という近代写真とフォト・ジャーナリズムをめぐる神話的言説に対して強い疑念を抱くようになります。第二次大戦後のスミスは、「決定的瞬間」的な撮影態度から決別し、過剰とも思える時間と労力を費やしながら緻密な取材を重ね、主題や対象の本質に迫る、時にはそれを超えた普遍性を追求するかのような優れたフォト・エッセイを数多く制作し、グラフ雑誌に発表しました。
彼が目指したものは、視覚的現実よりも「真実」により迫る写真、観る者に強く訴えかける、真実を象徴的に明示できるイコンとしての写真でした。近年の研究により、スミスが古典絵画の構図や明暗対比を巧みに取り入れていたこと、暗室で多重焼付や大胆なトリミングを駆使していたことが明らかになっています。記録性や客観性をドグマとするドキュメンタリー・フォトグラフィーの世界に止まりながらも、スミスは主観にもとづく創作姿勢と方法論を貫き続けました。この態度は写真家W・ユージン・スミスの自己矛盾として批判されてきましたが、現代の私たちはそこにスミスの、近代の写真とドキュメンタリーに対する個人レベルでの批評的営みを、写真家を超えた表現者を目指した一人の写真家の挑戦と葛藤を読み取ることができます。」

ICpのブックストアにスミスの写真集というものが一冊もないのが不思議だった。





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最終更新日  2009年01月22日 14時45分59秒



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