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日本の売り子さんはひたすら愛想がよくて親切で内側の心を見せないように訓練されている。何か一つ付加のサービスを気配りしようとする、その心地よさがたまらなかった。
その中で二つだけ、サービス業の素顔が出たときがあった。駅の構内でスカーフを買ったとき、財布を出そうと持っていたプラスチックのアイスコーヒーを商品の入ったビニール袋の山に無造作に置いたのだが、即座に「駄目だよ、そこに置いちゃ」と売り子の男性に不機嫌な声で注意された。 泊まっていたホテルは外人相手のホテルだったが、日本人も泊まれるのでNYから予約を入れてあった。ここのカウンターの人の中にひどく私情を丸出しにした横柄な態度をとる人がいた。アメリカではめずらしくもないが、日本の客商売では珍しいと思った。全体にここで働いている他の日本人からも、日本の客商売で聞くような「申し訳ございません」という言葉を聴くことはないような気がした。日本の客商売でよく感じる「平身低頭」「何でもお申し付けください」という自虐的なほどの丁寧さはここのホテルの日本人からは感じなかった。むしろスペリアルな自尊心を感じた。 汗をかいたので洗濯しようと2日目にホテルのランドリーを借りたのだが、外人客の中に適当にコインを入れて部屋に戻り、ドライヤや洗濯が終わっても取りに来ない客がいた。私は立ってしばらく待っていたが、いつ戻ってくるか検討もつかない。カウンターの女性にどうしたらよいかをたずねたのだが、「どうしようもないです」というのがその女性の返事だった。nyの私の住むホテルだと、臨時のかごがあって、放置洗濯物はすべてそこに入れられることになっている。 そこで気がついた。ここの日本人は日本に住む日本人ではなく、むしろアメリカで働く日本人に近いということが。ウエートレスをしていた経験から、アメリカ暮らしも年季がはいると日本人には日本風の平身低頭、アメリカ人にはアメリカ風に、と態度の使い分けができるようになる。でも最初の数年はアメリカナイズだけがすすんで、日本人にもつっけんどんなサービスをすることがよくあった。おそらくここの日本人は数年間の外国暮らしでアメリカナイズした態度を身につけたまま帰国した留学生が多いのかもしれない。または、日本人でここに泊まる客は格安ホテルだけに問題の多い人が多いのかもしれない。 それでも中には丁寧な人もいてほっとした。若くて柔軟な人はいいなと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年07月06日 12時26分13秒
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