歯学生さんの訪問
今日はときどきウチにクリーニングに来てくれているKさんが、クリーニングのついでに当院の見学に来られました。彼女は歯学部の3年生で、生理学、生化学、解剖学、組織学などの基礎系の勉強が忙しい合間をぬって、来てくれました。ありがたいことです。彼女は今、大学院生の研究のお手伝いもしているとかで、顎の動きを3次元的に計測する機械を使っているとか、でした。顎関節症の研究にその装置が使えるものか調べているところとか(?)、でした。当院は貧乏歯科医院で、ん百万の機械など買えませんので、うらやましい・・・(^^♪顎関節症の原因はわずかな噛み合わせの不調から、神経筋反射によって、筋肉の過緊張が起こる病気で、言ってみれば肩こりと同じなのですが、本人にとってはとても苦しいものなのです。その機械でわずかな噛み合わせの不調が計測できるのか、とても興味があります。また面白いことが判ったら、教えてくださいね。顎関節症の方は咬合位置がはっきりしない傾向がありますので、こういう傾向は計測できるかもしれませんね。でも、原因になる早期接触まで計測できるのかは、どうでしょうか?通常の診断は歯の噛み合わせの面に付くファセット(強く歯が当たるので擦れて光っている)がないかどうか調べるところから始めるのですが、計測器では、ファセットの位置に咬合位が来た時に咬合経路に段差ができる可能性があります。これが計測できるか・・・がポイントですね。後はこのファセットが付くような咬合により筋の過緊張が起こりうるのか、解剖学的に考えて、起こりうるなら、そのファセットがなくなるように、咬合面を足したり削ったりするわけです。でもね、口で言うほど簡単にできませんよ・・・なんせ相手は生きた人間ですから・・・とくに咬合運動は半分反射、半分随意運動ですから、本人にも完全には制御できないのです。はっきり言ってしまうと、顎関節症の原因の多くは医源性です。歯医者でへんな形の詰め物、被せ物を入れるからです。削って、人工物で修復すれば、元に戻ると考えるのは危険なことです。以前、歯科矯正学を教わったことのある某九州大学のN教授が言っていたことを思い出しました。歯科治療は一歩間違えば傷害行為になることが分かれば、歯科医として一人前だよ・・・と。ちなみにアメリカには顎関節症は存在しないそうです。アメリカでは、いい加減な治療は無いので、顎関節症は無い、、、ではなくて、訴訟社会のアメリカでそんなことを認めれば大変なことになるからです。・・・やっぱり、予防しかないか・・・(^^ゞ