子供の虫歯02 効率的な増やし方?
先週に引き続き1枚の写真から。これも出典はダグラス・ブラッタール先生の『カリエスリスク判定のてびき』(エイコー,東京,1994)となっているのですが、手元のこの本の中には見当たらなくて、熊谷 崇先生の『クリニカル カリオロジー』(医歯薬,東京,1996)からの孫引きです。本題に入る前に確認。虫歯と歯周病という歯科の2大疾患はいずれも細菌による感染症です。細菌は感染します。けれども、感染=発病ではない!のがポイント。細菌が置かれる環境、すなわち患者さんの側の条件をコントロールしてあげることで発病は確実に防ぐことが出来ます。虫歯も歯周病も予防できる病気だということです。細かく考えてゆくといろいろな条件があって大変なのですが大雑把にまとめるとね。虫歯菌、ほとんど持ってないのに虫歯になっちゃうツワモノもなかにはおられます。さて、虫歯菌の親玉 ミュータンス菌は、★歯の成分と特異的に強力にくっつく性質をもっています。だから、乳歯の奥歯が生え始めてお口の中で歯の表面積が広がってゆくのと同時に本格的に定着が始まるのです。歯は”生えたら磨く”しかないのです。★ミュータンス菌はお砂糖から、歯の表面に張り付くための強烈な糊を作ります。この糊があると他の、本来歯に張り付いたりする性質を持たない細菌類までが絡めとられて歯垢を形成します。ミュータンス菌の感染があってもお砂糖の食べ方が少ないと引き剥がすのは比較的簡単。反対にお砂糖が多いと衛生士が機械・器具フル装備であの手この手で2度磨きしてもまだ、残ります。お砂糖は少なめに。★ミュータンス菌は糖質を食べて酸を作ります。細菌には菌の種類ごとに、生きていくのに最適な酸性度(pH)があります。ミュータンス菌は他の菌よりも低いpHを好みます。酸に強いんです。ミュータンス菌が虫歯菌の親玉といわれるのは糖質を食べて酸を作るから。そして、その酸でプラーク全体のpHが下がりそこに棲みつき活動することが出来るのはミュータンス菌ばかりという環境を作り出します。しょっちゅう何か食べていると、特にそれがお砂糖を含むものだったりするとなお一層、プラーク中のpHを下げ、糊の生成を促しプラーク中のミュータンス菌の占有率を高くします。効率よくミュータンス菌を増やせるということですね。なんか、長くなってきましたね、続きは来週かな。 かずえ。