虫歯の電気化学モデル1(仮説)
こう言った、エナメル質(Teeth Enamel)の穴は小さく、エナメル質は溶けているようには見えないものの、象牙質(Dentine)だけが大きく溶けている症例をたまに見かけます。これは従来の細菌が出す酸で歯が溶ける式の化学細菌説では説明できません。酸で溶けるのなら両方溶けるはずで、象牙質だけが選択的に溶けるはずはないからです。この症例はフッ素反対派の間では、fluoride bomb(フッ素爆弾?)とか呼ばれているようで、理由はフッ素でエナメル質は溶けにくくなるが、象牙質はそうではないので、象牙質だけが溶けるというもののようです。まあ、それは違うでしょうね。。これはふつうの虫歯です。3年程前、エナメル質と象牙質ではイオン化傾向を測ることができて、2mVではありますが、エナメル質より象牙質の方がイオン化傾向は大きいことを実験的に確かめています。http://plaza.rakuten.co.jp/mabo400dc/diary/200910290000/そして、東工大の八島教授、山口大の藤森準教授の研究チームによれば、HA(エナメル質、象牙質の主成分)にはH+(水素イオン、プロトン)の導電性があることが分かっています。そして、虫歯の電気化学説によるモデルを以下に提示いたします。これを実証できれば、ノーベル賞ものでしょう。なんせ、人類がまだ克服していないどころか、病因すら解らず、近代歯科医療が始まって100年以上対症療法に終止してきたというムシ歯という病気が根本から無くなってしまう可能性があるからです。八島先生、藤森先生がんばってください!エナメル質と象牙質は電気的に接合していて、両者間にはH+が流れる。またイオン化傾向は、象牙質>エナメル質なので、酸性水溶液中では電池を形成して、象牙質がマイナス電極にエナメル質がプラス電極になる。H+はプラス電極のエナメル質から吸い込まれ、象牙・エナメル接合部を通り象牙質に集まる。H+の密度がある閾値を越えると、ハイドロキシアパタイト(HA)を構成しているカルシウムCaとH+のイオン化傾向はCa>(H)なので、HA表面でCaからH+が電子を奪いH2となり、CaはCa2+となって水溶液中に溶出し、腐食電流となりエナメル質表面に泳動していき、閉回路が形成される。つまり、象牙質表面ではCa + 2H+ → Ca2+ + H2↑ という電気化学反応が起こり、Caを奪われたHA((Ca)5(OH)(PO4)3)は崩壊する。これが虫歯ではないだろうか?この電気化学反応はH+が存在する限り止まらない。またH+は食品、口腔内の酸産生細菌や硫化物還元細菌由来ということが考えられる。F-があれば、HA表層からCa2+を剥ぎ取ろうとするので、この反応はさらに右に進む可能性が高い。以上のことからムシ歯の対処法は、H+を可及的すみやかに歯牙表面から除去する、要するにpHコントロール、それだけです。