今日の充填治療10.28(超上級編)
50代男性、左上6、メタルインレー2次カリエス通常この手の症例は、再治療はありえず、神経を取って被せるということになる。それには色々な大人の事情があるのだ。それはまず技術的に困難。儲からないので食べていけない、スタッフの時給すら出せないという経済的な理由が主だ。日本は保険が効くのでしょう?と言われても、1時間かかって、僕の手はボロボロになってしまうのに、3,000円では誰もしたいとは思わない。というか、したくてもできないというのは現実だ。日本の歯科医療の保険診療報酬は1965年から、57年前から変わっていない。歯科業界は超絶ブラックな世界なのだ。しかしそれでは、次は抜歯が視野に入ってしまう。歯を失うのは何年先なのか分からないが、この方はまだ生きている可能性が高い。神経を取って被せをするというのは人生50年時代はそれでもよかったが、人生80年どころか90年、100年ともなると、絶望的だ。この歯も形があるようには見えるが、ペラペラのクラックだらけのエナメル質が残っているだけだ。こんなものでもCR再建できれば、多少の補修は必要になるとしても、10年単位で抜歯を先送りできると思っている。インレーの黒くなっている部分はセメントは利いていない。近心の白い裏装セメントの下にも隙間ができている。遠心の隣接面はクラックから虫歯になっており穴が開いている。穴にはポリープが入り込んでいる。底の方は黒いFeSが沈着しているので、少なくともインレーによる再治療は2回はしていると思う。では時系列でどうぞ