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テーマ:ミニ・シアター系映画(152)
カテゴリ:映画・ドキュメンタリー
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【この映画について】 この映画はドキュメンタリー部門に入るために、主演俳優はいない。敢えて言えば監督兼プロデューサーのモーガン・スパーロックが主演俳優であろうか? 制作のきっかけはNYC在住のティーンエイジャーが肥満をハンバー会社の責任とした、裁判を起こしたことに始まったそうだ。 映画完成後は各地の映画祭に出品し評判を呼んだ。口コミで評判が伝わり、今年度のアカデミー賞のドキュメンタリー部門にノミネートされるまでになった。 【ストーリーはないけど...】 アメリカでは現在60%近くの人が肥満症だと言われているそうだ。この映画では、肥満の原因をファストフード(ファーストフードは誤記)にあるとして実験に挑んだ。その実験とは監督である、スパーロックが自ら人体実験の材料になること。 実験は大手ハンバーガー会社のマクドナルドのメニューを、30日間全て食べることと朝昼晩すべてマック(西日本ではマクドと言うらしいが、私は関東の人間だからマックです)ですごすこと。注文の際に店員が「スーパーサイズ」を薦めたら必ずそれを注文すること。 こうした自ら定めた定義の基に実験はスタートする。実験する前にはちゃんと健康診断を受診してそのデーターと比べることになる。 当初は余裕で生活をしていたスパーロックだが、徐々にその影響が体のあちこちに現れ始める。体重の増加、胃痛、カロリー摂取過多、胸焼け、頭痛、肝臓の炎症、血圧上昇、呼吸困難、腎臓結石の疑い、肝機能低下、性機能の低下などの症状が発生する。 21日目にサダム・フセイン似の医師に、命の危険を指摘されて実験の中止を言い渡されるが止めない。そして何とか30日間のノルマを果たし終える。 この間彼は車や飛行機で全米の各地を移動して、ひたすらマックのメニューだけで過ごす日々を続けた。この中でも面白かったのは、テキサス州では肥満度が全米一でスーパーサイズを薦める係員もここが最多であり、店員も皆スーパーサイズだった。 ここまで書くとただ単にハンバーガー会社を槍玉に挙げているように感じるだろう。だがこの映画が反響を呼んでアカデミー賞候補になったからには訳がある。 マックの店を渡り歩く様子を撮影するだけではなくて、その合間には学校給食のあり方にも疑問を呈している。子供の頃から肥満なのは給食にも問題があると感じ、それに対する独自の視点から取材している。 そして健康問題の取材でもある為に、自分の体調の変化をデーター的にも示している。食品を扱う協会の責任者にも取材し、鋭い指摘を投げかけている。こうした取材を合間に効果的に、それも流れに沿っているのでとてもよく出来たドキュメンタリー作品である理由だ。 【鑑賞後の感想】 この作品は30日間マックを食べるという極端な取材だ。だが最後にスパーロックが語るように、彼は元々同年代の男性の健康的数値を上回る健康体だった。それが毎日偏食してファストフードを食べることで、命の危険を感じるレベルにまで健康を害したことで伝えたいことがあったはずだ。 アメリカではファストフード中毒の人が多く、そうした人たちは週に3~4日間通うそうだ。実験は極端だが、偏食を変えてバランスよい食事を心得るように訴えたかったはずだ。 日本でも最近は東京なんかでは、ファストフード店があちこちに進出している。食事の欧米化でかつての健康的な日本食の需要も減ってきて、病気まで欧米化して来ているのでこの映画の指摘も人事ではない。 結果としては、人間の食べたい欲望とそれらを何処でストップをかけるのか?そうした葛藤に勝たないと、やがて近いうちに笑い事ではなくなると私は思う。幸い私はファストフードは嫌いで、マックも行くことはない。でも、自分のお腹の筋肉のたるみと体重を考えれば、自分自身も笑えないのは事実です。 【自己採点】(10点満点) 8.7点実験をストップしてからの経過を、もう少し加えると点数は高くなった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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