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テーマ:ミニ・シアター系映画(152)
カテゴリ:ヨーロッパ映画
原題:Mrs.Henderson Presents(イギリス)公式HP
上映時間:103分 鑑賞日:12月31日 ル・シネマ(渋谷) 監督:スティーヴン・フリアーズ 出演:ジュディ・デンチ(ローラ・ヘンダーソン夫人)、ボブ・ホスキンズ(ヴィヴィアン・ヴァン・ダム)、ウィル・ヤング(バーティー)、クリストファー・ゲスト(クローマー卿)、ケリー・ライリー(モーリーン)、セルマ・バーロー(レディ・コンウェイ)、カミーユ・オサリヴァン(ジェーン)、ドラリー・ローゼン(助手) 【この映画について】 ロンドンで初めてヌードレビューを登場させた実在の劇場“ウィンドミル(風車)劇場”を舞台に、亡き夫の莫大な遺産を相続しオーナーとなったヘンダーソン夫人と周囲の人々が織りなす人間模様を温かく描き出す感動エンターテインメント・ムービー。 主演は、本作の演技でアカデミー賞にノミネートされ最近では「007カジノ・ロワイヤル」でMを演じている「デーム」の称号を持つ名女優ジュディ・デンチで、この映画での演技がアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。 ヘンダーソン夫人と絶妙な丁々発止を繰り返しながら確かな絆を築いていくユダヤ系オランダ人の劇場支配人ヴァンダムを演じるのは「モナリザ」「ロジャー・ラビット」のボブ・ホスキンスで、彼はこの映画ではエクゼクティヴ・プロデューサーとしても関わっている。デンチと二人で繰り広げられる軽妙なトークも見どころである。 尚、衣装デザイン部門でもアカデミー賞にノミネートされているので衣装にも注目してみてもらいたい。 監督は「危険な関係」「ハイ・フィデリティ」のスティーヴン・フリアーズ。 【ストーリー(ネタバレなし)】 1937年、富豪の夫に先立たれ莫大な遺産を受け継ぐことになった未亡人のローラ・ヘンダーソン。遺産の使い道として当初は慈善事業につぎ込んでいたが身が入らない。 或る日ふとウェスト・エンドのソーホーの中心にあったウィンドミル(風車)劇場を買い取ることを思いつく。そして、支配人として雇ったヴィヴィアン・ヴァンダムと二人三脚で、劇場経営に乗り出した。それは、当時の上流階級の女性としてはあまりにも型破りな行動だった。当初はヴァンダムが提案したノンストップ公演が受けて上々の滑り出しをしたものの、次第に客足は落ち込み、経営は苦しくなっていく。 そこで夫人は、女性の裸をパリのムーラン・ルージュのようにステージで見せることを提案する。常識的には不可能なこのアイデアだったが、夫人は幼なじみだった検閲官のクローマー卿を丸め込み、「女性が動かないこと」を条件に許可を取り付けるのだった。 早速、劇場ではオーディションに着手するが応募してきた女性はいざヌードを披露すると聞くと尻込みしてしまう。支配人と未亡人と主演男優で歌手役のバーティーと地方に出かけ理想の女性を探す。しかし生憎道中で大雨に遭遇し田舎道を自転車で飛び出してきて危うく一行の車に轢かれそうになったモーリーンを人目で気に入り採用することに。 何とか頭数を揃えるがリハーサルで上手く進まないのをみてヴァン・ダムは「君たちの体は芸術だ」と讃え、自らもそして周りにいたスタッフたちもその場で脱ぐことで女性たちの緊張感をほぐす事に成功する。 そして迎えた舞台初日、前代未聞の“ヌードレビュー”は一大センセーションを巻き起こし興行は盛況を博す。しかし、劇場の運営に度々口を出し介入してくるヘンダーソン夫人に対し、ヴァン・ダムは支配人として彼女に「出入り禁止」を言い渡すのだったがあらゆる手段を講じて入場しようとするのだった... 1939年9月、第二次世界大戦が勃発しロンドンも戦火に巻き込まれ入場者も一般市民から若い兵士らが中心となっていった。空襲が続く中ヘンダーソン夫人らはそれでも頑として興行を続行するのだったが、検閲官のクローマー卿は劇場の閉鎖を申し渡すのだったがその理由に対し劇場側は... さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。 1.出入り禁止を言い渡されたヘンダーソン夫人が入場するために使った手段とは? 2.クローマー卿は如何なる理由で劇場閉鎖を通告してきたのか?それに対して劇場側が取った態度とは? 3.夫人が若い兵士の楽しみにと興行続行に意欲を燃やす真意とは何か? 4.常連の兵士と人気踊り子のモーリーンとの仲を積極的に取り持とうとする夫人だったが、果してその結果は?二人の仲は恋に進展するのか? 等を中心に公開館は限られていますが、是非、映画館でご覧下さい。 【鑑賞後の感想】 この映画の原題の一部である「Presents」は「提供」を意味するのが正解であり、邦題の「贈り物」とは厳密な意味では異なる。しかしこの違いは映画を最後まで観ていると分かるのだが、夫人は支配人に対しプログラムに「ヘンダーソン夫人提供」の部分をもっと強調するように指示する場面はまさに「原題」の通りなのだ。 邦題の意味する「贈り物」とは夫人が若い兵士たちが前線へ駆り出される前に、少しでも女性の裸をみて元気を出して喜んでもらいたいという意味での「贈り物」なのでありセリフでも語られるのだ。 従ってこの原題には二つの意味が込められている訳であるが、邦題にするにあたり後者を選んだのだろう。 ヘンダーソン夫人はいかにも英国の上流階級の夫人としての威厳を保ちながらも、ユーモアのセンスや世間知らずだったりと憎めない性格の持ち主でもあった。そんな夫人役を大ベテラン女優であり、「007カジノ・ロワイヤル」では"M"として凛とした演技をするジュディ・デンチがしっかりとした演技で楽しませてくれた。 映画内では劇場でのレビューをヌードで演じていたのには驚いたが、恐らく当時はこうしたスタイルで演じていたのだろう。音楽と一体となった演目はミュージカルのようにも感じたし楽しめる映画だった反面、当時の空襲の様子や戦場での様子が語られており脚本としてもしっかりと練られていた。 【自己採点】(10点満点) 8.3点。不覚にもオープニング直後の数分居眠りしてしまった。でも筋を忘れるほどではなかったけど、隣席のお客さんゴメンネ! 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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