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テーマ:映画館で観た映画(8525)
カテゴリ:ヨーロッパ映画
22.パフューム ある人殺しの物語
■原題:Perfume,The Story Of A Murderer ■製作年・国:2006年、ドイツ・フランス・スペイン ■上映時間:147分 ■鑑賞日:3月17日 渋谷TOEI2(渋谷) ■公式HP:ここをクリックして下さい □監督・脚本・音楽:トム・ティクヴァ □製作・脚本:ベルント・アイヒンガー □脚本:アンドリュー・バーキン □音楽:ジョニー・クリメック、ラインホルト・ハイル □演奏:サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 □ナレーション:ジョン・ハート ◆ベン・ウィショー(ジャン=バティスト・グルヌイユ)パリ一鼻が利くと称した天才調香師 ◆レイチェル・ハード=ウッド(ローラ)グルヌイユの「標的」となった美女 ◆アラン・リックマン(リシ)ローラの父でローラを溺愛しグルヌイユの毒牙から守るのに必死に ◆ダスティン・ホフマン(ジュゼッペ・バルディーニ)橋の上に店を構える落ち目の調香師 ◆カロリーネ・フェルフルト(プラム売りの少女)グルヌイユが香りに目覚めるきっかけとなった少女 【この映画について】 この映画は「香り」を映像でいかに伝えるかがテーマである。冒頭の市場のシーンから魚の強烈な匂いの迫力に圧倒される。 その市場の物売りの母から産み落とされた、体臭を持たない男が香りに恋い焦がれるこの物語は、1985年に発表され世界的ベストセラーとなったパトリック・ジュースキントの小説が原作。 すぐさまスピールバーグ監督も巻き込んだ映画化権の争奪戦となったものの原作者が拒み続け、ようやくトム・ティクヴァ監督と、無名の新人ながら類い稀な才能を持つ「ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男」でキースを演じたベン・ウィショーを主役に得て映画版が完成した。群衆が人間の本能を呼び覚まされるラストシーン、官能をくすぐる香りにはあっと言わせられる。 ベン・ウィショーを支える「脇役」としてダスティン・ホフマンが香りの調合を教えるイタリア人調香師を演じ、「ハリー・ポッター」シリーズでスネイプス先生を演じるアラン・リックマンが娘を溺愛する父役で出演しているのも見逃せない。 【ストーリー(ネタバレなし)】 1738年7月17日、パリの魚市場で産み落とされたグルヌイユは、母に死産と決め付けられて魚のはらわたの上に無造作に産み落としほったらかされた。しかし泣き声を聞いた周囲の人たちによって母は子殺しとして逮捕され絞首刑となる。つまりグルヌイユは生まれながらに両親を知らずに育つ事になった。 その彼は少年時代から驚異的な嗅覚を持っていた。皮なめし職人の下に売られたグルヌイユは青年に成長したある日、プラム売りの赤毛の少女が発する至福の香りに出会うが、夢中になるあまり彼女を誤って殺してしまう。 死と共に香りも消えてしまうことを知った彼は、香りを永遠にとどめておく方法を探るためイタリア人調香師バルディーニに弟子入りし、香水の調合方法を習う。グルヌイユの独創的なアイデアでバルディーニの店はたちまちパリ中の噂となり大繁盛するが、彼はさらなる技を求めて職人の街グラースへ向かう。途中、自分自身に体臭がないことに気づき衝撃を受けるが、やがて運命の香りと再会する。 グラースで彼は究極の香水を作る為の方法を編み出したが、それは女性の生きた肉体そのものを必要とするのだった。そして、遂にかれは... さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。 1.彼がバルディーニから教わった究極の香水作りのある方法とは? 2.孤独な彼が女性を相手に編み出した香水の採取方法とは? 3.彼の香水作りは徐々にエスカレートするが、その方法が地域に及ぼした恐怖とは? 4.彼が遂に作った「世界がひれ伏す」香りとは?果してその香りに世界はひれ伏したのか? 等を中心に、香りを表現した映像美をぜひ映画館でご覧下さい。 【鑑賞後の感想】 「香りを映像で表現する」という難しいテーマに挑んだこの作品だが、香りや臭いを映像で伝える事はどんなにテクノロジーが発達した現代文明においても成し遂げられていない。 我々は映像とセリフからその香りを想像しながら、同時にストーリーを追っていくと言う難事業を求められた。 結果から言えば私はこの映画の映像は香りや臭いを映像から嗅ぎ取る事に「視覚的には成功」したとある程度は言える。グルヌイユが魚臭の漂う中で「無造作」に母に産み落とされたシーンは、見ているだけで「魚臭さ」が伝わってくるような映像だった。こうした映像は他にもグラースへ向かう途中のラヴェンダー畑の映像美などからも香水の香りが漂ってくるようだった。 ストーリー的にはクライマックス・シーンとも言えるグルヌイユが処刑される寸前の群集が叫び声を挙げるシーンから、彼の最後を暗示するシーンまでの流れは賛否両論あるだろう。ネタバレになるので詳しくは書かないが、あのシーンは彼の作り出した香水が世間をひれ伏させたということを強調する意味での映画的見せ場だと思った。 グルヌイユを演じたベン・ウィショ-は派手さは無いが憂いを感じさせる表情がこの役にははまっていた。 【自己採点】(100点満点) 71点。工夫された映像への評価を加えた。 人気blogランキングへ ←是非クリックして下さい お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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