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テーマ:ミニ・シアター系映画(152)
カテゴリ:ヨーロッパ映画
37.ドレスデン、運命の日
■原題:Dresden ■製作年・国:2006年、ドイツ ■上映時間:150分 ■鑑賞日:5月5日、シャンテ・シネ(日比谷) ■公式HP:ここをクリックして下さい □監督:ローランド・ズゾ・リヒター □製作:ニコ・ホフマン □脚本:シュテファン・コルディッツ ◆フェリシタス・ヴォール(アンナ・マウト)父が経営する病院で看護士として働く ◆ジョン・ライト(ロバート・ニューマン)英軍パイロットとして爆撃に参加するが撃墜され脱出する ◆ベンジャミン・サドラー(アレクサンダー・ヴェニンガー)アンナの勤務する病院の医師でアンナと婚約する ◆ハイナー・ラウターバッハ(カール・マウト)アンナの父でアレクサンダーとアンナを後継者と目論む 【この映画について】 文化と芸術の美しい都ドレスデンが1945年2月の大空襲で一夜にして焼きつくされた歴史的悲劇を、ドイツとイギリスという敵国同士の男女(英国空軍兵士と女性看護士)の一大ロマンスとからめてエモーショナルに描いたのは、大ヒット作『トンネル』を放ったローランド・ズゾ・リヒター監督とスタッフ・チーム。 ドレスデンは東独時代を経て2006年には建都800年を迎えた歴史のある街だが、ドレスデン空爆の史実を本格的に映像化したのはこの作品が初めてだそうだ。徹底したリサーチと巨額の製作費を投じた本作は、炎と爆風の空爆シーンの迫力もさることながら、ドイツ人、英国人、ユダヤ人、ゲシュタポ、さらには貧富の差も含め様々な立場の人々が登場する点にも注目したい。 アンナは強い自分の意志をもってどういう判断を自ら下したのかにも併せて注目して観てもらいたい。 【ストーリー】(ネタバレなし) 第2次世界大戦末期の1945年1月、敗色濃厚なドイツで唯一空爆を免れていた東部の都市・ドレスデン。 父カールの経営する病院で不自由する事無く看護士として働くアンナは恋人の医師・アレクサンダーを助け気丈に働く。病院には負傷兵らが連日担ぎ込まれアンナも看護士として休む暇も無く働くのだった。 そんな或る日、英軍の空襲を迎撃したドイツ軍によって撃墜された一機からパイロットも一人のロバートが奇跡的に脱出して負傷しながらも街の郊外の山中に逃げてきた。墜落後も辛うじて生き延びていたが、墜落後気がついた住民に銃撃されて腹部に弾丸を受けてしまう。 その頃、空襲の激しさが増すばかりのなかでアレクサンダーはアンナは病院内でプロポーズされた。戸惑いながらもアンナはこの時が来るのを待っていたかのように、自らが暗記していた詩をアレキサンダーに言わせることで求婚を受け入れたのだった。 それから数日後、病院の地下に潜んでいた英国空軍の負傷兵ロバートは偶然にもアンナに発見されてしまうが、手当てをして匿う。ロバートはドイツ語を理解出来るが喋ると訛で英国人と分かってしまうので一切無言を貫く。そして或る日、突然ゲシュタポが現れ病院内にスパイがいないか抜き打ちに捜索に来た。捜索から必死に逃げるロバートに対しアンナは機転を利かせ病院内のベッドに身を伏せる。 憎むべき敵と知りつつ密かに惹かれ合うようになるアンナとロバート。ロバートにはアレキサンダーにはない包容力を感じ身も心もアンナは彼に捧げるようになっていく。 ロバートへの気持ちを抑えながらも2月12日、アレキサンダーとの婚約披露パーティーを大々的に開きナチの幹部も出席していた。ところがその時ロバートが現れて... そしてついにアレクサンダーがロバートの存在に気づいた2月13日未明、英国軍の爆撃機が彼らの上空に迫る…。アンナは父が一家でスイス逃亡を図る真意を知り仰天するのだったが、一方でロバートとの愛を貫こうとするのだが空襲は激しさを増すのだった。 さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。 1.アンナの父は一体何を画策してスイス逃亡を一家で図っていたのか? 2.不足するモルヒネを大量に買い込んでいた父の意図とは?ナチ幹部との関係は? 3.アンナのアレキサンダーへの不信の原因は? 4.アンナのロバートに対する強い愛情は実るのか? 5.ドレスデン大空襲で壊滅的な打撃を受けた中で果たしてアンナと家族の運命は? などを中心に公開館は限られていますが是非映画館でご覧下さい。 【鑑賞後の感想】 私はドレスデンの空襲についての知識は全く持ち合わせていない状況でこの映画を観た。英国空軍がドレスデンを空襲する都市として選ぶまでの英国空軍内の過程や内部の意見対立なども盛り込まれていた。 この事はドイツ映画である本作品がドイツ側だけの見方だけの描き方に終始せず、英国側の内部にも立ち入った描き方をしていた点が新鮮に感じた。 原題は簡単に「ドレスデン」なのだが、これが邦題になると「運命の日」というタイトルが合わせて付いた。これは映画の内容を観れば分かるように、ドレスデン空襲の日はアレキサンダーとアンナに取ってまさに「運命の日」だった。アレキサンダーは婚約者アンナの愛情を失い、アンナは家族と離れ離れになり「運命の人」ロバートは辛うじて生き延びるがアンナが望むような幸福は掴めなかった。 結局は戦争が多くの人間の運命を狂わせてしまった。ロバートには英国人としての人生があり、アンナには自身が抱いていた「女の幸せ」を掴めなかった。アンナの家族も父の家族を思ってこその背信行為(国家へ対してと家族へ対しての)に巻き込まれ親子の運命は大空襲でその夢も希望も打ち砕かれてしまった。 戦争は多くの人々の心を打ち砕く。夢も、希望も、家族も、未来も、想い出も...。 【自己採点】(100点満点) 78点。重いテーマの中にも、アンナをめぐる二人の男性との気持ちの揺れや家族との関係の描き方は良かった。残念なのは映像や音楽にもう一工夫が欲しかった。 ←是非クリックして下さい 人気blogランキングへ←是非クリックして下さい お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.05.13 23:09:45
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