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テーマ:ミニ・シアター系映画(152)
カテゴリ:アメリカ映画
46.あるスキャンダルの覚え書き
■原題:Notes On A Scandal ■製作年・国:2006年、アメリカ ■上映時間:92分 ■鑑賞日:6月9日、新宿武蔵野館(新宿) ■公式HP:ここをクリックして下さい □監督:リチャード・エアー □製作:スコット・ルーディン、ロバート・フォックス □原作:ゾーイ・へラー □脚色:パトリック・マーバー □音楽:フィリップ・グラス ◆ジュディ・デンチ(バーバラ・コヴェット)学校の教師だが教師間では嫌われ孤立している ◆ケイト・ブランシェット(シーバ・ハート)歳の離れた夫と障害を持つ子供を抱える美術教師 ◆ビル・ナイ(リチャード・ハート)シーバの夫でシーバとはかつては教師と教え子だった ◆アンドリュー・シンプソン(ステイーヴン・コナリー)あることがきっかけでシーバと性的関係を持つことになる生徒... 【この映画について】 主要キャストのジュディ・デンチとケイト・ブランシェットが、そろって米アカデミー賞の主演女優賞&助演女優賞にノミネートされた話題作。 映画はベテラン教師・バーバラの目線で綴られていくが、ストーリーが進むにつれ、冷徹で客観的だと思われていた彼女の語りが、あまりに主観的で事実とかけ離れたものだと判明していくのでナレーションに騙されてはいけない。 終生独身の積年の孤独に心を蝕まれた老女の妄想と暴走が、恐ろしくも醜く、そして悲しい。また幸せな家庭がありながら道を踏み外していくシーバが、見た目は平凡で大人しそうなところも、逆にリアリティがあって怖い。15歳の生徒が女盛りのシーバを大人顔負けの口説き方で彼女の心の空白に進入し、お互いが性にのめり込み一気に突き進んでいく様子も描かれている。 【ストーリー】(ネタバレなし) ロンドン郊外の中学で歴史を教えるバーバラは、厳格で辛辣な性格から教え子だけでなく同僚からも疎まれ、孤立していた。 そんなある日、労働階級の子供ばかりが通う学校には不似合いな若く美しい美術教師シーバが赴任してくる。「彼女こそ、私が待ち望んだ女性」と直感したバーバラは、彼女をこっそりと観察しては毎夜日記に“報告”していた。シーバとの特別な絆が感じられた日は、日記に金色のシールを付け加えていた。 或る日、シーバの受け持つクラスで騒動が発生した。偶然、通りかかったバーバラが貫禄充分に殴り合う男子生徒を一喝し事態を収拾したのだ。シーバはこの件をきっかけに急速に親しくなっていく。 シーバは感謝の気持ちを表す為に、自宅にバーバラを招く。そこでバーバラはシーバの夫リチャードと長女ポーリー、そしてダウン症の長男ベンを紹介される。独身のバーバラには幸せそうな家族を見るのは内心辛いのだが、食後に、シーバから人生の不満などを打ち明けられ彼女との絆を再確認する。 だがそんなある日、学校の演芸会が行われた夜、シーバの姿を探していたバーバラはシーバと15歳の教え子のセックス現場を美術教室の外で偶然目撃してしまう。 その少年はバーバラが校内で叱り飛ばした生徒スティーヴン・コナリーだった。バーバラはシーバを電話で近くのパブに呼び出し、一部始終を告げる。涙ながらに生徒とは二度と会わないと誓うシーバだったが、家庭での不満をシーバの成熟した肉体に溺れていくスティーヴンの激しい性欲で夫との満たされない性の不満を埋めていくのだったが...それはバーバラの忠告に背くことになり...果たしてどうなる? さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。 1.バーバラは一体何が目的でシーバに接近していったのか? 2.バーバラがシーバにスティーヴンとの密会を止めるように迫った時のシーバの態度は? 3.シーバの肉体の虜になっていくスティーヴンのシーバを誘うタイミングとは? 4.シーバとスティーヴンの密会があることをきっかけに発覚したがそれは? 5.密会発覚にバーバラはどのように関わっていたのか? 6.バーバラの忠告を破った形になったシーバが彼女にとった言動とは? 7.夫リチャードや家族の怒り失望、スティーヴンの両親らの反応は? 8.シーバとの友情が壊れたバーバラだが、彼女の次の「相手」は一体...? などを中心に是非映画館でご覧下さい。 【鑑賞後の感想】 ケイト・ブランシェットとジュディ・デンチという二人の歳の離れた演技派女優の共演を楽しみにして観に行った。さらに付け加えるとこの映画のナレーションはジュディ・デンチ自身が語るので、観客はバーバラの視点で語られるナレーションに何時の間にか引き込まれてしまう。これだけで観客は既に彼女のペースに引き込まれるという、こういう演出を考え付いたリチャード・エアー監督の「作戦」は見事に成功だ! ストーリーの展開とかは、独身の老女バーバラがやはり主役だ。彼女は何とかシーバと自分が好むような関係を築く事に腐心するが、老女の心はやはり自分より若いシーバには通じなかった。通じなかったとき、老女は「裏切られた」という感情が込み上げ密かに彼女流の「復讐」を自らが手を下さずに実行に移す。 人生経験の豊富なバーバラが自分の感情を表に出さないのでシーバには彼女の心の底が最後まで読めなかった。男性には分かりづらい女性的な感情の移り変わりを、二人の演技派女優は見事に表現した。 15歳の少年との性行為を偶然目撃した時のバーバラの表情は怖かった~... 【自己採点】(100点満点) 77点。バーバラはこの後どういう人生を送るのかな...シーバと家族の関係も含めて気になりながらエンディングとなってしまった。 ←是非クリックして下さい 人気blogランキングへ←是非クリックして下さい お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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