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テーマ:ミニ・シアター系映画(152)
カテゴリ:ヨーロッパ映画
50.ボルベール<帰郷>
■原題:Volver ■製作年・国:2006年、スペイン ■上映時間:120分 ■鑑賞日:7月14日、シネフロント(渋谷) ■公式HP:ここをクリックして下さい □監督・脚本:ペドロ・アルモドヴァル □製作:エステル・ガルシア □製作総指揮:アグスティン・アルモドヴァル □作曲:アルベルト・イグレシアス □編集:ホセ・サルセド □撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ ◆ペネロペ・クルス(ライムンダ)失業中の夫と一人娘パウラを育てる気の強い女 ◆カルメン・マウラ(イレネ)ライムンダを含む3人娘の母だが失踪し行方不明に ◆ロラ・ドゥエニャス(ソーレ)ライムンダの姉で自宅で美容師として仕事をする ◆ヨアンナ・コバ(パウラ)ライムンダの一人娘だが出生の秘密があった... ◆ブランカ・ポルティージョ(アグスティナ)ソーレの隣人だが不治の病に冒されている ◆チュス・ランプレアヴェ(パウラ伯母さん)イレネの姉でライムンダ姉妹らの伯母さん 【この映画について】 「今もっとも自由で独立した映画監督」と言われるスペインの名匠ペドロ・アルモドバル監督作品。 女性のたくましさと母性を、尊敬と賞賛をこめて描いてきた彼の目線は、今回も健在だ。登場するのは、行方不明となり音信普通で大昔に死んだはずなのにひょっこり戻ってきた母、二人の娘、孫娘、叔母、隣人の6人の女たち。 ハリウッド映画で拙い英語のセリフで持ち味を出し切れていたとは言い難いトム・クルーズの元恋人ペネロペ・クルスはその素晴らしい肉体を終始披露し、監督とは19年ぶりの仕事となったベテラン、カルメン・マウラら6人の女優は、カンヌ映画祭の最優秀女優賞を全員が獲得するという快挙を成し遂げた。女が主役となれば、当然そこには笑いと涙と“秘密”がいっぱい。 【ストーリー】(ネタバレなし) 失業中の夫の分まで働く、気丈で美しいライムンダは思春期真っ盛りの一人娘パウラと三人で暮らしている。 或る日、疲れて仕事から戻ってきた夜、夫がライムンダに関係を迫ってきたが疲労困憊のため「拒否」する。そんな妻の態度に高まった性欲を発散できず夫は妻に苛立つ。その翌日、彼女の留守中、夫はライムンダが働きに出ている最中15歳になる娘パウラが嫌がるのに関係を強引に迫り、抵抗した娘は勢いあまって父親を包丁で刺し殺してしまう。 愛娘を守るため、ライムンダは必死に事件の隠蔽を図るが、その最中に「故郷の叔母が死んだ」と知らせが入る。一方、夫の死体を隠す為に葬儀参列を拒否したライムンダは葬儀のため帰郷したライムンダの姉ソーレが、大昔に火事で死んだ姉妹の母の亡霊が、1人暮らしだった叔母をこっそり世話していた、という奇妙な噂を聞く。 姉ソーレと隣人アグスティナが葬儀に参列している隙に、ライムンダはかつてウェイトレスとして働いていたレストランのオーナーが長期間不在となる間の留守を預かるために鍵をもらっていた。誰も居ないレストランに深夜に娘と忍び込み冷凍庫に死体を厳重に縛り隠したのだった。 そのレストランを目当てに、近くで映画の撮影を行っていた一行がランチの提供を求められかつて働いていた頃を思い出しながらも、近所の主婦を巻き込んで材料の提供を求めたりしながらも大いに繁盛する。 葬儀から戻ってきたソーレは自宅に戻って車のトランクから奇妙な声がするのに気が付く。何とその声の主は、死んだはずの母イレネだった。驚いたソーレはライムンダには内緒で自宅で共同生活を始める。ソーレは自宅で美容師として働いており、お客には「ロシア人」と偽り誤魔化す。だが、母に対しライムンダはあるときから一切母を拒むようになり母も気にしていた。 その母にはかつて大火事が原因で記憶を失った亡くなったばかりの姉の(ライムンダらの伯母)ことを知る唯一の人物だった。一方、アグスティナは病院での検査結果で不治の病が宣告される。そして、ある秘密を知りたくてライムンダに依頼をするのだったが... ライムンダは母へのわだかまりが解けず、母を匿うソーレ宅でお互いが中々顔を合わすことがなかったのだったが...或る日それが実現するのだが... さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。 1.ライムンダの母は何故長い間姿をくらましていたのか? 2.ライムンダの一人娘パウラの出生の秘密とは? 3.ライムンダが母を避けるようになった訳とパウラの出生の秘密に関わる関係とは? 4.不治の病を宣告されたアグスティナがライムンダに依頼したこととは? などを中心に是非映画館でご覧下さい。 【鑑賞後の感想】 スペインの名監督ペドロ・アルモドヴァルが「女の生き方」をテーマにした作品で、主演のペネロペ・クルスも母国での作品ということでノビノビと演技しているうように感じた。 最近はアメリカ映画でスペイン訛の英語を話すのだが、ラテン系独特の大らかさやノリのよさは抑えられていた。そうした鬱憤?を晴らすかのように、母国語でまくし立てるようにセリフを喋る姿を見ているとやはり「ラテンの血」は隠せない。情熱的でいてどこか涙もろかったりあっ気らかんとしていたりとまさに千変万化の性格を演じている。 彼女がレストランで歌う映画のタイトルにもなっている「Volver」では、彼女が母から教わったというその歌を感情を込めて(吹き替えかな?)歌うシーンはこの映画のハイライトだ。 ストーリー的にも隙が無く、見事に女性、取り分け母娘間の男には入ることの出来ないその領域にも見事に切り込んでいる。ライムンダが何故母をある日、急に遠ざけるようになったのか?それに繋がるのが冒頭の彼女の夫が娘に殺害される場面とリンクするとはその時は考えなかったが、最後のシーンでライムンダが母に告白するシーンを見ていて理解できた。ライムンダにも、誰にも言いたくない過去があったのだと思いジーンと来た。 映画の中のセリフにも出てくるが、ペネロペの見事な「谷間」を映画を通して見れるのは男性には嬉しい?というのはジョークだけど彼女も40代も半ばになれば「肝っ玉母さん」役がはまりそうな気がする。 【自己採点】(100点満点) 88点。ストーリー展開、俳優達の演技も含めて見事でした。 ←最新映画の話題満載の楽しいブログで一杯! ←西武ライオンズやプロ野球のことならここ ←プロ野球、メジャーリーグの情報満載 人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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