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テーマ:ミニ・シアター系映画(152)
カテゴリ:ヨーロッパ映画
83.アフター・ウェディング
■原題:Efter Brylluppet(After The Wedding) ■製作年・国:2006年、デンマーク ■上映時間:124分 ■日本語字幕:渡辺芳子 ■鑑賞日:11月02日、立川シネシティ(立川) □監督・原案:スサンネ・ビア □脚本・原案:アナス・トーマス・イェンセン □製作総指揮:ペーター・オルベック・イェンセン、ピーター・ガルデ □製作:シセ・グラム・ヨルゲンセン □撮影:モーテン・ソーボー □美術:ソーレン・シェア □編集:ペニッラ・ベック・クリステンセン、モーテン・ホイビエ □衣装:マノン・ラスムッセン □音楽:ヨハン・セーデルクヴィスト □音響:エディ・シモンセン、クリスチャン・エイネス・アンダーセン □メイク:シャルロッテ・ラウステン ◆マッツ・ミケルセン(ヤコブ)インドで孤児の援助活動に従事するデンマーク人 ◆ロルフ・ラッセゴード(ヨルゲン)事業で大成功した実業家でヤコブに巨額の援助を申し出る ◆シセ・バベット・クヌッセン(ヘレネ)ヨルゲンの妻で若い頃にヤコブとは昔の恋人 ◆スティーネ・フィッシャー・クリステンセン(アナ)ヨルゲンとヘレネの「娘」で婚約中 ◆クリスチャン・タフドルップ(クリスチャン)アナの婚約者でヨルゲンの会社に勤める ◆二ーラル・ムルチャンダニ(プラモド)ヤコブがインドで働く施設に入所している子供。誕生日までに帰国すると約束するのだが... 【この映画について】 監督のスサンネ・ビアは、本作で2007年アカデミー賞外国語映画賞にノミネート。前々作『しあわせな孤独』と今回同時期に公開される前作『ある愛の風景』の2本は、すでにハリウッドでのリメイクが進んでいる。 主人公ヤコブには『007/カジノ・ロワイヤル』でジェームズ・ボンドの敵役、血の涙を流す「ル・シッフル」を演じて世界的な注目を集めたマッツ・ミケルセン。 ヤコブに近づく謎の実業家ヨルゲンはスウェーデン人俳優のロルフ・ラッセゴードが演じ、その豪放でありながら繊細な役柄を見事に演じ切った。二人の間で揺れ動く妻ヘレネを演じるのは、デンマーク国内の女優賞を何度も受賞しているシセ・バベット・クヌッセン。 【ストーリー】(ネタばれなし) インドで孤児たちの援助活動に従事するデンマーク人ヤコブ。財政難の孤児院を運営する彼のもとに、デンマーク人の実業家ヨルゲンから巨額の寄付金の申し出が舞い込む。 寄付にあたり一つだけ条件を求められたが、それは直接会って話をする、という事だった。ヤコブは実の子供のように可愛がっているプラモドの誕生日が迫っていることもあり当初は渋っていた。しかし施設を運営している女性の勧めもあり8日間で帰国しプラモドの誕生日を祝うと告げて施設を後にする。 久しぶりに故郷デンマークへと戻った彼は、ヨルゲンの紹介で高級ホテルに滞在し面談する。ヤコブは自ら作成した書類を熱心に読むが、ヨルゲンは関心を寄せないような態度を見せ、その後、週末に彼の娘アナの結婚式に出席するように強引に誘われる。 断りきれずに出席すると、そこで思いがけずに昔の恋人で今はヨルゲンの妻となっているヘレネと再会する。困惑するヤコブ。そしてさらに結婚パーティーでは、両親に向けてスピーチをするアナの話が、ヤコブを激しく動揺させた。それはアナがヨルゲンとは血の繋がりがなく、ヘレネの昔の恋人との子供で、それでも本当の親子の様に育ててくれたヨルゲンに、アナは心からの感謝の気持ちを伝えたのだった。 両親とヤコブとの様子にただならぬものを感じたアナは、母からヤコブが実の父が彼であること、昔は荒れた生活をしていて、探しても見つからず死んだものだと思っていたことを聞く。 ヨルゲンはヤコブに、1年毎の寄付ではなく、アナの名を付けた基金を設立し、2人で使い道を決めればいいと提案する。120万ドルもの額になる基金に「あなたのメリットは?」と問いかけるが、「何もない、普通の暮らしができればいい」と答えるヨルゲン。 ヤコブが基金の契約書を確認していると、自分がデンマークに住むことが条件になっている事に気付く。ヤコブはプラモドとの約束で必ず誕生日を一緒に過ごすと約束していた。 デンマークに住むことは、二度とインドに戻れないことを同時に意味する。ヤコブはインドに帰りたい気持ちと巨額の寄付を受けたい葛藤で悩む。 ヤコブはヨルゲンと口論になるが、やがて彼は全てを仕組んだヨルゲンの知られざる秘密と、彼の本当の望みを知ることになる…。 さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。 1.ヤコブとヘレネは何故一緒に帰国しなかったのか? 2.アナのめでたい席で聞いたアナと自分関係を察したヤコブはヘレネにどう接したのか? 3.ヤコブを実父と知ったアナはヤコブと失われた時間を埋めようと接するが、果たして二人のお互いへの気持ちとは? 4.ヨルゲンは何故ヤコブへ巨額の寄付金の申し出をしたのか?ヨルゲンが隠していた秘密とは? 5.ヤコブはプラモドと一緒に誕生日を祝えるのか? 【鑑賞後の感想】 インドで孤児達の援助活動をしているヤコブが、寝耳に水の巨額の寄付金の申し込みを受けて久し振りに故郷のデンマークに帰国するところから始まる。 彼に寄付金を申し込みをした実業家の妻が20年以上も前の彼女で、ヤコブには何の知らせもないまま出産していた事実を突きつけられ動揺する。動揺するのは当然だろう。誰だって忘れかけていた存在の女性が、ある日、いきなり自分との子供を出産し成人していたと知ったらびっくり仰天ですよ。 ヤコブはこの驚愕の事実を何とか戸惑いながらも受け入れ、アナと久し振りに会った父娘のような関係を築きアナもヤコブを父として接する。しかし、これらは全てヨルゲンが仕組んだ壮大な何年もの間練って来たプランだった。 でもヨルゲンは何故妻のかつての恋人にこうした申し入れをしたのか?そこにはヨルゲンが抱えていた誰にも知らせたくない秘密があったからなのだった。一人の男としてこの決断は最良のものだったか問われると、ヨルゲンは彼なりに考え抜いた末の結論だったのだろうが女性には理解し辛い部分も多いだろう。 ヨルゲンのこの時の気持ちは如何なるものだったか?そこはラスト直前に、今まで実業家として大成功を収め財を成した男が何かが切れたかのように取り乱すシーンを観ているとジーンと迫ってくるものを感じた。 ネタばれになるので書かないが、この時のヨルゲンの気持ちを表す適当な言葉は少ないが映像を観ることで観客は何かを感じてはずだ。 【自己採点】(100点満点) 81点。極限状態に近くなった一人の男性の気持ちを見事に表現していた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.04.18 22:20:03
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