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テーマ:ミニ・シアター系映画(152)
カテゴリ:ヨーロッパ映画
88.大統領暗殺
■原題:Death Of A President ■製作年・国:2006年、イギリス ■上映時間:93分 ■日本語字幕:杉田朋子 ■鑑賞日:11月10日、シャンテシネ(日比谷) ■公式HP:ここをここをクリックして下さい □監督・製作・脚本:ガブリエル・レンジ □製作・脚本:サイモン・フィンチ □製作:エド・ガイニー □撮影:グラハム・スミス □音楽:リチャード・ハーヴェイ ◆ジョージ・W・ブッシュ(本人)現職の米国の第43代大統領 ◆ディック・チェイニー(本人)現職の米国の副大統領 ◆ヘンド・アヨウブ(ザーラ・アブ・ジクリ)ブッシュ暗殺のアラブ人容疑者 ◆ベッキー・アン・ベイカー(エレノア・ドレーク)ブッシュの元大統領顧問 ◆ブライアン・ボーランド(ラリー・スタッフォード)元大統領警護主任 ◆ジェイ・パターソン(ジェイ・マッカーシー)元ホワイトハウス担当記者 ◆ジェイ・ウィテカー(フランク・モリーニ)抗議団体の活動家でブッシュ暗殺の容疑者 【この映画について】 ブッシュ大統領をはじめ、政治家たちが実名で登場する“作られたドキュメンタリー”形式のユニークな作品だ。“極めて近い将来”である本年10月19日にブッシュ大統領が狙撃された!という架空の設定のもと、事件によって世界がどう変貌していくのか、その解釈が興味深い。 “9.11”以降に政府がとった強硬路線に対する国民の怒りや批判から、あってはならないことだが、ありえるかもしれない事態を描くこの作品は、多くの国で上映拒否の憂き目にあっているという。 実写フィルムと作った部分を巧みに繋げて、一体どこが実写でどこからが作った部分か見分けが付きにくい部分もあるなど編集の巧みさにも注目したい。 【ストーリー】(ネタばれなし) 2007年10月19日、ブッシュ大統領を乗せたエアフォースワン(大統領専用機)はデモ隊が押しかけて緊迫するシカゴへ降り立った。 シカゴではシカゴ経済クラブでの演説が予定されていたシェラトン・ホテルまでの沿道は一万人を越える抗議団体らで溢れかえっていた。デモ隊は口々に「イラク派兵反対」「北朝鮮」「イラン問題」に異を唱えてプラカードやシュプレヒコールも浴びせていった。 シークレットサービスらの強固な警備に守られて大統領はホテルに到着したが、そこでも大勢のデモ隊が待っていた。 大統領は演説会場では上機嫌で得意のジョークを交えて詰め掛けた観衆を大いに笑わせていた。そして演説が終わりホテルを出る際に、警護担当者は不穏な空気を察して裏口から車に乗り込むように進言する。しかし大統領はホテルの玄関で待つ「支持者」と握手したいと言い警護担当者を心配させる羽目になった。 リムジンに乗り込んで帰途に着こうとしたその瞬間、二発の銃弾が大統領に向って放たれた。崩れ落ちる大統領と騒然とする現場。直ちに病院に運ばれて大動脈修復手術を受けた大統領だったが、その強靭な精神力と体力も銃弾の衝撃には勝てなかった。医師団の必死の努力も空しく、駆けつけた夫人ら関係者に見守られながら死去。そしてこの速報は世界中を直ちに駆け巡り衝撃を与えた。 FBIと警察は威信を賭けて必死の捜査を開始するが、半日ほどで300人以上が拘束され犯人を絞り込むことが出来ない有様だ。過激派デモ隊リーダー、イラク戦争復員兵、在米イスラム教徒たちが有力な容疑者と見られたが、逮捕されたのは意外な人物だった。そして裁判の結果も出たある日、地方新聞の片隅に驚愕の事実と真犯人を告げる記事が掲載されていたのだが...。 さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。 1.大統領が撃たれた瞬間に何故犯人を拘束出来なかったのか?撃たれた直後の捜査は? 2.捜査は何故困難を極めたのか? 3.捜査当局は如何にして犯人を絞り込んで行ったのか? 4.逮捕されて裁判にかけられた人物とは何者だったのか?その逮捕理由は? 5.地方新聞が伝えた事実とは? などを中心にご覧下さい。 【鑑賞後の感想】 この映画は各国で解釈も違うようで中には上映禁止の国や地域もあったそうで、日本では当初の邦題が「ブッシュ暗殺」のようなタイトルだったそうで流石にそれはダメ出しされて今回のタイトルに変更を余儀なくされたそうだ。 現職の米国の大統領が暗殺されるという、極めて近未来とは言いにくいほど近い日付で設定されたこの映画の製作国が英国というのもユニークだ。 映画というよりむしろドキュメンタリーのようなタッチで描いている点にも注目したい。何しろ実写フィルムをふんだんに使って、その上からフィクションの部分を繋げることで映画として成立させたテクニックは評価に値する。 特に、前半部分はまさにドキュメンタリー風の作風が見事に活かされていた。所が大統領が狙撃されてからの後半部分では、一転して作り物っぽい展開になっていったのは残念だった。犯人の捜索に予想以上に時間が掛かってしまう捜査当局の失点もあるが、多数の容疑者の中からアラブ系住民を標的にするかの様な編集は疑問が残った。 最終的に犯人と名指しされる人物は、地方新聞の片隅にひっそりと掲載されるのだがこのオチは前半の良く練られた展開とは正反対だった。 ドキュメンタリーと映画らしさの合体した不思議な感覚の映画との印象を持った。 【自己採点】(100点満点) 72点。大統領が狙撃されるまでと、死亡してからの展開で点差の開きがあった。 人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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