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テーマ:ミニ・シアター系映画(152)
カテゴリ:アメリカ映画
102.ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた
■原題:Waitress ■製作年・国:2007年、アメリカ ■上映時間:108分 ■日本語字幕:栗原とみ子 ■鑑賞日:12月15日、シャンテシネ(日比谷) ■公式HP:ここをクリックしてください □監督・脚本・出演:エイドリアン・シェリー □製作:マイケル・ロイフ □製作総指揮:トッド・キング、ジェフ・ローズ、ダニエル・レンフリー、ロバート・バウアー □撮影:マシュー・アーヴィング □編集:アネット・デイヴィ □美術:ラムジー・アヴェリー □衣装:アリイェラ・ウォルドーコハイン □音楽:アンドリュー・ホランダー ◆ケリ・ラッセル(ジェナ)「ジョーズ・ダイナー」のウェイトレスでパイ作りの名人 ◆ネイサン・フィリオン(ポマター先生)ジェナが通う産婦人科医でジェナのパイの虜に ◆エイドリアン・シェリー(ドーン)「ジョーズ・ダイナー」のウェイトレスで彼氏がいないことに悩む ◆シェリル・ハインズ(ベッキー)ジェナの同僚ウェイトレスで寝たきりの夫の面倒を見ながらも店主と不倫中 ◆ジェレミー・シスト(アール)ジェナのダメ亭主。ジェナを常に束縛する子供みたいな性格の持ち主 ◆アンディ・グリフィス(オールド・ジョー)「ジョーズ・ダイナー」の老オーナー。うるさい注文を付けるがジェナのよき理解者でもある 【この映画について】 田舎町の道路沿いの小さなダイナーで働く3人のウェイトレスの一人のジェナ。母譲りのパイ作りの名人には、結婚後に豹変した束縛ばかりする夫を抱えて悩みが尽きない。 密かに脱出計画を立てても亭主に見つかる有様。3人のウェイトレスが抱える其々異なる悩みを吐露し、最も不幸と思えた一人が掴もうとする幸せを二人はどう感じていたのか。 女性監督で脚本も書き出演しているエイドリアン・シェリーは、女性ならではの視点で見事な脚本を書いている。しかし残念なことに彼女は2006年11月1日に40歳でその生涯を閉じた。エンドロール直前のワンシーンでは彼女の娘が出演している。劇中に登場するおいしそうなパイにも注目。 【ストーリー】(ネタバレなし) アメリカ南部の田舎町の道路沿いにパイの美味しい店「ジョーズ・ダイナー」でウェイトレスとして働くジェンナは、母譲りのパイ作りの名人で自宅ではオリジナルメニューの開発と突飛な名前のネーミングに余念が無い。 ウェイトレス仲間のドーンとベッキーはジェンナのパイの腕前を羨ましがる。それでもジェンナには異常に嫉妬心が強くジェンナを束縛するダメ亭主のアールの存在が、二人にはジェンナをそれ以上羨ましく思わない最大の原因だった。 そのジェンナの最大の目標は隣町で開かれるパイ・コンテストで優勝して賞金の2500ドルで店を出すことだった。ジェンナは体調不良で産婦人科に駆け込むと妊娠が発覚する。ポマター先生は「おめでとう」と告げたが、ジェンナには「不幸な妊娠」であり嬉しくはなかった。 診療所を定期的に訪れるようになるジェンナはその都度挨拶代わりにパイを持参し、ポマター先生はこのパイの虜になりお互い結婚している身ながら惹かれあうようになる。 やがて妊娠がアールにもばれて「子供が出来ても俺にだけ尽くせ!」と自分勝手なことを言う我侭亭主にウンザリのジェンナ。そんなジェンナにドーンとベッキーはある一冊の本を贈る。良いママになれる自信が無いジェンナに、その本は生まれてくる赤ちゃんに手紙を書くことから始まるのだった。 ドーンはその頃、店に来るストーカーまがいの男性の存在に悩まされている。必死にその男を遠ざけようとすればするほどドーンに夢中になる男性に対し、ドーンも少しずつこころを開こうとする。 ベッキーは寝たきりの夫の世話に明け暮れるストレスから、店長と不倫関係になっている。 オーナーのジョーはドーンやベッキーに煙たがられながらも、ジェンナにだけは何かと「人生の忠告」をするのだった。やがて、老年のジョーにもお迎えの時期がやってこようとしていたその時...。 お腹が日に日に大きくなってゆくと共にジェンナの出産への不安と、アールとの生活への不満が募りポマター先生と一線を越えそうになるのだったが...ポマター先生にも家庭があり...。 さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。 1.ドーンとベッキーの悩みの相談にジェンナをどう接したか? 2.ジェンナの家出計画は果たして実るのか? 3.ダメ亭主のアールは如何にしてジェンナを束縛するのか? 4.ドーンへ付きまとう男は彼女への心が通じるのか? 5.ポマター先生とジェンナの関係は不倫に発展するのか? 6.無事に出産したジェンナに対してアールが取った行動とは?ジェンナはどう出るのか? 7.老オーナーのジョーが最期にジェンナに宛てた粋なメッセージとは? などを中心にご覧下さい。 【鑑賞後の感想】 アメリカ映画にもこんな素敵な脚本の映画が存在するのは嬉しい限りだ。この映画は監督兼脚本兼ドーン役で出演しているエイドリアン・シェリーにはセンスのよさを感じる。 女性らしい視点で「パイ」を通じて、ジェンナと彼女を取り巻く「ジョーズ・ダイナー」でのウェイトレス仲間と老オーナーのジョー、ダメ夫アール、ポマター先生らとの関係が中心で、更にそれぞれの場面でのサイド・ストーリーの散りばめ方も見事である。 こんな素敵な映画を作ったエイドリアン・シェリーだがこの映画以外では、個人的に全く知らない存在だった。 所が、この映画のパンフの彼女のプロフィールを読んでいるとなんと彼女は2006年11月1日に40歳の若さで亡くなっているではないか。死因は不明(殺人事件の被害者として亡くなったそうです)だが、彼女には娘ルルがおりそのルルはラスト・シーンでの印象的な場面で「出演」している。 「パイ作りの名人」「ダメ夫」「ウェイトレス仲間との他愛の無い会話」「ストーカーまがいの男のあしらい方」「不倫」と言った題材を上手く一つの物語に全て纏めていた。 【自己採点】 88点。ハリウッドの大作だけでなく、こうした作品にもスポットが当たって欲しい。 人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.12.28 23:19:04
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