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2008.02.12
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カテゴリ:ヨーロッパ映画
8.ヒトラーの贋札
■原題:Die Falscher(英題:The Counterfeiters)
■製作年・国:2006年、オーストリア
■上映時間:96分
■日本語字幕:佐藤一公
■鑑賞日:1月19日、シャンテシネ(日比谷)
■公式HP:ここをクリックしてください
ヒトラーの贋札.jpg
□監督・脚本:ステファン・ルツォヴィッキー
□製作:ヨーゼフ・アイヒホルツアー、ニーナ・ボールマン、パペッテ・シュレーダー
□共同製作:カロリーネ・フォン・ゼンデン、ヘンニング・モルフェンター、カール・L・ヴェプゲン博士
□撮影:べネディクト・ノイエンフェルス
□編集:ブリッタ・ナーラー
□美術:イジドール・ヴィマー
□衣装:ニコーレ・フィッシュラナー
□音楽:マリウス・ルーラント
□タンゴ演奏:ウーゴ・ディアス
□メイク:ヴァルデマール・ポグロムスキー、ダニエラ・スカラ
キャスト


◆カール・マルコヴィクス(ソロモン・ソロヴィッチ)ユダヤ系ロシア人の世界的贋作師。仲間救済のために完璧な贋札造りに挑む
◆アウグスト・ディール(アドルフ・ブルガー)ユダヤ系スロバキア人の印刷技師。贋札造りはナチスを利するだけと協力を渋る
◆デーヴィト・シュトリーゾフ(フリードリヒ・ヘルツォーク)親衛隊と極秘任務ベルンハルト作戦を指揮する。ソロヴィッチとは過去に接点が...
◆アウグスト・ツィルナー(クリンガー医師)贋札工場の囚人監督で医師
◆セバスチャン・アーツェンドウスキ(コーリャ)ユダヤ系ロシア人の美術学校生でサリーを慕っていた
◆レン・クトヤヴィスキ(ロセック)鉄道員だが印刷工と偽り贋札の銅版彫刻に配置されるが...
◆ドロレス・チャップリン(カジノの令嬢)終戦直後のモンテカルロのカジノでサリーと出逢う
◆マリー・ボイマー(アグライア)ベルリンでの酒場の客でサリーがその美しさに見せられて一晩を共に過ごす

【この映画について】
第二次世界大戦末期、戦局が不利になったナチス・ドイツはイギリスの経済混乱を目的として起死回生の策として贋札製造作戦「ベルンハルト作戦」を行った。
この事件は戦後の1959年にオーストリアの湖底からポンド紙幣が見つかったことで発覚した。
映画の原作となったのは、強制的に贋札造りに従事させられたアドルフ・ブルガー氏の手記からである。氏は健在で氏の著書をベースにフィクション部分を加えて映画化された。
この作品は本年度のアカデミー賞外国語映画(ドイツ語)部門にノミネートされ、この部門ではカザフスタン映画「モンゴル」に主演している浅野忠信の作品もあるが、本作品の受賞が有力視されているが結果はどうなるだろうか楽しみに待ちたい。
見事!アカデミー賞外国語映画賞受賞決定!
【ストーリー】(一部ネタバレあり)
第2次世界大戦終結後、モナコ・モンテカルロの浜辺でヨレヨレのスーツを身に纏いたたずむ一人の中年男。その男、サロモン・ソロヴィッチはカジノの玄関をくぐりカジノへと興じる。スーツケースには贋札の束がぎっしりと詰まり、それを元手にルーレットに憑りつかれたかのようにプレイする姿は周りを見渡してもどこか異様だった。

1936年、ベルリンの酒場でソロモンこと通称サリーは商売に忙しかった。手先の器用さを生かして各国の偽造旅券、偽造紙幣の作成を依頼されれば作成するが、一箇所に長期間滞在することはしない。
ベルリンを発つ前の晩、最後の客であるアグライアからアルゼンチンの偽造旅券の依頼を受け、成り行きでベッドを共にする。が、運悪く翌朝、犯罪捜査局に踏み込まれ捜査官ヘルツォークにより逮捕される。

サリーはマウトハウゼン強制収容所へと送られ、そこで、欧州各地からきたユダヤ人らと一緒になり、既に始まっていたナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を想起させた。

暫くはマウトハウゼン収容所での生活が続いたが、或る日、ザクセンハウゼン強制収容所へと移送されそこで待っていたのはベルリンで捕まった時の捜査官で、その後出世して現在は極秘任務「ベルンハルト作戦」の指揮を執るヘルツォークだった。

「ベルンハルト作戦」は英国経済を混乱させる目的でナチス・ドイツ政権による極秘プロジェクトで、手に職を持つユダヤ人を集めて贋札造りに励むことが目的だった。

贋札工場では一般囚人とは別の場所にあり待遇も各段に良かったが規律は厳しかった。しかし、任務の遅れや失敗や技術習得の遅れ更には自身の健康悪化などは「死」を意味していた。
サリーの仲間は同じ列車で送り込まれてきたロシア系の美術学生コーリャ、妻がアウシュビッツ送りとなりナチを憎むチェコ出身の印刷技師のブルガーらだった。

サリーの卓越した技術とブルガーの持つ印刷技術をフルに発揮して贋札造りは順調にみえたが、自分らの行為がナチスの戦況を有利に導くことに気づき抵抗を呼びかける。しかし、それは仕事のサボタージュでもあり、仲間を裏切ることは死にも繋がることからサリーはブルガーを説得する。

ここからネタバレに注意!!


ブルガーはサリーの説得にも耳を貸そうとしないばかりか作業の妨害を図る。ヘルツォークはサリーに目を掛けられていることもあり1対1で話すことも出来る地位だが、作業がはかどらない苛立ちから「4週間以内の完成」を厳命し、未完成の場合はブルガーを含む5名を銃殺すると通告してきた。

仲間の動揺は激しくブルガーを密告するべきと詰め寄られるがサリーは拒否し、自身が印刷技術を習得しようと寝る間も惜しんで作業する。だが、そんなときにコーリャが結核に冒された。が、それが知られれば銃殺されるので、サリーは薬手配とヘルツォークが密かに家族とスイス脱出計画を練っていることから一家の偽造旅券作成の取引に応じる。しかしその甲斐もなくコーリャは銃殺され激怒する。

数日後、連合軍が迫ってきていることから作戦は中止され機械類も全て親衛隊により慌しく撤去された。静寂が漂う収容所にヘルツォークが単身で戻り密かに隠していた贋ドル札を逃亡資金として回収に現れ、サリーと対峙する。もう、指揮官と収容者の関係も無くなった二人は、サリーが銃を突きつける。
サリーにはコーリャの銃殺が許せなかった!それでもサリーに命乞いをするヘルツォークに対して引き金を引くことは無かった。

翌朝、収容所には囚われの身だった男達がサリーらの棟に押し寄せてきた。感情の制御を失っていた連中は、サリーらを親衛隊への協力者とみなし殺害せんとばかりにいきり立っていた。

サリーの波乱万丈の人生はこうして収容所を後にして、今ではモンテカルロで贋札を賭け事に全て費やしてしまった。この先の、彼の人生はどうなったのか...。
【鑑賞後の感想】
ナチス・ドイツが贋札作戦を企画していたとの話はTVで何となくみた覚えがあったけど、どういう作戦だったかは詳しくは知らなかった。

この映画は実際に作戦に従事させられていたユダヤ人(ブルガー)の告白手記を下に製作されただけに真実味を帯びている。
フィクションの部分もあるそうだが、この映画を観てナチスがいかにしてユダヤ人を自分らの都合のいいように使っていたかが分かった。
贋札作成に必要な印刷工とサリーのように実際に贋札製造を行っていた者たちを連れてきたのだから。サリーもブルガーも最初は協力的な態度だったが、ブルガーが徐々にナチス嫌いを如実に露にしたことから工場内の雰囲気まで変わってくる。

サリーはあくまでも工場内の作業は「仲間達」との共同作業と捉えていて、不足があればヘルツォークに直訴できる立場でもあった。
しかし、ブルガーは仲間達との連携より個人的感情を余りにも優先させ過ぎた。この二人の考えの違いからくる感情のぶつかりもこの映画での特徴で、サリーを演じていたカール・マルコヴィクスの演技はどこかヒョウヒョウとしていて掴み所がないが感情や表情の起伏は豊である。

ユダヤ人の戦争中の運命はアウシュビッツでの体験を下に欧米社会では語り継がれているし、ユダヤ人社会では未だに当時のナチスの戦犯を追い続けている。数日前にも高齢のナチの戦犯が移送されてきた。
日本では杉浦千畝氏がリトアニアの領事館勤務時に日本通過査証を個人の裁量で発行し、多くのユダヤ人を救った話が最近では評価されているが日本人としてユダヤ人の苦悩を理解している人は多くはないのが現状ではないだろうか?

そうした苦悩を理解するうえで最も有効なのがこうした映画の公開だ。「アンネの日記」もユダヤ人の苦悩の話だが、今回の映画も海外では評価が高くアカデミー賞外国語映画部門での受賞が有力視されているほどだ。日本での公開は限られた映画館のみなのはそうした意味でも残念だ。

アカデミー賞の受賞発表も迫っているが、受賞出来たら是非全国規模で公開してもらいたい作品だ。
【自己採点】(100点満点)
88点。娯楽性も兼ね備えた作品として高く評価した。

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Last updated  2009.06.07 22:46:27
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