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テーマ:ミニ・シアター系映画(152)
カテゴリ:映画・ドキュメンタリー
71.敵こそ、我が友~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生~
■原題:Mon Meilleur Ennemi(英題:My Enemy's Enemy) ■製作年・国:2007年、フランス ■上映時間:90分 ■字幕:寺尾次郎 ■鑑賞日:8月9日、銀座テアトルシネマ(京橋) ■公式HP:予告編はこちらでご覧になれます □監督:ケヴィン・マクドナルド □製作:リタ・ダゲール □照明:ジャン=リュック・ペレアール □録音:イヴ・ルヴェック、ステファンヌ・ビュシェール □ナレーション:アンドレ・デュソリエ □編集:ジャン=ピエール・ラフォルス □音楽:アレックス・ヘッフェス 【この映画について】 ナチス総統アドルフ・ヒトラーに心酔し、アンデス山脈に“第四帝国”建国を夢見た、元ナチス親衛隊のクラウス・バルビー。 彼の“3つの人生”を検証し、戦後の裏面史を白日の下にさらすドキュメンタリー「敵こそ、我が友 戦犯クラウス・バルピーの3つの人生」。 監督は、ウガンダのアミン大統領が独裁国家を築いた様子を描いた「ラストキング・オブ・スコットランド」でアカデミー賞を受賞したケヴィン・マクドナルドだ。 1935年にナチス親衛隊に所属し、1987年に仏の裁判で“終身刑”を宣告されるまでの五十数年。バルビーにかかわった人物の証言とインタビューと実写フィルムで構成される。 【ストーリー&感想】※ドキュメンタリーのためストーリーはありません。 バルビーは22歳でナチスの親衛隊に所属してから、フランスで1987年に「人道に対する罪」で終身刑を宣告されるまでの50年間の間に、「3つの人生」を生きた。 第1の人生は、ドイツ占領下のフランスで、レジスタンス活動家やユダヤ人を殲滅(せんめつ)、所謂「リヨンの虐殺者」の異名を持つナチス・ドイツ親衛隊保安部員(ゲシュタポ)として。 第2の人生は、戦後の混沌としたヨーロッパでアメリカ陸軍情報部の為にスパイ活動をしていてエージェント・バルビーとして。 第3の人生は、南米ボリビアにおいて、軍事政権を誕生させた陰の立役者であり、チェ・ゲバラ暗殺計画を立案したクラウス・アルトマンとして。 3つの人生を送ったバルビーを語る人物のインタビューも豊富に挿入されている。レジスタンス活動家で、フランス国民に英雄視されたジャン・ムーラン、そのムーランを売ったとされる同志のルネ・アルディ、ムーランの未亡人、ボリビアでのチェ・ゲバラの演説風景などだ。 また、マクドナルド監督自身もインタビューを実施し、その中には、バルビーの拷問を受けたとする被害者からナチ・ハンターの夫妻、バルビーの弁護を担当した悪評の高いジャック・ヴェルジェスなどが含まれている。 そうしたインタビューに混じって冒頭にバルビーの娘であるウーテ・メスナーのインタビュー映像では、父クラウスが「リヨンの虐殺者」と世間から呼ばれている人物像とはかけ離れていて「とても優しくて、思いやりがあった」と語っている。 マクドナルド監督は、被害者や関係者へのインタビューで語られるバルビーの虐殺者としての一面も、娘が語る父の家庭での様子もバルビーの一部を語る上で欠かせないと判断したのだと思う。 それとも、冒頭で娘のインタビューを流すことで、バルビーの2面性を強調しているとも思えるが、いずれにせよ戦争は一人の人間の人格を変えてしまう怪物であることは間違いないようだ。 【自己採点】(100点満点) 67点。 ブログランキング参加中です。ぜひ、1票を投じて下さい。(又は、見出しをクリックして下さい) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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