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テーマ:ミニ・シアター系映画(152)
カテゴリ:アメリカ映画
101.ラースと、その彼女
■原題:Lars and the Real Girl ■製作年・国:2007年、アメリカ ■上映時間:106分 ■字幕:松浦美奈 ■鑑賞日:12月20日、シネクイント(渋谷) □脚本:ナンシー・オリヴァー □美術:キルストン・マン、アーヴ・グレイウォル ◆ライアン・ゴスリング(ラース・リンドストロム) ◆エミリー・モーティマー(カリン) ◆ポール・シュナイダー(ガス) ◆ケリ・ガーナー(マーゴ) ◆パトリシア・クラークソン(ダグマー・バーマン医師) 【この映画について】 『きみに読む物語』『16歳の合衆国』の若き演技派ライアン・ゴズリングが主演を務めた本作は、内気な青年とその周りの人々を温かく描くハートフルドラマ。 アカデミー脚本賞にノミネートされた。監督はこれが2作目となるCM作家出身のクレイグ・ギレスビー。“リアルドール”に恋をするという型破り(ある意味スキャンダラス?)な設定のため、製作まで4年の年月を要したという。 カナダ・トロントの美しい雪景色の中、現代社会で希薄になった人間関係がひとりの純朴な青年によって再生していくさまを、温かい視線で描いている。ライアン・ゴズリングの卓越した演技力に注目したい一作だ。 【ストーリー&感想】 アメリカ中西部の小さな田舎町。ラース・リンドストロムは、人々から“ミスター・サンシャイン”と呼ばれる心優しい青年。彼は兄のガスと義姉カリンの家の敷地に一人で暮らしていた。 幼い頃のトラウマから、人とのかかわりを避けるようになった彼の社交といえば、週一回の教会への参列と会社での同僚とのおしゃべりぐらい。そんなある日、ラースが“彼女を家に招待した”と兄夫婦のもとを訪れる。内気な弟に恋人ができた、と喜んだのも束の間、現れたのはインターネットで購入した等身大人形。 しかし、ラースはその人形を“ビアンカ”と呼び、“彼女”の生い立ちや性格を楽しそうに説明する。弟が完全に正気を失ったと唖然とするガス。カリンはどうしたものかと、医師のダグマー・バーマンに相談を持ちかける。 だが、ダグマーは“周りの人間がラースの世界を受け入れてあげることが、問題の解決になるかもしれない”と助言。ガスとカリンはラースのために、街の人々にビアンカを受け入れるよう理解を求める。 戸惑いを見せながらもビアンカの存在を認めていく住人たち。そして、ビアンカがボランティアなど町の行事に参加するようになるにつれ、いつしか人々の間に失われていた町民同士の交流が蘇ってくる。それは、ラースの行動にも影響を与えた。 ビアンカが町に溶け込んでいくにつれ、苛立ちを見せるようになってきたのだ。次第にギクシャクしていく二人の関係。だが、その本当の原因は、ラースが仕事仲間のマーゴに対して愛情を抱き始めたことにあった。そして、ラース自身がそのことに気付いたとき、ビアンカが病に倒れてしまう……。 この映画のストーリーの中心は人間関係を築くのが苦手な青年が、リアル・ドール「ビアンカ」を入手してから発生する様々な人間模様を、田舎町での出来事として描いている。 ラースは母が亡くなったのは自分のせいだという自責の念から抜け出せない。そんなラ-スを田舎町の人たちは温かく見守ってくれる。 「ビアンカ」の登場に、当初は戸惑いを感じた住民も、ラースが良い方向に向かうならと受け入れることを躊躇わなかったところは良かった。 リアル・ドールが恋人という設定は、脚本がしっかりとしていないと全く相手にされないのだが、ここでは「ビアンカ」が登場したことで、住民達の絆や人間関係を改めて考えさせられたりするのだが、この映画のタイトルにある「その彼女」とは「ビアンカ」ではなく原題にあるように「Real Girl」であり、それはラースの職場の女性が彼に思いを寄せている、その彼女の事である。 結局、ラースはビアンカによって対人関係とは何かを自身の中で深く考え、身近に彼に心を寄せていた女性がいて、そうなるとビアンカの存在は何?と、今度は別の悩みが発生して、彼が下した結論は、ビアンカに寿命を与えることだった。 ラースを演じたライアン・ゴスリングは、内気な田舎の青年が住民達に助けられながら幸せを掴む様子を好演していた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.01.21 22:50:34
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