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2010.12.08
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10-78.エクスペリメント
■原題:The Experiment
■製作年・国:2010年、アメリカ
■上映時間:97分
■字幕:高橋澄
■鑑賞日:12月4日、ヒューマントラストシネマ渋谷(渋谷)
■料金:1,800円

スタッフ・キャスト(役名)


□監督・脚本:ポール・シェアリング
□撮影監督:エイミー・ヴィンセント

◆エイドリアン・ブロディ(トラヴィス)
◆フォレスト・ウィテカー(バリス)
◆キャム・ギガンデット(チェイス)
◆クリフトン・コリンズ・Jr.(ニックス)
◆マギー・グレイス(ベイ)
◆イーサン・コーン(ベンジー)
◆トラヴィス・フィメル(ヘルウェッグ)
◆デヴィッド・バーナー(ボッシュ)
◆ジェイソン・ルー(オスカー)

【この映画について】
1971年にアメリカのスタンフォード大学で行なわれた“スタンフォード大学監獄実験”をモチーフにして製作された本作。
普段抑圧された生活を送っている人間が、看守という囚人を抑圧する側に回ったことで“規律を守るため”という名目のもと、冷酷な行ないを平気でするようになっていく姿は衝撃的だ。この看守役として凄まじい演技を見せるのは、オスカー俳優のフォレスト・ウィテカー。物語前半、中盤、最後の表情のコントラストに注目して欲しい。
そして、もう一人のオスカー俳優、エイドリアン・ブロディが囚人役のリーダーを演じ、迫真の演技を見せている。監督はドラマ「プリズン・ブレイク」の企画・製作総指揮を務めたポール・シェアリング。
(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】
レイオフ(一時解雇)にあい職を失ったばかりのトラヴィスは、参加した反戦デモで出会ったベイに恋をする。トラヴィスに惹かれたベイはインド旅行に誘うが、トラヴィスは旅費に困る。

そんな折トラヴィスは、14日間の実験に参加して日給1000ドルという高報酬の求人広告を見つける。
トラヴィスは面接を受け、24人の男ばかりの被験者の1人に選ばれる。他の合格者は、人当たりの良いバリス、気弱で冴えないグラフィック・ノベルライターのベンジー、女好きのチェイス、元受刑者という過去を隠しているニックスなど。

24人の被験者は看守役と囚人役に分けられ、刑務所跡で終日それぞれの役割で振る舞う。監視カメラが彼らの行動を観察し、暴力行為があれば赤ランプが点灯する。ランプが点灯すると実験は中止され、報酬は支払われないという。トラヴィスは囚人役、バリスは看守役に選ばれる。実験初日、囚人たちのバスケットボールが看守に当たったことから、両グループに緊張が走る。
お互い、アクシデントを強調しているものの、看守役側は自分の役目に目覚める。

2日目、規則にのっとり食事を残さないよう強要されたトラヴィスが、囚人たちを扇動して騒ぎを起こす。それが看守側の逆鱗に触れ、バリスのリーダーシップのもと、体罰が暴力すれすれのレベルに引き上げられる。
バリスは人が変わったように、トラヴィスの頭を剃るなど屈辱的な罰を考え、行っていく。トラヴィスは看守側の攻撃に屈せず、理性を保とうとこらえる。対立はエスカレートしていくが、赤ランプは点灯しない。

日に日にお互いの対立は感情的に深まるばかり。当初はリーダー役だったチェイスからバリスへとリーダーが交代してから、体罰も度を超すようになり、実験参加前は気軽に話せる仲だったトラヴィスとバリスだったのだが...。
実験に参加したメンバーは誰もが日給1000ドルの誘惑にかられ、一線を越える手前で自制心が働いていたのだが、遂に、ある日、トラヴィスの先導の下で囚人側が結束して看守側を襲う羽目に。
数の上では圧倒的に多い囚人側の襲撃に恐れをなし、看守側はただひたすら逃げるのだが、遂に捕まり修羅場と化す。こうなると実験は中止となり赤ランプが点灯した。

実験参加者は赤ランプ点灯後に、実験参加者は我に返ったような表情で、来た時と同じバスに乗って帰る。車中では、当初、実験中止になった場合は報酬が支払われないとの契約だったが、何故か満額の小切手が支給される。

こうしてこの実験が終わりを告げる。しかし、実験とは言え、閉鎖された環境の中で与えられた地位と肩書が、あることを境にお互いが意識し始めたのが、バスケのボール誤爆事件だ。
よく「地位が人を作る」とか言うけど、まさにこの実験は平凡な人生を送っていた人間が、集団を組み、支配する側と反対側に分けられると人間の隠れていた本性がむき出しになる怖さが描かれていた。
これを独裁者と抑圧される国民と置き換えると、そうした国家が地球上の有る場所には幾つも存在する。どことは言わないがアジアにもアフリカにもそうした国家があるのは周知の事実だ。

冒頭とラストでトラヴィスとベイの関係が示されるが、これはこのストーリーの中では大きな意味は余りない。が、トラヴィスをこの実験参加に駆り立てた動機として描いているだけに過ぎない。
アカデミー賞受賞経験者であるフォレスト・ウィテカーの狂気じみた表情、こちらもアカデミー賞受賞者のエイドリアン・ブロディの抑えた演技は見事だった。この二人の演技と存在感が無ければ、単なるB級映画だっただろう。

ドイツ映画「es」のリメイクらしいですが、私はオリジナルを観ていないので、あくまでも今回の映画を観ての感想だと思って下さい。

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Last updated  2011.01.09 17:22:20
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