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テーマ:ミニ・シアター系映画(152)
カテゴリ:ヨーロッパ映画
10-80.リッキー
■原題:Ricky ■製作年・国:2009年、フランス・イタリア ■上映時間:90分 ■字幕:竹松圭子 ■鑑賞日:12月11日、ル・シネマ(渋谷) ■料金:1,800円 □原作:ローズ・トレメイン □衣装:パスカリーヌ・シャバンヌ □編集:ミュリエル・ブルトン ◆アレクサンドラ・ラミー(カティ) ◆セルジ・ロペス(パコ) ◆メリュジーヌ・マヤンス(リザ) ◆アルチュール・ペイレ(リッキー) ◆アンドレ・ウィルムス(医師) ◆ジャン=クロード・ボル=レダ(ジャーナリスト) ◆ジュリアン・オロン(図書館員) ◆エリック・フォルテール(肉屋) ◆アキム・ロマティフ(販売員) ◆ジョン・アーノルド(スーパーの店長) ◆マリリンヌ・エヴァン(オディール) 【この映画について】(ネタバレあり) 『まぼろし』『8人の女たち』など、女性映画の名手として知られているフランソワ・オゾン。本作は、生活に疲れたシングルマザーが主人公。 単調な毎日の繰り返しで、家ではただ眠るだけのような毎日。そんな主人公が同じ工場で男性と出会い、恋に落ち赤ちゃんが生まれる。どこにでもありそうな男女の話だが、赤ちゃんに翼が生えてきた…。 とはいえ、よくあるハッピーなファンタジー作品でもない。貧しくて単調な生活はリアルに描かれ、“翼”にもさまざまな解釈ができるような“含み”を持たせている。主人公の両親も、善良なだけの人間ではなく、優しさもあれば欲もある。 出演は、TVコメディ出身のアレクサンドラ・ラミー、「ハリー見知らぬ他人」のセルジ・ロペス。第59回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品。 (この項、gooより転載しました) 【ストーリー&感想】 シングルマザーのカティは、7歳の娘リザと2人で郊外の団地に暮らしている。カティは毎朝バイクでリザを学校へ送ったあと工場で流れ作業をするという、代わり映えのない日々を送っていた。 ある日、カティはスペイン人の新入り工員パコと恋に落ちる。パコは、カティの家に同居するようになる。 小さなころから母親と2人きりで暮らしてきたリザは、新しい家族が加わったことと、カティの関心が自分以外のところに向いてしまったことから、パコに反発するような態度を取り、家庭内にギクシャクした雰囲気が漂う。 そんな中、カティとパコの赤ちゃんが誕生し、リザがリッキーと名付ける。カティがリッキーにつきっきりになってしまい、リザは寂しい思いをしていた。そんなリザを見かねたパコは、今まで以上にリザの面倒を見るようになる。 そんなパコにリザは次第に心を開いていき、バラバラだった一家は、本当の家族になろうとしていた。しかし、仕事に行き詰ったパコと、育児に追われるカティは、衝突を繰り返すようになる。 そんな中カティは、リッキーの背中に痣を見つける。カティはパコが殴ったのではないかと問いただし、疑われたことに傷ついたパコは家を出る。ある日、リッキーの背中に羽が生えてくる。カティは戸惑いながらも、治療の方法を探る。しかし、リッキーの天真爛漫な笑顔を見るにつれ、我が子のありのままの姿を受け入れるようになる。 クリスマスプレゼントを買いに3人で出かけたある日、リッキーの羽がばれ、大騒ぎになる。カティの家に取材陣が押し寄せるなか、パコが戻ってくる。 リッキーに羽が生えて大騒動になってからの家族と、それ以前の家族内での人間関係の二本立てで描かれている。シングルマザーのカティの平凡な娘との生活も、パコと出会って直ぐに工場内のトイレで関係を持ち、同居するようになってからリッキーが生まれるまでが第一部。 その第一部では、パコの存在に戸惑いながらも、何とか家族としての絆が生まれるまでを描きながらも、外国人であるパコが浮いて見えるように描かれてもいる。 折角、リッキーが生まれて幸せを掴みかけたかのように見えた家族も、カティのパコに対する誤解が元で彼が家出をして、再び母子家庭に戻ってしまう。カティとパコの間の誤解が解けたのもつかの間、今度は、リッキーに羽が生えてそれがバレてしまい地域を巻きこむ大騒動で、静かな生活も一変してしまう。 こうなると人間の中で眠っていた欲がムクムクと表面化する。決して楽ではない生活を少しでも良くしようと、リッキーを取材のネタにして金儲けに走る二人。好奇の目に晒された家族だが、一方でまだ言葉をしゃべれないリッキーの背中の羽は日に日に「成長」し、家族が目を離すとどこに行くか判らない状態にまでなってしまい戸惑いは増幅される。 そして、一緒に散歩中、一瞬目を離した隙にリッキーは、成長した羽で空高く羽ばたいていってしまい、必死の捜索も叶わず家族は再び3人での生活に戻って行った。 オゾン作品にしては珍しく?分かりやすい展開とラストだったが、赤ん坊に羽が生えるという奇想天外な展開で、その赤ん坊を巡っての家族関係が主題。平凡なカップルに突如、異次元とも思える世界が展開され、その赤ん坊を生活向上のネタにしようとする貪欲さがもたげて来る所など、オゾン作品ならではの皮肉も込められている。 ラストでリッキーの行方が分からなくなり、リッキーはもう戻って来ないと悟った時の家族のホッとしたような、肩の荷が下りたような3人の表情が印象に残った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.01.16 15:14:38
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