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テーマ:邦画を大いに語ろう!(83)
カテゴリ:映画・邦画
10-82.ノルウェイの森
■配給:東宝 ■製作年・国:2010年、日本 ■上映時間:133分 ■鑑賞日:12月19日、吉祥寺オデヲン座(吉祥寺) ■入場料:1,000円
◆松山ケンイチ(ワタナベ) ◆菊地凛子(直子) ◆水原希子(ミドリ) ◆高良健吾(キズキ) ◆霧島れいか(レイコ) ◆糸井重里(大学教授) ◆細野晴臣(レコード店店長) ◆高橋幸宏(阿美寮門番) ◆初音映莉子(ハツミ) ◆柄本時生(突撃隊) 【この映画について】(ネタバレ含む) 1987年に刊行された村上春樹の小説「ノルウェイの森」。自殺した親友の恋人だった直子と大学の同窓生・緑との間で揺れ動く主人公ワタナベの青春のもがきを描いた究極の恋愛物語に、多くの人々の心が動かされ、時代が動かされた。 画期的な赤と緑の装丁も話題となり、当時はその本を持つこと自体が1つのステイタスにもなった。そんな20世紀を代表する小説は21世紀になった今も読み継がれており、その累計発行部数は1000万部を突破し、日本の国内小説累計発行部数歴代第1位の記録を更新し続けている。 更には、その小説世界は日本だけでなく世界をも魅了しており、現在までに36言語に翻訳されて各国で熱狂的なファン(ハルキスト)を生み出している。村上春樹は現在「世界でもっとも有名な日本人作家」と言っても過言ではない。 監督は『青いパパイヤの香り』『夏至』などの作品で叙情性溢れる映像美で人間の機微を静かに、でも温かく描くことに定評のあったトラン・アン・ユン監督。 (この項、公式HPより転載しました) 【ストーリー&感想】 高校時代にワタナベは親友のキズキとキスギの彼女だった直子と三人とよく一緒に出かけた。 キスギと直子のデートにワタナベが同行するのも普通だった。だがキスギはある日、車内でガス自殺を図り若い命に自らピリオドを打った。 キスギを喪ったワタナベは、知っている人間が誰もいないところで新しい生活を始めるために学生運動の盛んだった東京の大学に行く。 そこでワタナベは読み漁っていた本の余白と同じような空っぽな日々を送っていたが、ある日、偶然キズキの恋人だった直子と再会する。キズキはワタナベにとって唯一の友人だったので、高校時代にはワタナベと直子も一緒によく遊んでいたのだった。 それからワタナベと直子はお互いに大切なものを喪った者同士付き合いを深めていき、ワタナベは透き通った目を持つ直子に魅かれていく。そして直子の二十歳の誕生日、嵐の夜に、二人は夜を共にする。 だが、ワタナベの想いが深まれば深まるほど、直子の方の喪失感はより深く大きなものになっていき、結局、直子は京都の療養所に入院することになる。 そんな折、ワタナベは大学の食堂で読書をしていたところ、緑と視線が合い二人は出会った。兵庫の山奥で療養している直子とは会いたくても会えないワタナベは、直子とは対照的な緑と会うようになり、あるとき緑の自宅での食事に招かれて唇を重ねる。 機を同じくして、直子から手紙が届き、ワタナベは直子に会いにいけることになる。そこでワタナベは直子の部屋の同居人・レイコから直子の現状を知ることになる。また、直子も心に傷を抱えて療養所に来ていたのだった。 レイコのギターによるザ・ビートルズの「ノルウェイの森」(正確には「ノルウェーの森」です)を聴く。それは、直子が大好きな曲であった。「この曲を聴くと深い森の中で迷っているような気分になるの。どうしてだかわからないけど。一人ぼっちで、寒くて、暗くて、誰も助けに来てくれなくて……。でも、本当にいちばん好きな曲なのよ」「ノルウェイの森」を聴くといつも泣いてしまう直子は、ワタナベがいれば大丈夫と言っていたのだが、それでも結局直子は泣いてしまうのだった……。 結局、直子は療養の甲斐もなくレイコから彼女が自殺したと知らされる。最も、緑の出現後、ワタナベは急速に緑との関係を大事にし?、直子の存在は遠いものになって行くのは、やはり直子は療養していて治る見込みも不明なのでやむを得ない。 私は原作を読んでいないので、果たして難解とされる村上文学の世界をどこまで忠実に、ベトナム出身でフランス育ちのトラン・アン・ユン監督が再現したのか判りません。 それでも草原でのシーンは映画ならではの映像美が堪能出来るし、学園紛争の様子も当時の世相をしっかりと捉えている。文学作品の映画化なのでユン監督の書いた脚本も村上氏からOKが出るまで4年も費やしているそうなので、村上氏自身も映画化には満足しているのではないだろうか? 俳優陣は主役格の松山ケンイチと菊池凛子の演技は流石である。松山ケンイチは若手ではあるが、出演作品も多く異なるタイプの作品に出ていてしっかりと落ち着いた演技をするし、菊地凛子は海外作品でも評価が高いだけに、こちらも難しい役になりきって演じていた。 モデル出身で在日韓国人の母と米国人の父を持ち米国生まれの緑役の水原希子は、本作品が映画初出演でユン監督とミーティングを重ねて役作りをしたそうだ。松山ケンイチと菊地凛子に挟まれると、演技の拙さや台詞の下手さが際立ってしまうが、逆に言えばそれだけこの二人の映画の中での存在感が目立っている証拠でもあり、水原は素人みたいなものだから落ち込む必要はない。 共演陣ではYMOの細野晴臣と高橋幸宏の二人がチョイ役で登場していましたが、皆さんは判りましたか? 結局、最後はいきなりエンドロールを迎え様な終わり方で、これが村上ワールド? 【ザ・ビートルズの「ノルウェーの森」について】 この映画のタイトルにもあるように、「ノルウェーの森」はザ・ビートルズが1965年には発表した「Rubber Soul」に収録されている主にジョン・レノンが作った曲。 この曲ではグループとして始めてインドのシタールを取り入れたことでも知られている。メロディ・ラインはジョンらしく、どこか浮遊感のある曲調と難解な歌詞が特徴。 邦題は「ノルウェーの森」だが、英題の「Norwegian Wood」を直訳すれば「Wood(s)」は「木」を表し、(S)が付くと「森」を一般的には意味する。従って、「ノルウェーの森」は間違いであり、その点はレコード会社の当時の担当者も認めている。 英詩を掲載したので英語力のあるかたは英訳に挑戦しましょう。但し、ジョン・レノンの歌詞は一筋縄では訳せないケースもあり、この曲の文脈からは英国の労働者階級家庭が一般的に使う安い家具がノルウェー製であることから、「Norwegian Wood」はノルウェー製の木製家具である。 しかし、「Norwegian Wood」は性的な隠語を当てているとも思え、それを当てはめても歌詞の意味が繋がるが、少なくとも「ノルウェーの森」ではありません。 だから、レイコが語る「深い森の中で迷っているような気分」と話しているが...?です。 Words And Music By John Lennon/Paul McCartney I once had a girl, or should I say, she once had me; She showed me her room, isn't it good, Norwegian wood? She asked me to stay and she told me to sit anywhere, So I looked around and I noticed there wasn't a chair. I sat on a rug, biding my time, drinking her wine, We talked until two and then she said, "It's time for bed" She told me she worked in the morning and started to laugh. I told her I didn't and crawled off to sleep in the bath And when I awoke I was alone, this bird had flown So I lit a fire, isn't it good, Norwegian wood. お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.01.23 21:35:22
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