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テーマ:ミニ・シアター系映画(152)
カテゴリ:アメリカ映画 2010~
11-8.愛する人
■原題:Mother And Child ■製作年・国:2009年、アメリカ・スペイン ■上映時間:126分 ■字幕:松浦美奈 ■鑑賞日:1月22日、TOHOシネマズ・シャンテ(日比谷) ■料金:1,800円 □製作総指揮:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ □編集:スティーヴン・ワイズバーグ □音楽:エドワード・シェアマー ◆アネット・ベニング(カレン) ◆アイリーン・ライアン(カレンの母ノラ) ◆サミュエル・L・ジャクソン(ポール) ◆ナオミ・ワッツ(エリザベス) ◆ケリー・ワシントン(ルーシー) ◆チェリー・ジョーンズ(シスター・ジョアン) ◆デイヴィッド・ラムゼー(ジョセフ) ◆ジミー・スミッツ(パコ) ◆エリペィディア・カリーロ(家政婦ソフィア) 【この映画について】 この作品は『Mother & Child』という原題の通り、“母と子ども(娘)”の物語だ。劇中には、多くの母と娘が登場する。娘を手放した事を悔やみ、常に悔恨に苛まれて生きる母親。母に捨てられ、刹那的に生きる娘。子どもが欲しいと願い、なんとかして養子を貰い受けようとする女性。 ロドリゴ・ガルシア監督は、何が正しく、何が間違っているのかと言った主張を述べる事はなく、彼女らの選択を淡々と映し出す。娘を捨てた母親を演じたアネット・ベニング、母親に捨てられた娘を演じるナオミ・ワッツが、心境の変化によって顔つきや表情まで変化していく演技も素晴らしい。様々な選択が可能になったこの時代だからこそ、多くの女性に観て欲しい一作だ。 監督は「彼女を見ればわかること」のロドリゴ・ガルシア。第39回ドーヴィル映画祭でグランプリを受賞。 (この項、gooより転載しました) 【この映画について】(ネタバレあり) 14歳の時、カレンは恋人の子供を身籠るが、母親の反対で娘を手放すことになる。36年後。周囲との深いかかわりを避けてきた彼女は、介護をしながら一緒に暮らす年老いた母に対して、素直に接することができないでいた。 職場で出会ったパコはそんな彼女を理解してくれるが、関係はうまくいかない。だた、名前も顔も知らぬわが娘を密かに想い、届く事のない手紙を書き続ける日々。一方、母親の愛情を知らずに育ったエリザベスは、弁護士として成功。孤児であることを否定するように、物事に執着せずキャリアアップの人生を歩んでいた。 だが、彼女に予想外の出来事が起こる。同じ会社のボスの子供を妊娠してしまったのだ。この出来事が彼女を変える。今までのキャリアを捨て、産むことを決意したのだ。これにより、彼女はずっと閉ざしていた母の存在を意識し始める。 その頃、カレンの母親が亡くなる。生前、母に対して本当の気持ちを伝えられなかったことを悔やむかのように、カレンは娘を探し始める。 同じ頃、黒人女性のルーシーは、愛する夫と家庭を築きながらも、子供を産めない体であるため、養子縁組を決意。教会に登録し、ある妊婦と巡り会う。不意の妊娠で生まれてくる子供を養子に出そうとしていた女性だったが、実際に生まれると子供を手放せなくなってしまう。 失意のルーシー。そこへ、登録していた教会から連絡が入る。それが、見知らぬ母と娘を結びつけることになる。 若くして産んだ娘を手放したことを後悔しながら生きてきたカレン。母の愛を知らずに、拒絶することが当たり前になっていたエリザベス。母と娘の空白の36年間。決して重なるはずのない2人の人生を、一つの小さな命が引き寄せようとしていた。 ここには原題通り、何組かの「母」と「子」が登場する。邦題より原題の方がストーリー的にはしっくりと来る。中でもやはりその中心は、「ノラ」「カレン」「エリザベス」の三人の「母」と「娘」の関係で、更には、「カレン」とエリザベスが命懸けで産んだ「娘」(カレンからみると孫)との今後の関係までもが暗示されながら終わる。 エリザベスは自らの生まれ育った環境から、自分一人でキャリアを積んで生き抜く決意を胸に秘めている。にも関わらず、引っ越してきた隣家の若夫婦の夫をベランダ越しに誘惑したり、上司のポールを部屋に招き入れ、激しく行為に及んだりと、仕事だけでは無く私生活もどこか「他人とは違う」雰囲気が漂っている。 そして、ポールには家庭があるのだがエリザベスはポールの子を妊娠し迷った末に一人で出産することを決意し、ポールの前から忽然と姿を消す。一度は、ポールの娘に偶然にも転職先を知られてしまい、ポールに優しい言葉をかけてもらうが再度ポールの視界から消えてゆく。 エリザベスとカレンの母娘の行方探しも、タイミング良く挿入されるのだが、カレンは教会の仲介で娘を探すために手紙を書くのだが、これは教会の事務側の単純ミスで会えそうで会えなくなるのがミソ。 そのエリザベスはポールの子を難産の末に産むのだが、医師の忠告を振り切っての出産で死んでしまうのは気の毒だった。それでもその子が、実は、カレンの自宅の傍でエリザベスと同じようにある親子に引き取られ再開を果たすのは感動的でした。 このストーリーは、アメリカならではの社会的そして宗教的な背景もある。そもそも産んだ女性は不倫の子だったり、初体験時に避妊をしなかったのが原因で14歳で彼氏の子を身籠ったりと、そうして子供を養子として育ててくれる(たとえ子供がいても)寛容な土壌がある。 その反面、一度養子に出すと二度と会えないのが原則で、探すのは困難を極める。 今回のストーリーでもそうした要素が全て反映されていたのだが、脚本が良いので、ジメジメとした暗さは感じないし、むしろ最後は希望を感じさせるエンディングだった。 ナオミ・ワッツの妊婦姿はCGでは無く実際に彼女が妊娠している時に撮影したそうだ。そのワッツは難しい役柄だったと思うが、それぞれ異なる状況を巧みに演じ分けていた。 カレン役のアネット・ベニングは、若気の至りで失った娘の行方を気にかけながら、家政婦との関係も母との関係もギクシャクしながらも、最後は、「孫」と対面出来て何だか晴れ晴れとした表情で終わったのが印象的。彼女はアカデミー協会の理事でもあり、この演技で助演女優賞候補にノミネートされた。果たして職権で?受賞はなるか? 他ではサミュエル・L・ジャクソンは登場シーンこそ多くは無いが存在感あり。脇を固める俳優達の配役も見事でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.02.27 22:50:18
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