映画『ショパン 愛と哀しみの旋律』を観て
11-19.ショパン 愛と哀しみの旋律■原題:Chopin,Pragnienie Milosci■製作年・国:2002年、ポーランド■上映時間:126分■字幕:古田由紀子■鑑賞日:3月5日、シネスイッチ銀座(銀座)■料金:1,800円スタッフ・キャスト(役名)□監督・脚本:イェジ・アントチャク□撮影:エドヴァルト・クウォシンスキ□衣装:マグダレナ・テスワフスカ◆ピョートル・アダムチク(フレデリック・ショパン)◆ダヌタ・ステンカ(ジョルジュ・サンド)◆ボジェナ・スタフーラ(ソランジュ・サンド)◆アダム・ヴォロノーヴィチ(モーリス・サンド)◆イェジー・ゼルニク(ミコワイ・ショパン)◆ヤヌシュ・ガヨス(コンスタンチン大公)【この映画について】「母」であり続けるジョルジュ・サンドの愛情に対して、何よりもショパンが情熱を傾けたのは作曲だ。燃え上がるような恋の炎もやがては哀しい終末を迎えるのだ。2010年に生誕200年を迎えたショパンの半生を、サンドとの愛の日々に焦点をあてて描いた本作は、「革命のエチュード」「英雄ポロネーズ」をはじめショパンが残した名曲の数々をふんだんに盛り込んだ音楽映画としても贅沢なつくりになっている。世界的なチェリストのヨー・ヨー・マ、『戦場のピアニスト』の演奏でも知られるヤーヌシュ・オレイニチャク、さらに日本からはショパン弾きとして名高い横山幸雄もサウンドトラックに演奏家として名を連ねている。監督は「Noce i dnie」でアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたイェジ・アントチャク。出演は、「カロル~ローマ法王への歩み~」のピョートル・アダムチク、「カティンの森」のダヌタ・ステンカ。(この項、、gooより転載しました)【ストーリー&感想】(ネタバレあり)フレデリック・ショパンはロシアの圧政下にある祖国ポーランドでの演奏に嫌気がさし、コンスタンチン大公による気まぐれから逃れるために、家族の協力の下、単身ウィーンを経てパリに辿り着くが、音楽家としての才能を認められずにいてアメリカ行きさえ考えはじめていた。しかし有力者たちの集まるサロンで、奇跡的なテクニックを持つ人気ピアニストのフランツ・リストがショパンのエチュードを見事な演奏で披露したことから、ショパンの才能はパリに知れ渡る。まもなくショパンはリストから、女流作家ジョルジュ・サンドを紹介される。サンドはフランス最大の作家と言われる一方、前夫と財産と2人の子供の親権を巡る裁判中であり、その間にも数々の男との関係を噂され、まさに、パリ社交界一の寵児だ。サンドはショパンの才能に惚れ込み、その想いを彼にぶつける。一方、ポーランド貴族の娘マリアに求婚し、彼女の両親の許しを待っていたショパンは、サンドに関心を示さない。しかしショパンは持病を理由に結婚を断られ、ショックのあまり寝込んでしまう。ショパンが肺炎で倒れたことを聞いたサンドはすぐに駆けつけ、滋養に富んだ料理を作る。ショパンは彼女の優しさに心を動かされ、2人の関係が始まる。2人はショパンの療養と作曲に集中するため、サンドの息子モーリスと娘ソランジュとともにマヨルカ島へ旅立つ。温暖な島のはずだったが、その年は例年以上に雨が降り、ショパンの病状は悪化する。それ以降、冬はパリ、夏はノアンにあるサンドの別荘で暮らすようになる。ショパンは次々と名作を生み出していく。画家志望のモーリスは、母の愛を独占しようとする母より6歳も年下のショパンを快く思わず、ソランジュはショパンに尊敬以上の感情を抱くようになっていた。そんな2人はやがて、ある悲劇を巻き起こす。ソランジュはショパンを誘って散歩に出かけている最中に、母からショパンを奪おうとの一心で突如全裸になりショパンを誘惑するが、ショパンは関心を示さなかった。そして、日頃からショパンを快く思っていなかったモーリスは、母に対し、ショパンと自分のどちらを取るのか究極の選択を迫るが、母は煮え切らない態度を取り激怒したモーリスは銃を構える。こうしてサンド家は家庭崩壊への道を辿り、ジョルジュは泣く泣くショパンと別れる道を選ぶことになる。その後、ショパンの病状は回復せず、死期を悟った彼は故郷ポーランドの姉に手紙を送り看病を依頼し、間もなく亡くなった。この作品のタイトルは「ショパン」だが、ストーリーの構成はあくまでもショパンとジョルジュ・サンドとの愛の軌跡を描いている。故郷を離れてパリで生活するショパンに取ってサンドは母でもあり、スポンサーでもあり、理解者でもあり、自分を世に送り出してくれた恩人でもある。が、サンドが彼に注いだ愛情以上の愛情をショパンは音楽に費やした。そんな母ジョルジュの愛情が子供達に向けられる前に、ショパンに対して向けられたことで家庭崩壊は早まった。思春期の子供が6歳も年下の男に夢中になり、同じベッドの中にいることは、特に芸術家志望のモーリスには穏やかでは無かった。ソランジュは、母からショパンを引き離すには何が一番効果的かと考えた結果、女の武器を最大限に利用すればショパンは振り向いてくれると思っていたが...。ソランジュは結局、ショパンを母から奪う事は出来ず、成り行きで粗野な彫刻家との情事に励み?妊娠する。ポーランド製作の映画であるが、台詞は基本的に全て英語であるのは不思議だが世界公開を前提に作ったからかな?ショパンの音楽がふんだんに流れ、ロケ映像も綺麗だし、ジョルジュ・サンド役の女優も良かった。が、肝心のショパン役に今ひとつ個性とインパクトが足りなかった。出来ればサンド家との関係より、名曲誕生秘話みたいな展開が観たかった。私の様にクラシック音楽無関心派でも、充分に楽しめる作品だと思いました。