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マックの文弊録

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2007.01.08
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◇ 1月8日(月曜日); 旧霜月二十一日 壬寅、成人の日、初薬師

年が改まった。新しい年2007年の干支は丁(ひのと)亥(い)。
先ずはこの場をお借りして、普段不義理とご無沙汰の重ね餅を食らわせて、大変失礼申し上げている皆様に、まことに恐懼しつつ、慎んで新年の御慶と寒中のお見舞いを、申し上げる。

それにしても今日はもう既に1月も8日。成人の日で祝日である。
西暦2000年から、成人の日の祝いは1月の第二月曜日に行なわれることになった。それまでは、曜日に係らず1月の15日が成人の日であった。これは、1月15日が「小正月」として古来特別の日であり、江戸時代以前は、この日に元服の儀式が行なわれていた名残であった。
それが、「ハッピーマンデー」とやらで、今様に変化したのである。働きすぎの日本人に、何やかやと理由を設けて月曜日を祝日にしてやろうとのお役人の思し召しなのだが、会社をやっている身からするとどうもこれは迷惑だ。今年のように、元日が月曜日だと、1月最初の週の出勤日はわずか二日しかなく、おまけにその次の月曜日がお休みになるから、企業の中には年末の金曜日頃から1月第2週の月曜日まで、延々11日間もお休みにしてしまうところもある。その間事実上営業は停止してしまうことになるのだ。おまけに、10日は「五十日(ごとおび)」といって、我国では支払いの〆日である。そうなると資金手当に充てられるのが、三が日明けの二日間と直前の火曜日しかなくなり、当社のように資金繰りに汲々とする企業では、ハッピーマンデーなどとのんびりした気持ちにはなっていられない。
余計なお節介などしないで、伝統どおりにやってくれれば良い。第一その方が、物事の由来を忘れてしまわなくて済む。

年も押し詰まった12月30日には、イラクの大統領であったサダム・フセインが処刑された。「もう少し待って、お正月のお雑煮くらい祝わせてやれば。無体な!」と思ったけれど、かの国のお正月は又別の日である。
処刑直前と直後の様子は、我国のテレビでも放映されたが、裁く側の人間が皆バラクラバ帽(いわゆる「眼出し帽」)を被って顔を隠している。中に一人だけ顔を露出している者がいたが、映像では彼の顔にはしっかりモザイクが施されていた。
恐らくは、サダム・フセインを支持する反対派勢力の報復を恐れてのことであろうが、映像を見ている限り、カメラに顔を曝しているサダム・フセインの方が堂々として見えたのは皮肉である。
最近は我国のテレビ映像にもやたらとモザイクが施されている。それも「善良なる第三者」の顔や、車のナンバーが対象になっている。昔は世を憚る側や、後ろめたい輩の方が、覆面をしたり、頬っ被りをして顔を隠したはずなのだが、最近はどうも逆である。これも、無辜の市民が映像によってよからぬ輩に特定されたり、車のナンバー情報が悪用されたりするのを恐れてのことであろうと思う。しかし、悪玉のほうが堂々と(でもなかろうが)顔を曝し、善玉の側がこそこそと(ではなかろうが)しているのは、僕などの感覚ではどうも違和感がある。
周囲の人の目を恐れるとか、知らない人には訊ねられても道を教えないとか、いつの頃から世間では性善説より性悪説が主流を占めるようになったらしい。どうも現代という世界は殺伐たるものになりつつあるようだ。

それにしても、フセインの処刑はインターネットでその瞬間の様子まで観る事が出来るのだ。処刑台の床が抜けて、それまで何やら云っていた前大統領が落下すると、その刹那周辺から幾つもの叫び声が興る。「ヤッタァー!」と云っているのか、宗教上の祈りなのか分からないが、流石に異様な光景である。こういうものは無修正のAVと一緒で、余り明らさまにするものではなかろうと思う。しかし、インターネットが誰でも簡単にアクセスできる汎世界的なメディアとして、当たり前のものになってしまった以上、こういういわば露悪的なものを阻止するのは、個人一人ひとりの倫理規範と惻隠の情に依らざるを得ないのであろう。
そうなると「他人は原則信じてはいけない」となるのも残念ながら止む無しとなる。
これを以て公機関による規制強化や、メディアによる「自主規制」強化に走るのか、或いは何れ良識が健全な形をもたらすものと信じて行くのか。僕としては、無論後者の考えに近いのだが、何れにしろ大袈裟かもしれないが「人類の民度」が問われていくのだろうと思う。

ところで、インターネット上にある処刑後のビデオには、白布に包まれた故人を移送すべく車に積み込むところが映っていた。そこに見えたのは、車のトランクに某牛丼屋さんのロゴに似たマーク。流石は世界のトヨタであった。

1月6日(土曜日)は二十四気の「小寒」であった。いよいよ寒の入りだ。奇しくもこの日大陸から南下してきた低気圧が、西からやってきた低気圧と呼応して急速に発達し、日本列島一体は猛烈な冬の嵐に襲われた。暖冬で降雪の少なさに悩んでいたスキー場には、恵みの雪にはなったが、一方で台風並みの強風の所為で、リフトの運行が中止になったり、船が磯に吹き寄せられたり、スキー客が遭難したりと、いささかの騒ぎになった。二十四気の周暦も、後「大寒」を残すのみである。

 






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最終更新日  2007.01.08 17:23:47
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