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マックの文弊録

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2007.01.17
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◇ 1月17日(水曜日); 旧霜月二十九日 癸丑、土用、防災の日

Hunbury Manor03.jpg自分で創業して以来、海外旅行にはとんとご縁が無くなってしまい、パスポートが切れても気が付かないような体たらくだが、それ以前は年に何回と無く海外に仕事で出かける生活だった。
昔は、出張すれば短くても1週間程は滞在でき、ご当地の見物をする余裕があったが、段々世の中が世知辛くなって、機内泊も入れて2泊4日というあほらしいスケジュールも普通になってしまった。イギリスに出張したときも3泊5日という慌しいスケジュールであったが、当時の会社がロンドンの郊外にマナーハウス(Manor House)を取ってくれ、会議もそこでやってくれたおかげで、少しは楽しくも珍しい体験が出来た。(出来るはずであった)

マナー(Manor)というのは、封建制下の大英帝国における荘園のことである。其処にある家だから、つまりは荘園領主の邸宅という事だ。それを後になって改造して、ホテルや倶楽部などに解放したのだが、今ではManor Houseといえば、普通には荘園領主の邸宅由来のホテルという事になる。
当時の会社が用意してくれたのは、ロンドンの北方、ハートフォードシャーというところにあるハンベリーマナー(Hanbury Manor)というホテルであった。

Hunbury Manor04.jpg荘園領主の館だったというだけあって、周囲を緑に囲まれ、建物も堂々たる風格である。案内された部屋も広く、三方を出窓に囲まれた小部屋が付いたベッドルームには、天蓋のかかったベッドが鎮座し、別部屋となっているバスルームには、猫足の着いた陶製のバスタブが置いてあった。一泊だけの滞在には勿体無いほどのしつらえである。
ロビーには暖炉の脇に年代もののソファーが心地良さげに置かれ、歴代の領主が賓客をもてなしたと思われる(きっとそうに違いない)食堂も、如何にもさもありなんという風情がある。

さて、その天蓋付きの立派なベッドで一人寂しく(当たり前か)眠った夜が明けて、その日一日予定されている会議の議題を頭に浮かべつつ、テレビのスイッチを入れて驚いた。どこやらの街が燃えている。元々少ないかの地のテレビのチャンネルを切り替えても、どの番組でも街が燃えている。気が付いたら、「Kobe、Kobe」と云っているではないか。

そう、後になって「阪神淡路大震災」と俗称される事になる大地震が起こっていたのである。
地震が起きたのは日本時間で1月17日(火曜日)の午前5時46分であった。彼我の時差を考慮すると、ロンドンは16日の午後9時46分という事になるが、僕はホテルに着いて世界中から集まってきた連中と食事をしたりしていて、そのまま眠ってしまい翌日の朝になるまで知らなかったのだ。

それでも始めの頃は、「怪我人が数十人ほど出た模様」という報道で、大きな地震らしいとはいえそれほど深刻な様子ではなかった。ところが朝食が終わって会議が始まり、休憩が入る毎に観るテレビ報道によると、被害は急速に大きくなっていく。その内に在日英国人の安否に関する情報センターも開設され(これは、かなり早い段階から開設されて、さすが英国と感心した事を覚えている)、他の国から会議に参加している連中も、「大丈夫か?」と心配してくれる。

流石に心配になって埼玉の家に電話をしたら、当時未だ小学生だった下の娘が、「日本が沈没しちゃうよぉー」と叫んでいた。東京の会社に電話をしたら、幸いにして知り得る限りのお客や知人も身体生命は無事であるようだった。しかし、事務所や設備に甚大な被害を蒙ったところは何ヶ所かあった。折角の優雅なマナーハウスでの会議も、その後は気もそぞろになってしまったことではある。

この地震、正式には「平成七年兵庫県南部地震」というのだそうで、結果的に死者約6千500名、負傷者約4万4千名、約25万棟(約46万所帯)が全半壊、被害総額推計10兆円規模の大災害になった。平成七年は西暦1995年。つまりはこの年の干支は今年と同じ亥であった。もうあれから12年も経過した事になる。

今年はのっけから、千島海溝での地震による津波騒ぎがあった。それに、1923年関東大震災の年も、阪神淡路大震災の年も同じ亥年であったことから、「亥年は何かが起こる」などといわれている。そりゃそうだ、何事も無い年などは無い。
1996年(子)には、寅さんの渥美清が亡くなり(これは僕の友人にとっては大震災にも匹敵する「災害」であった)、1997年(丑)には神戸連続児童殺傷事件、俗に「酒鬼薔薇聖斗事件」が起こり、1998年(寅)には「和歌山毒カレー事件」が起こり、1999年(卯)にはジャイアント馬場が亡くなり、石原愼太郎氏が東京都知事になった。(ア、これは災害ではないか!?)又、2000年(辰)には「雪印集団中毒事件」が起こり、有珠山と三宅島が噴火した。2001年(巳)は、小泉純一郎氏が首相になる(これは災害か?)と共に、云わずと知れたアメリカ同時多発テロ事件が発生。2002年(午)は、モスクワ国立劇場やバリ島などでテロが相次ぎ、2003年(未)は、スペースシャトルコロンビアが爆発し、イラク戦争が勃発し、十勝沖大地震が起こった。そして更に2004年(申)は、新潟中越地震とスマトラ沖大地震が起こった。2005年(酉)は福岡県西方沖地震と、福知山線脱線・衝突事故である。又、JR羽越本線特急脱線事故もあった。更に2006年(戌)は、ライブドアショックに、北朝鮮の核実験である。
・・・・フゥーッ!ともあれ、干支にかこつけて、「亥年だから今年何か禍々しいことが起こる」などといわれては、丁亥生まれの団塊の世代205万人の一人としては、いささか迷惑である。

地震雲.jpgところでこの数日間関東周辺では「地震雲」も話題になっている。これは、地震が発生する前には空に独特の筋状の雲が出現し、その形態や方向、大空における滞留時間によって地震規模と発生地域が推定できる、とするものである。「鯰が騒ぐ」という「予知現象」よりは歴史は浅いが、中々信じている人も多いようである。
それがこのところ上空に出現し、話題になっていたら、16日の早朝に伊豆半島中部で二度にわたって地震が起きたものだから、「地震雲ファン」の間ではちょっとした話題になっているようである。
上の写真は地震雲の「一例」で、これはKinbaraさんと仰る方のホームページに掲載されていたものを借用させていただいた。(http://www2s.biglobe.ne.jp/~kinbara/)

地震というのは思い切って簡単に云ってしまえば、地層同士が押し合ったり引き合ったりするうちに、マクロ的な弾性限界点に達して一挙にそのエネルギーを運動エネルギーとして解放する現象である。要するにベニヤ板を折り曲げたり、引っ張ったりしていると、最後には割れたり引きちぎれたりするようなものだ。従って、カタストロフ現象が起きる前には相当な歪のエネルギーが地下に蓄積される事になる。
岩盤や地層における歪エネルギーの蓄積は、ライターの石を叩いて火花が生じるように電気的な不平衡を引き起こす、これがある程度の値を超えれば、鯰を驚かせたり、水中や地下に住む動物に異常な行動を起こさせるであろうことは一応の理屈である。
地震雲の支持者も、この辺りをその根拠とされているようだ。
しかし、地べたの電気異常が雲の形で「表現される」までには幾つもの段階がありすぎる。風の流れや、当時の気圧配置にも関係するだろう。どうも僕自身は、地震の予兆と地震雲との因果関係は、余りにその間に介在する要素が多すぎるような気がして、俄かには信じがたいのである。

もう少し直接的な民間研究がある。これは串田嘉男というアマチュア天文家の方が、流星のエコー観測の中で流星に起因するとは思えないFM電波の伝播異常に気付いた事に端を発する。
この方は元来私立の八ヶ岳南麓天文台の台長さんであったのが、今は設備を「地震前兆電離層観測研究センター」として、観測と研究にいそしんでおられるそうだ。串田氏の観測研究に関しては、少し古いが、「地震予報に挑む」 - PHP新書、2000年9月(ISBN4-569-61258-X)に詳しい。
再びチョー荒っぽく云えば、地震が起ころうとしている地べたの電気異常は、地上の鏡のように上空に存在し、一種のコンデンサーを形成している電離層に反映される。それはFM電波の電波異常として観測する事が出来、その異常成分や強度、継続する変化の様子をつぶさに調べれば地震の予報が可能になるだろうというものである。
何となく、地震雲よりも因果関係が近い感じがして僕などはこちらの方が「好き」である。

しかし、地震のような自然現象は、決して単純明快な理論では説明できるはずの無いものである。そういう点では鯰のパーティも、地震雲も、FM波の伝播異常も、程度の差こそあれ似たり寄ったりのものだと云えるのだろう。自然現象は単純な還元主義では理解できない。集団的なパラメータの係る創発現象として理解する方法を探るべきなんだろうという気が最近はしている。

いずれにしても、地震雲、FM波の異常、地下水位の異常、異臭、異様な発光現象、鯰が騒いだ、ドジョウが居なくなった・・・・・、そして「亥年のめぐり合わせ」を直列に付会して、「大地震が来るぞ!」と騒ぎまわるのは、週刊誌の売れ行きにのみ貢献するもので、我々自身の生活の安寧には全く役立たない。亥年の名誉にかけても、今年は大地震が起こらないよう祈るものではある。






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最終更新日  2007.01.17 20:52:58
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