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マックの文弊録

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2007.02.03
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カテゴリ:小言こうべえ

◇ 2月3日(土曜日) 旧師走十六日、戊辰、奈良春日大社万灯籠。

首都をなくしてみよう!

首都を移転するのではなく、首都そのものをなくしてしまう。

現首都の東京は自ら殆ど何も生産しない。この街の生業(なりわい)は、「権力と言葉を商売とする生業」つまり政治と、「金で金をひねり出す生業」つまり金融業が主で、民草の生きる糧を作り出すことはやっていない。こういう街に住み続けていると、「東京人」という変種が自ずと形成され、それ以外の地域に住む人々とは違った考え方をするようにもなる。「美しい国」と言ったって、東京人の考えるそれは利便性に固着し、多分に観念的で、絵画鑑賞的である。

さて、東京には首相官邸と内閣府、それに国会を置いておけばいい。地方に輩出する優秀な諸君(英傑とか英雄とかいう人材は地方からしか輩出しないものであることは、歴史において明らかである)は何もわざわざ混雑した東京に出てきて、金貸しや役人になることはない。畢竟彼らの地方定着も進むだろうし、一般職員の現地雇用だって促進できる。地方の活性化を考えれば結構な事である。

今や世界に冠たる高速通信網を誇る我が国の事だ、インターネットを駆使すれば省庁相互の瞬時且つ密接な連絡に不自由する事はない。何より「隣の役所にちょっと談合に行く」とか、「ちょっと料亭でメシでも食いながら・・・」などと云う行為が難しくなるのも良いことだ。何より「国」の行政官庁が、机上でではなく実地に「地方」を体感できる。

ところで、インターネットのような自立的で無統制のクラスター型ネットワークは、本質的に貧富や地域格差の拡大を防ぐ事はできない。そこで、此処に「統制」を持ち込む事にする。

分散配置された行政機関は、数年おきにローテーションを組んで官庁の所在地を交換していけばいいのだ。交換の具体策は宰相の専権事項だとすれば、一国の宰相の政策方針の実現にも役立つ。

外務省は先ず京都に置いて、その後岐阜県に移す。国土交通省は、先ず新潟か東北のどこかの県に持っていく。さしずめ最近昇格した防衛省は先ず沖縄県かな?厚生労働省は、北海道の夕張辺りを初の「赴任地」にすればよい。

何となく楽しくなってくるではないか。しかし、実は同様のことは我国の大企業各社が既に実行に移している事でもある。その気にさえなれば政府がやろうとしてやれないはずは無い。

次に、天皇陛下には京都へのご動座をお願いする。

明治維新以来、天皇は余りにも政治の中枢に物理的に近過ぎるところにおわします。それで、政治に巻き込まれたり、為にする政治家などによって「政局」に利用されてしまったりもなさる。ご不自由、ご不如意な事夥しい(と、勝手に拝察申し上げる)。基本的人権も放棄されている上に、俗権力に翻弄されておしまいになるのは、余りにもお気の毒だと思う。

つまりは、政府機関の地方分散に併せて、天皇と、ご希望される宮家の方々にも、「ふるさと」の京都にお戻りいただく。そうして、世界にも稀な国民統合の象徴として、その宸襟を安んじ奉るのがよろしい。

近代史を紐解けば、東京は「日本の首都」と法令で定められている訳ではない。天皇が京都から東京にご動座される際にも正式に遷宮の式典はなされていない。京都御所は、正式に存続しているし、紫宸殿には天皇の正式の御座である「高御座」がしっかり安置されているのである。そういう経緯があるから、京都の町屋の人たちは、「天皇はんは、箱根の東へ長ぁーい行幸に行かはったまんま」と今でも信じているそうだ。天皇が京都にお戻りになれば、京の人々の喜びは如何ばかりかとも思う。千年の都の伝統行事の数々も、再び艶やかに活気付くことであろう。

さて、「修身斉家治国平天下」という言葉が中国の古籍「大学」にある。曰く、「勉学に励み、身を修め、一家を為し、国を愛しこれを治めれば、天下は平和で安らかである。」ということだ。何の事は無い、阿部内閣の推進する教育基本法の改革や、憲法改定、「美しい国」の実現など一連の政策方針の依拠するところは、この「大学」の一句に尽きるではないか!

しかし、だ。一方で「衣食足りて礼節を知る」という言葉がある。

これは中国の春秋時代の「管子」からの言葉で、正確には「倉廩(そうりん=米倉、米びつ)満ちて即ち礼節を知り、衣食足りて即ち栄辱を知る」という。つまり、「腹が減っちゃぁ礼儀も節度もないやね。生活不安の中で誇りがどうのなんて云ってられるか!」ということである。

食料自給率、という指標がある。

国の一年間の食料消費量を熱量に換算して、その何%が自給できるかという数値だ。(下表は農水省「食料需給表」より抜粋)

 

日本

米国

英国

フランス

ドイツ

イタリア

1965年(昭和40年)

73%

117%

45%

109%

66%

88%

2002年(平成14年)

40%

119%

74%

130%

91%

71%

我国は今から約40年前頃までは、食料総需の7割強を自給できる国だったのが、自給率の漸減傾向が止まらず、今ではこれが4割にまでなってしまった。先進国では最低の数値である。つまり、戦争や大災害などの異変によって海外からの食料輸入が途絶えれば、我国1億3千万の国民の6割、つまり7千8百万人は飢えて死ぬ・・・!?いやいや、今や飽食でダイエットが流行るご時世だ。現在の摂取カロリーを今の半分程度に減らしても、デブがスリムになるくらいで死ぬ事は有るまい。しかし、それでもやはり全国民の約2割は飢えの為に苦しむことになるというのが、計算の答えである。これは農業政策の失敗と地方が疲弊した結果である。

国の倉廩が、危機にあって国民の4割を賄えない有様では、礼節を知るのは難しい。ましてや「美しい国」などとても覚束ない。

次にエネルギー自給率という指標である。

これは国のエネルギー総需要の何%を自前で賄えるかというものである。

【主要国エネルギー自給率表-2001年】

日本

米国

英国

フランス

ドイツ

イタリア

中国

韓国

20%

75%

112%

50%

38%

15%

100%

18%

(エネルギー効率表と共に、出展は、アルファ社会科学(株)本川裕氏)

要するに我国は国家運営を果たすために必要なエネルギーの80%は、外国に頼らざるを得ないのだ。これも主要先進国の中で最低であり、イタリアや韓国並みの数値である。

つまり我国の現状は、戦争しても兵器を生産補給する、又それを働かせるエネルギーも自前で調達できず、国民は銃後で飢えることになる・・・・この国はかつて自らそういう辛酸を舐め尽した筈ではなかったっけ?

然し、エネルギー効率という指標も一方ではある。

これはGDPの1USドル相当額を稼ぎ出すのに必要なエネルギー量(石油の重量に換算)のことだ。つまり、「エネルギーをどれだけ効率よく経済に結び付けているか」を表す指標である。

【主要国エネルギー効率表-2001年】

日本

米国

英国

フランス

ドイツ

イタリア

韓国

中国

90kg

250kg

170kg

150kg

130kg

140kg

300kg

1,020kg

なんとここでは我国は先進国中堂々の一位である。

我国は限られたエネルギーを効率よく使う点では世界に冠たる技術水準を持っている!つまりは此処に我国の活路が有り得る!

だから、首都をなくしてしまい、適切な統制を加えて地方を活性化し、これまでの数年間で失われてしまった「中産階級」を復活・再活性すべきなのである。地方と中産階級が元気な国は、国としても元気で民草の気持ちも大いに明るい。子供も将来に希望を持って、放っておいたって勉学に励み身を修めようとする。最近ではインドがその例である。

「憎いし苦痛」。

これは阿部宰相の仰る「美しい国」の鏡像である。納税者で選挙民でもある民草の一人としては、これを充分に考える必要がある。考えるだけではなく、声を上げるべきなのだ。






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最終更新日  2007.02.03 18:02:23
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