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マックの文弊録

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2007.02.05
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◇2月5日(月曜日) 旧師走十八日、庚午、大つち、初午。

今日は初午。この日は方々のお稲荷さんでお祭が催される。
伝説では、昔々(和銅四年 = 西暦711年)のこの日、当時優勢だった秦一族の秦伊呂巨(はたのいろこ)が全国のお稲荷さんの本社とされる京都の伏見稲荷に鎮座した。つまりは稲荷神社の発生に日と云うわけで、それが初午祭の由来であるとされる。

しかし昔は、一年の農耕暦の最初の日である「立春」の日、その後に来る最初の午の日が「初午」とされていたというから、元来は豊作祈願の催しだったのだろう。何れにしてもお稲荷さんは農耕の神をお祭するお社であった。

江戸の俚諺に、「江戸に流行るは火事、喧嘩。伊勢屋、稲荷に犬の糞。」というのがある。元々お稲荷さんは稲の神様であるから、食物神の「宇迦之御魂神」と同一視されるようになった。その後民草の生産活動が農耕以外にも及んで発展すると、お稲荷さんは工業神、商業神、屋敷神などをも吸収合併し、福徳開運の万能の神様に出世なさった。そして、農村だけでなく町家や武家にも盛んに勧請されるようになった。だから江戸の町中に稲荷社を犬の糞のように頻繁に見かけるようになっただけでなく、全国にも普及し、今では日本中に数万社ほどもあるそうだ。
まぁ、さしずめお稲荷さんもM&Aを通じて大成長なさったと言うわけですな。

ところで元々の稲荷神である「宇迦之御魂神」は別名「御饌津神」(みけつのかみ)とおっしゃる。動物の狐は昔「けつ」と呼ばれていたために、御饌津神を「三匹の狐の神様」と解釈し間違えて、「三狐神」としたおっちょこちょいがいた。由来狐は稲荷神のお使い、あるいは眷属であるということになってしまった。中世のころのことだそうだ。更に後になると、狐が稲荷神そのものであると誤解されるようにもなった。

さてさて、狐は古来油ものが好きだと信じられていて、それが油揚げが好きだということになった。なんだか三題噺みたいだが、結局稲荷神社には油揚げや稲荷ずしをお供えするということとはなった次第。ちゃんちゃん!

ついでに、稲荷ずしは名古屋で発明されたとされている。
なんでも、豊川閣妙厳寺(豊川稲荷)の門前町にある創業100年という門前そば屋、山彦、及び松屋支店が発祥の店なんだそうだ。天むすといい、きしめんといい、味噌煮込みうどん(うどんは茹でこぼすという手間を省いて、最初から味噌出汁で煮込んでしまう)といい、名古屋人はファーストフードを発明する才があるのだろう。

稲荷ずしは、甘辛く煮付けた油揚を袋状に開き、酢メシや炊き込みご飯などを詰めて作る。 白酢メシであっさり(素っ気無く)詰めるのは関東風。ご飯に具を混ぜて詰めるのは関西風なのだそうだ。関東風には、酢メシに振り混ぜるのは白胡麻か黒胡麻かと云う程度の論争しかない。これは何となく分かる。
さらに、油揚げを真ん中から二つに切り分けて、米俵に模して四角に仕上げたものは関東風で、対角線に切った油揚げにご飯を詰めて三角形に仕上げ、狐の耳に見立てたものは関西風なのだそうだ。これは、ちょっと良く分からない。

春待つや 云へらく無事は これ貴人 - 漱石






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最終更新日  2007.02.05 17:27:50
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