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マックの文弊録

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2007.02.27
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◇ 2月27日(火曜日) 旧睦月十日、壬辰。

日本人は外国語を「勉強しよう」と思うと、どうしても文字に依存するようである。
最近会費の払い戻しでトラブルを起こしている英会話スクールなどではどんな教え方をしているか知らないけれど、ラジオ放送のテキストなどを見ると、やはり「読んで聴く」のが主体になっているようで、その逆ではない。
アメリカなどでは、会話は出来ても読み書きが出来ないというのが、特に新移民の間で問題になっているようだ。こういう新移民向けに色々な教育施設が作られているようだが、それも日常生活で例えば納税に係る書類が理解できなかったり、子供の入学手続きに関する書類が読めないのは困る、と云う程度の動機のようで、文学書を読めるようにしようとか、まともな論文を書けるようにしようなどという高邁な目標などさらさらないようである。「お互い話が出来て、意思の疎通が出来れば良いじゃないか」というのがまぁ共通の了解のようである。
しかし、日本語ではこれを「文盲」というおどろおどろしい言葉で呼ぶ。文盲は無学と対をなし、無学は無教養と連鎖して、つまりは、文字の読み書きも出来ないのは人間として対等に扱ってはいただけない。これは我国民の習い性なのであろう。

従って、「外国語を勉強しよう」などということになると、辞書を買い込み、文法書を仕入れ、教科書を並べて、挙句の果てにそれだけで疲れてしまって、結局もとの木阿弥と云うことになってしまう。
当社なども小なりと言えど、海外との取引があるから、ある程度の英語力は必須である。ところが、ちゃんと大学を出ているのに、英語が出来ないのを当たり前のように思って憚らない連中が居る。一時は、補助金まで出して英語の修練を奨励したのだが、結局上記の流れを一通り辿って、環境だけ整えてオシマイにしてしまう連中ばかりなので、馬鹿馬鹿しくなって止めてしまった。

「英語なんかアメリカへ行けば、乞食や子供や盗人だって平気で喋っているんだぞ!日本で大学卒と云うことは、最低でも8年間英語を勉強したんだろう?もうネタモトは全部頭に入っているはずなんだから、どうしてやらないんだ!」といってみても、こういう連中は蛙のツラになんとやらで、押し黙ってひたすら小言が頭上を通過し終わるのを待っているだけである。

しからば、と代替策を考える人は昔から居たようで、ABCに全く没交渉のまま、英語でやり取りが出来るようにと色々珍案を考案なさった。
水が欲しい時は「ワラワラ=藁」(water)といえとか、電車やバスを降りるときには「揚げ豆腐」(I’ll get off)と叫べというのは有名だ。又、「掘った芋いじんな!」というのが、「今何時?」(What time is it now?)というのは古典的である。

こういうものが出来上がると、ちゃんと通じるのかと云うことが気になる。そこでNHKは実際にロンドンにアナウンサーを派遣して実験してみた。こういうことをやるから公共放送としての意義があるのかどうかは知らないが、ともかくこのアナウンサーは、ロンドンの街頭で、「掘った芋いじんな!」とか「揚げ豆腐!」とか「斉藤寝具店!」(sight seeing)と叫んで回ったのだ。そして・・・なんと!これがものの見事に通じたのだ。これは見ていてハラハラしたが、実に愉快だった。

こういうのは彼我を逆にしても同じである。むしろ外国人にとって日本語を覚えるほうが難しいだろう。
随分前の話である。
初めて日本に出張するアメリカ人が、コミュニケーションを円滑にするために簡単な日用語を教えてくれといってきた。無論彼は日本語が全く出来ない。
「おはよう」は「Ohio」、「こんにちは」は「corny cheer」と言えば何とかなるよ。と教えたのだが、「ありがとう」にはちょっと弱った。何処の国でもちょっとした感謝の言葉は、最も大事な円滑剤だ。そこで「Alligator」と教えてやった。アリゲーターというのは、アメリカ南部のミシシッピー川やフロリダの沼沢地に住むワニである。
そして彼は来日してどうしたか?
「おはよう」も「こんにちは」も恙無く通じたが、ここぞと云うところでAlligatorが出てこない。一生懸命考えて、最後に彼は「crocodile!」と叫んだのである!
因みに、クロコダイルもやはりワニではあるが、アリゲーターとは別の科に属し、アフリカ、アジア、オーストラリア、そして南アメリカに広く分布しているのだ。

日本に来たガイジンにとっては、日本語は如何にも面妖で、人によっては非常な興味を抱くものらしい。当社にも一人ドイツの青年がインターンシップで来ているが、社員が冗談めかして変な日本語を教えるものだから国に帰って妙な事になるんじゃないかとハラハラしている。

さて、最後にクイズを二題。
公平のために、英語→日本語、日本語→英語、の例を一つずつ掲げてみる。どちらも発音の類似だけで、意味は全く関係ないので、ご注意あれ。
(1) It’s a dirty mouse! (直訳すると、「汚い鼠!」となるが?)
(2) 家内屁をプー? (語尾は上げ気味に発音すること。)





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最終更新日  2007.03.01 18:01:46
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