カテゴリ:日ノ本は言霊の幸はう国
◇ 3月21日(土曜日); 旧二月二十五日 乙丑(きのと うし): 友引
ついに今日東京でも桜の開花宣言が出た。遥かに南の長崎でも、今日桜の開花宣言が出たそうだ。東京の開花宣言は昨年より七日早いそうだ。 だからといってすぐ地球温暖化と結びつけるのは早計だ。それより今年の日本の夏は又々大いに暑くなる恐れがある。その方がイヤだ。 ちょっと前のブログに「桜開花の標準木がどの木か分からない」と書いた。 今日たまたまお昼頃のテレビニュースで、靖国神社での開花宣言の様子を観られたので、標準木の大体の在り処が分かった。名札が付いているかどうかは未だ知れない。 それにしても、開花宣言の瞬間の様子は面白かった。 靖国神社境内の一角に、十数人のオジサンやオバサンが標準木と思しき桜の木を遠巻きにしている。木のすぐ傍には地味なスーツをしっかり着込んだおじさんが、ポツポツと咲き始めた花をねめつけている。 そしてこのおじさんは、やおら姿勢を正すと、「開花が五輪を数えました。これを以って開花宣言と致します。」とおごそかに(でもなかったけれど)おっしゃった。その瞬間周りのオジサンオバサンからは自ずと歓声が上がり、拍手が起こったのである。 この方は歴とした気象庁のお役人であるそうだ。 靖国神社近くに住む知人によれば、既に何日か前からこの木の周りには人が群れて、テレビカメラも待機しており、「一体何事だろう?」と思っていたそうだ。 気象庁のお役人も、神田橋近くの庁舎から此処まで出張ってきて、蕾の様子を連日しっかり見張っていらしたのだろう。何しろうっかり見逃しでもしたら、職務怠慢の廉で叱責を受けるかもしれない。「実は上の方の枝には、もう花が開いていたのにあの人は気付かなかった。」と苦情が来るかもしれない。或いはネットでチクられるかも知れないのだ。 そしてやっと今日、うららかな晴天の日中に、衆目の集まる中で桜の開花を晴れがましくも「公式」に宣言することが出来て、彼の任務も大過なく無事終わったのである。まことにご同慶の至り。ご苦労様でした。 ところで、あぁいう見張りは夜も続けるのだろうか?それとも桜の蕾は日中しか開花しないのだろうか?それとも日本のお役所の性向から推測するに、「毎年3月1日以降の日付であって且つ午前9時00分から午後5時00分の範囲内で、省令によって指定されたソメイヨシノの標準木において5輪以上の蕾の花弁の全てに90度以上の開展を認めた場合に、これを当該管内における桜の開花と認定し遍く布告する。」と決められているのであろうか。 これは別に冗談だとは必ずしも片付けられない。 現に「春一番」については、ちゃんと気象台の規則で定義が決められている。 曰く: 「立春の日から春分の日までの期間内において、日本海を進む低気圧に向かって、南側の高気圧から10分間平均で風速8m/s以上の風が吹き込み、前日に比べて気温が上昇した場合に、これを春一番と認定する。」 上の条件を満たさない場合には、幾ら春の南風が吹いても、気象庁は春一番とは認めないのだ。 何だか馬鹿馬鹿しいけれど、お役人が真面目な顔付きで宣言し、取り囲んだオジサンオバサンが喝采し、それをテレビカメラが映しているのだ。このご時勢に長閑でいいなぁとも思う。 しかし若し桜に意識というものがあったら、こんなにも注目されたら恥ずかしくも緊張しただろうな。 それにしても、開花宣言の根拠は一輪ではなく五輪の開花なのだな。これは今まで知らなかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|