カテゴリ:よもやま話
◇ 3月23日(月曜日); 旧二月二十七日 丁卯(ひのと う): 仏滅、彼岸明け
お彼岸が明けたら再び寒くなった。日本列島周辺の等圧線は再び縦縞模様に変わり西高東低の冬型に戻った。昨日気象庁のお役人から晴れがましくも開花宣言を賜った靖国のソメイヨシノも、今日は訪れる人も(恐らくは)少なく、俄な寒風に縮こまっていることだろう。 移り変わりの早いのは秋の天気が代表のように云われるが、春の天気も同様である。 ところで女性の心の移ろい易さを喩えて「女心と秋の空」などと云うが、元々これは「男心と秋の空」であったらしい。「男心と川の瀬は一夜にして変わる」などとも云われたようだ。 しかし、これはご維新前の江戸時代の武家社会でのこと。当時の武家では、女性は他家に嫁せば表の存在ではなくその家の「奥」であり、○×家のY染色体の継承責任を負わされた存在であった。だから自らの意のままに考えや生き方を変えるなど慮外の話であった。(武家以外の町人の世界では当時も男女同権で、むしろ女性の側から三行半を付きつけることも珍しくは無かったらしいけれど。) それが、徳川政権が瓦解して文明開化の新時代になった。これは同時に武家階級の没落であり、新興富裕層(主に士農工商の最下層をその中心勢力とした)の台頭であった。何しろそれまでの最上級と最下級の身分階層が猛烈にシャッフルされたのである。それに伴い女性の意識も大いに変革した。 「天璋院様のご祐筆の妹のお嫁に行った先のおっかさんの甥の娘」であることを、後生大事に心の拠り所にして生きるような旧士族の女性を尻目に、紫の袴を翻し短靴を履いて颯爽と女学校に通い、大人(つまり目上)の男に対して「随分ね。よくってよ。知らないわ!」などとしゃらっと言い放てる新女性が輩出した。そうなると移ろい易くも測りがたいのは男心ではなく女心と変じたのである。(漱石の小説に出てくるのは全てこのテの、男にとって謎めいた女性ばかりだ。) 以来「女心と秋の空」が主流となった訳。これはいわば男の側からの恨み節でもある。 だから、秋の方は女心に譲って、春は男心に復活の「栄」を授けることにして、「男心と春の空」などと言いふらしてみてもいいかもしれない。(今更という気もするけれど。) 閑話休題。 「いいちこ」という焼酎のブランドがある。九州大分の三和酒類という会社が出している「下町のナポレオン」という愛称の麦焼酎だ。 暫く前からDVDに録画したドラマを再生すると時々このCMソングが流れて気になっていた。唄っているのはビリーバンバンだが、男性二重唱のハーモニーが美しく何となくこちらの琴線を刺激する。画面には「BERNINA」という表示が出るので歌のタイトルがBERNINAかと思っていたら、これはスイス鉄道を走る急行列車の名前なのだそうだ。(いいちこのCMは此処) そうなると全曲が聴きたくなって捜してみたら、ユーチューブのHPにちゃんと見つけることが出来た。 「また君に恋してる」というタイトルで、CMソングを土台にしてリメークしたらしい。ハーモニーはやはり期待通りで美しい。 ♪♪ 朝露が招く光を浴びて 初めてのように触れる頬 掌に伝う君の寝息に 過ぎてきた時が報われる いつか風が散らした花も 季節巡り色を付けるよ 『また君に恋してる 今までよりも深く 未だ君を好きになれる 心から』 ♪ 若かっただけで許された罪 残った傷にも陽が滲む 幸せの意味に戸惑う時も 二人は気持ちを繋いでた いつか雨に失くした空も 涙拭けば虹も架かるよ 『くりかえし』 ♪♪ ムムム、なんと純情で清らかな。 こうなるとやはり移ろい易いのは男心じゃなくて女心だな。 因みに同じCMソングは坂本冬美も唄っているが、これはやはりオトコの歌だ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.03.23 17:03:05
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