カテゴリ:小言こうべえ
◇ 7月10日(金曜日) 旧五月十八日 丙辰(ひのえ たつ) 仏滅、東京浅草観音四万六千日
だから云わんこっちゃないじゃないか! 麻生さんがイタリアに行って日本を留守にしている間に、予想通りの麻生下ろしの動きだ。 特に自民党は喧しい。 曰く、こういう時こそ重要法案の成立に粛々と努めるべし。 曰く、静岡知事選で明らかなように、麻生では衆議院選挙は戦えない。 曰く、総裁選を前倒しして実施すべきだ。 曰く、都議選で負けたら早期解散すべきでない。 あれ?何か不祥事があると会社でも他の組織でも、トップは責任をとって辞めて、ガラガラポンと色々作り直すんじゃないの?それが国会の場合だと解散じゃなかったの? 一方の民主党を始めとする野党は相変わらず解散カイサンの連呼だ。これって壊れたテープレコーダーみたいで如何にも能がないのでは?「都議選の結果では内閣不信任案を」だって? 麻生さんは出張先のイタリアから飛行機に乗る時、相変わらず「解散は然るべきときにワタシが決めます」だったけれど、妙に明るい表情だったなぁ・・・ 今の状態、「政治や選挙のプロ」ではない民草から見ると、何だかよく分からない。 そこで、お得意の偏光メガネを覗いてみたら・・・ 要するに自民党内は、麻生さんを大将にしたままで暫く行こうとするグループと、大将の首を挿げ替えないとダメだというグループの鬩ぎ合いのように見受ける。しかし、どちらにも共通しているのは、自らの党の人気が下降している事への危機感だ。つまり、「このままだと自分の所属する会社は潰れてしまう!」、「そうなると自分は失業してしまい、路頭に迷う事になるんじゃないか?」という、既に民間では当たり前の「失業への不安」が自民党の議員にも蔓延しているのだ。 「都議選で与党が過半数割れしたら、解散を先延ばしにすべきだ」という話は一見不思議に思える。敗軍の将を戴いたままで暫く行くぞという事だからだ。しかし、これは麻生降ろしの作戦だ。 衆議院を解散する事は時の首相一人に付与された、大変に大きな権限だ。だから麻生さんが早々に衆議院を解散してしまうと、結局は麻生さんを大将にしたままで次の衆議院選挙を戦う羽目になる。それでは「失業」してしまう不安が強いから、そうさせないで自民党の総裁選挙を前倒しする。 そうして、新しい「自民党の顔」を押し立てて選挙を戦えば、失業の不安も少しは減るというものだ。この場合「新しい顔」であればいい。「頭」でも「腕」でもある必要はない。何しろ選挙用なのだから。 老獪な自民党の古狸たちは、軽々にこんな「つなぎ」の話には乗らないだろう。じゃぁ、そんなものになりたがる候補は居るのか?これがどうも居るようだ。 そのまんま東氏もその候補の一人だったかもしれないが、このところのすったもんだと、何よりだらだらした時間の流れの中で、彼の「顔」の価値は半減した。もう民草は彼に飽き始め、彼の真意も疑わしいと思っているからこれはナシ。 後は舛添要一厚労相が取り沙汰され、本人もまんざらではないようだ。 本人もまんざらでないといえば小池百合子氏もそうらしい。野田聖子氏なんかはどうなんだろう?若し、小泉チルドレンの片山さつき氏なんかが候補に上がって舛添さんと総裁選で戦ったら、ビミョーだろうな。しかし、話題性は大いにあるな。(お二人は一時夫婦であった。) 後は、中曽根弘文外相か?ちょっと前だったら山東昭子氏や扇千景氏も食指を動かした(或いは立候補を勧誘された)かもしれない。だが山東氏ではちょっともう「集客」は難しいし、扇氏は既に引退なさった。 自民党の総裁は今のところ日本の首相の最右翼候補になるわけだが、首相になれるのは、参議院であれ衆議院であれ国会議員であることが必要なのだ。日本の法律ではそうなっている。 要するに、麻生首相による早期解散を牽制する動きとは、そういう意味があるのだ。 「人気者を押し立てて選挙を有利に運ぼう」という魂胆は、政治家による伝統的大衆蔑視の姿勢が見えて不愉快だが、これはしかし常套手段として用いられる。 対するに民主党は来週辺り内閣不信任案を提出するだろう。 これは麻生さん相手だと選挙で戦い易いからだ。 衆議院では与党が議席数の三分の二を占めているから、不信任案は否決されてしまうことは既に分かっている。しかし、その際自民党の議員は不信任案に反対の票を投じざるを得ないのは当たり前だ。まさか、自民党の国会議員として民主党の不信任案に賛成する事なんかできない。 すると不信任案を否決する事によって今の内閣を、つまりは麻生さんを信任することになってしまうのだ。そうなると麻生降ろしをするのは自己矛盾になる。つまりは来るべき衆議院選挙は麻生さんを自民党の大将として戦う事を余儀なくされる。そうすれば民主党としては勝つチャンスが大きくなる。 まるで「風が吹けば桶屋が儲かる」式の話だが、民主党(と他の野党)は本気でそう考えているのだ。果たしてそう上手く思惑通りに行くのだろうか? しかし上に書いたような、余りといえばあまりに姑息な自民党のやり方で、民草は易々と騙されるのだろうか?それで、自民党(と公明党の与党)は勝算ありとして良いのだろうか? 実は、我が偏光メガネを通してみるとまだまだ見えてくる。 これを一言でいうと「投票率を下げる陰謀」である。 今与党が全力を挙げて追及している鳩山由紀夫氏の「死人の献金問題」は端的で分かり易い。小沢さんも西松建設問題でガンガンやられたが、かれは民主党代表をさっさとお辞めになってしまった。これは与党としては拍子抜けした事だろう。それに自らのお膝元にも西松建設疑惑に巻き込まれそうな連中は何人もいる。余り追及するとやぶ蛇だ。 そこに鳩山代表の疑惑だ。これは歴とした企業ではなく個人、つまり「死んだ人」や「覚えの無い人」が献金したという話だから、民草には分かり易い。だから自分に火の粉がかかる心配無しにどんどん責められる。 こうやって敵の大将を潰せば、よしんば潰せなくても民草の心根に疑惑を印象付けられれば、民草は麻生政権や自民党に失望していても、代替としての選択肢を失うことになる。 そうなれば選挙への関心は低くなり、投票率は下がり、自民党の「負けるチャンス」は少なくなる。そういう訳だ。 だから、今後この問題はまだまだしつこく追及されることになるだろう。 真実がどうかと云うことよりも、疑惑を掻き立てておけばいいのだから。 自民党と公明党の与党2党が組織票に強いことは良く知られている。保守は組織票、リベラルは浮動票と云うのは日本だけでなく世界で共通の現象だ。 浮動票というのは言い換えれば無党派層の票だ。この無党派層は気分で投票に行ったり行かなかったりする。一般に政治の世界に余り関心を持たない、徒党を組んだり党に組したりする事が嫌いな、どちらかといえば個人主義的な、もっと云えばインテリが多い。 組織票は基本的には動員されて集まる票だから、投票率が下がれば相対的に無党派層の票が減るということになる。 選挙は対抗候補より一票でも多く獲得すれば勝ちだ。選挙民の何パーセント以上得票しないと、票数で勝っても当選とは認めない。そういう「足切り」のシステムはない。法定得票数の制限は泡沫候補の出馬を妨げるという、全く別の理由からの制度である。だから幾ら投票率が低くても、相手より票数が多ければ良い。 つまりは組織票に大きく依存する与党からすれば、投票率が下がれば下がるほど自らに有利に働く。 自民党が上に述べたような、素人目にも分かるみっともないドタバタ劇をやっているのは、実は素人(つまり無党派層の人々)に厭選挙気分を蔓延させて投票率を下げようとする高等戦術かもしれない。 次に投票日を行楽盛んな頃か、皆が忙しい頃に持っていけば投票率は下がる。或いは大雨が降っても良い。しかし、如何に政治家といえどもお天気までは未だ左右できない。 具体的には、8月の旧盆から月末の頃だ。 日本には未だまだ旧暦でお盆をやるところが多い。何よりこの頃会社勤めのサラリーマンもお盆休暇を取り、家族で郷里に帰ったり、海外や温泉旅行に出かけたりする。夏休みも後半で、子供にせがまれれば否やは云えない。つまりは投票に行けない。 先日、お盆の前後の平日でも高速道路料金を最大千円にする事が決まったが、これもこの時期に有権者を投票所から遠ざけようとする深慮陰謀かもしれないぞ。 そして押し詰まって月末近くなれば、今度は夏休みの宿題のお手伝いに有権者は忙殺される事になるであろう。 こうなると猜疑心はどんどん膨れ上がる。しかしつい二三日前、自民党の誰かが、「解散は7月下旬頃。その後はいつでもあり得る。」と実際に言っていた。 日本の憲法では衆議院解散の日より40日以内に解散総選挙を行わなければならないと決まっている。そうなると7月下旬の解散では、8月下旬から末までの間に投票日が来ることになるじゃないか。・・・やっぱり! 少なくとも僕が偏光メガネで覗いた世界はそんな風に見える。 それにしても、おーヤダヤダ! 素直で爽やかな風が吹く世界とは対極の、醜くもおどろおどろしいものである事夥しい。 我々民草はどうすればいいのだろう?今のところ「とにかく投票に行こう!」位しか思いつけないのが苛立たしいのだけれど。 麻生さんは今日帰国の予定だ。 どう転んでも彼が今後も長く日本の首班である事は難しそうだから、いっそ本来の「アキバで人気の漫画好きのアソーちゃん」に戻って、何か爽やかでスカッとするような事をおやりになってくれはしないだろうか? おりしも浅草の観音様ではほおずき市が開かれている(今日までだ)。この日は四万六千日といって、仏様にお詣りすると四万六千日分お詣りしたと同じご利益があるという。つまりは仏様の「エコの日」だ。浅草寺のほおずき市はこの四万六千日に引っ掛けて行われる。 浅草寺のは今日までだが、東京では他にもほおずき市が開かれるところは多い。 八王子の信松院のほおずき市(7月9日~10日) 駒込大観音のほおずき市(7月9日~10日) 六本木朝日神社のほおずき市(7月9日~11日) 小石川源覚寺(蒟蒻閻魔様)の「文京ほおずき市」(7月18日~19日) 神楽坂毘沙門天のほおずき市(7月22日~23日) などだ。 ほうずきは別名「酸漿」と云いやはり本来は薬草であった。平安時代から鎮痛剤として用いられ、江戸時代には堕胎剤(!)としても使われたそうだ。 中国ではこれを「鬼灯」とも呼ぶ。日本ではお盆の頃死者の霊を導く提灯に見立てて、棚(盆棚)に飾った。 政治の世界の美しからざるお話を長々と書いてしまい、いささか気鬱症のきらいもある。ここはほおずきの鮮やかな朱色を、せめて一服の清涼剤として挿入し、今を蠢く生き亡者の魂を導くよすがともしたい。(無理だな) 引導の鬼灯は、英語ではChinese Lantern Plantという。最近は食用のほおずきもあって僕も何度か食べた事がある。冷やして食べると酸味が有って中々美味しいが、余り食べると流産する恐れがある・・・かも? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.07.11 13:24:52
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