カテゴリ:日ノ本は言霊の幸はう国
◇ 10月10日(土曜日) 旧八月二十二日 戊子(つちのえ ね) 大安: 目の愛護デー
【厚木憧憬】 - 続きの続き こうして厚木に付いて少しばかり勉強して来ると、何だか親近感、それも「もうちょっと頑張ったら良いんじゃない!?」という感情移入が募ってくる。知識が増えてくるほど、厚木に対する歯がゆいような気持ちが嵩じてくるのは何故なのだろう? 厚木は、1980年代中期以降、ニューメディア都市構想の一環として、市役所、鉄道駅構内、図書館等市内各公共施設にキャプテンシステム街頭端末の設置を進めたり、更にはその後更にインターネットを利用した公共サービスの電子化を進めるなど、先進的試みをいくつか実施している自治体でもあるそうだが、他所の人間にはちっともそんな印象が生じない。 その一方で、旧厚木宿付近はシャッターを降ろす店舗が多く見受けられる現状があり、商店会でも色々打開策を講じているらしいが、中でも埼玉県の川越市のように「小江戸」と呼ばれる街づくりを目指していると聞いた。 何故川越如きが目標なのか。 埼玉県に住む僕としては、「何か望みが小さいんじゃないの」という気がするけれど、考えてみれば水運を中心として街道の宿場町としてかつて栄えたという点では、両者共通しているところがあるのかもしれない。少し調べてみると、厚木はかつて東海道の脇往還、厚木街道の宿場町だった。江戸時代後期の政治家で画家としても有名な渡辺崋山は、「厚木の盛なる、都と異ならず」と記した事があるそうだが、それを根拠にして厚木人は「小江戸あつぎ創造会議」などというものを立ち上げ、「厚木=小江戸」プロパガンダの訴求を行っているのだそうだ。 ところが渡辺崋山は今の愛知県の渥美半島近くにあった田原藩の家老出身の人で、厚木とは何の地縁も無い。ムムム・・・ちょっと無理があるんじゃないだろうか?第一政治家なんて今も昔も適当なリップサービスを無責任にして回る人種だ。 憧れられた方の川越は、旧首都である江戸に程近く、松平信綱や柳沢吉保など幕府の重鎮が治めた街であるのに対して、厚木は先に述べたように、誰が自分の村の殿様やらよく分からない状況に置かれていた街である。 よく言えば厚木は権力に庇護されたりおもねったりすることなく、民百姓が闊達に生きた街だと云えよう。そうではないか? 又現在、川越には都心からの鉄道は、埼京線、東武東上線、西武新宿線、更にはそれらに相互乗り入れする地下鉄有楽町線、副都心線など、至便と云っても良いほど整備が進んでいるのに、厚木は事実上鉄道は小田急のみに依存している。 その代わり道路と云う形での広域交通網は、前にも述べたように二つの有料高速道路と三つの国道が市域を縦横に貫通しており、川越街道と関越道、それと国道16号しかない川越を大いに凌駕している。(しかしその所為で厚木市中は渋滞に悩まされている) 川越には蔵造りの町並みが保存されており、「小江戸」という呼び名も、多少大袈裟だと思うけれど冠する事が出来るが、厚木には往時を偲ばせるような町並みなどは残されていない。川越には江戸城の一部を移築した喜多院があるが、厚木には見るべき史跡が無い。 しかし、厚木やATSUGIの名を冠したものなら(厚木には無いけれど)川越を遥かに凌ぐ。「他所に在っても厚木は厚木だ!」と主張すれば、厚木の方がエライ。 川越の名物と云えば芋と芋を使った菓子の類だ。近頃は地ビールでも頑張っているようだが、まだまだ全国区には程遠い。その点、厚木は・・・・はて、厚木の特産品は何だったろうか?? 厚木は相模川の清流の賜物としての鮎が名産であったが、最近はご他聞に漏れず地物の鮎は激減してしまったそうだ。しかし厚木人は鮎には愛着が強いようで、鮎を冠したお祭りなどは今でも行なわれている。 鮎の他にはブタである。 厚木は元来養豚業が盛んな土地であった。本厚木の駅前や街中の商店街などには「とん漬」と称して、豚肉のスライスを味噌漬けにしたものを商う店が散見される。「なんだ!ただの豚肉の味噌漬けじゃないか」と云われてしまいそうだ。僕も反論したい気持ちが有るけれど、未だ自ら食する機会が無いので何ともいえない。厚木を訪れる機会が有った際にも、駅前のちょっと気になる老舗らしき店先にこれを見つけながら、「何だ!豚肉の味噌漬けだ。」と思って買わなかったのだ。この点、どうも「とん漬」の訴求力は今一つのようである。 それに対して近年知名度において伸張が目覚しいのは「シロコロ」である。 これは簡単に言えば、ブタの白モツを焼いた、そこいらの居酒屋で「ホルモン焼き」とか「モツ焼き」として出てくるアレである。 但し、一般にホルモンとして売られ、又焼肉店などで出てくるものは、どちらも腸を割いて平たく薄くしたものをボイルしたものである。しかし厚木ではそうではない。豚の柔らかい大腸のみを生のままよく洗い、しかも割かずに管状のままで供される。これは厚木周辺で養豚業が盛んであった賜物である。 脂身を適度に纏った豚ホルモンは、屠殺処理されたその日のうちに新鮮なままで市内のお店に納品される。 これを一口大に切って網で焼くと外側の皮が縮んで名前どおりにコロコロになり、柔らかながらしっかりした歯応えの外側と、内側の分厚く脂が付いている部分の取り合わせが絶妙で、ビールやお酒に良く合う。タレは店によって色々あるけれど、厚木市内の多くの店では味噌ダレが主流となっているようだ。如何にもコレステロールやプリン体だらけの、決して健康志向の食べ物とはいえないが、これは美味しい! このシロコロ、中々バカにしたどころではない。「ご当地B級グルメ」の全国コンクールである「B-1グランプリ第三回大会」(2008年)で、最高の栄誉であるグランプリ(金の箸の形をしたトロフィーが賞品だそうだ)を獲得してしまった。因みにB-1グランプリで金の箸を獲得したのは、第一回と第二回が静岡県富士宮市の焼きそば、第三回が我がシロコロ、そして第四回が秋田県横手市の「横手の焼きそば」である。 厚木のシロコロ以外は、どちらも主食ともいえる料理であるのに対して、シロコロは「おかず」或いは「おつまみ」であって、こういうものが単独でグランプリを獲得できたのはエライと思う。因みに来年つまり2010年の「第五回B-1グランプリ」は、他ならぬ厚木で開催されるそうで、厚木人たちは大いに意気に燃えているそうである。 厚木のコンビニやスーパーに行くと「地域限定シロコロスナック」というのも売られている。これも馬鹿馬鹿しい気もするけれど、中々美味しいのだ。 しかし近隣に養豚農家が多くあったことから発祥したシロコロも、宅地開発によって侵出した新住民からの「臭い!汚い!」という苦情に負けて在の養豚農家が激減してしまったことにより、最近では東北地方の養豚農家などからの納品に頼る結果になってしまった。そういう点では地産地消のご当地名物とは云えなくなってしまったのは何となく寂しい。 又、モノがものだけに、やんごとなき女性やセレブには嫌われがちで、愛好者がオッサンや若者に偏向しがちなのは無理からぬとはいえ、町興しの起爆剤としては少し弱い気もする。 厚木が「小江戸」を目指してNHKの朝ドラの舞台を引っ張って来ようとしても、ヒロインがもうもうたる煙にまみれながらシロコロをつまむというのでは、ちょっと画にはなりそうに無いではないか。 ところで厚木出身の有名人にはどんな人達が居るのか。 先ずは何よりキョンキョンこと小泉今日子である。キョンキョンは僕でも知っている。そして、榊原郁恵も厚木出身だそうだ。タレントとか女優ということになると僕が知っているのはこの程度だ。2006年ミス日本の小久保利恵と云う人も厚木出身だそうだが、この分野に闇い僕としては「あ、そう」と云う程度でしかない。他に名取裕子も厚木出身と看做すこともあるそうだが、彼女は高校時代を厚木で過ごしただけだと、我が厚木出身の知人はなぜか名取裕子を厚木人とはお認めにならない。 良く知らない小久保さんは別として、小泉今日子、榊原郁恵、名取裕子(知人は反対するだろうけれど)と並べると、なんとなく「厚木人」としての共通項が浮かび上がってこないだろうか?つまり、基本的に明るい性格で、しかししっかりモノで、元気が良い庶民派・・・・? 男性だと、スポーツ界には何人も厚木人がいらっしゃるらしいが、これまたこの世界に闇い僕が知っているのは原辰徳。尤も彼は生まれたのは福岡で、育ったのは相模原。厚木には小中学校の6年間を過ごしただけだというから、彼を厚木人にするには異論があるかもしれない。 あと、僕が知るのは政治家の甘利明だ。彼は先の麻生内閣では行革担当大臣を務めた人である。人柄や政治姿勢に関しては良く知らないからうっかりしたことは云えないが、自民党の海千山千の政治亡者連中と較べれば、何となく鳴かず飛ばずで印象が薄い気がする。尤もこれは僕が単に無知である所為かもしれない。 《もう少し続く》 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.10.15 02:07:59
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