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マックの文弊録

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2009.10.25
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◇ 10月25日(日曜日) 旧九月八日 辛丑(みずのと う) 仏滅:

【ハゼの紅葉】
ハゼの木の紅葉 その一東京には江戸時代から残る庭園が多い。
その内の一つに六義園というのがある。これは元禄年間(18世紀初頭)将軍綱吉の命により、川越藩主柳沢吉保が築園した、所謂大名庭園である。明治時代になって岩崎彌太郎の別邸になり、その後東京市に寄贈されて、一般に公開されるようになった。

地下鉄南北線の駒込駅で降りて本郷通りに出ると、もうこの庭園を囲むレンガ塀は直ぐ傍である。水戸徳川家の大名庭園であった、近くの小石川後楽園に較べれば小ぶりだが、都心の雑踏を区切って残された一角は、中々風情があってほっとする。

ここは、春の季節には枝垂桜が有名である。入口を入って直ぐの開けた場所の中央にこの木はあり、今の季節は何本もの支柱に支えられた枝についた葉がそろそろ色を変え始めている。

秋ももっと深まると、園内随所の楓が紅葉して見事な様子になるそうだが、まだそれまでには少し早い。

ハゼノキの紅葉 その二しかし、今頃の時期はハゼノキの紅葉が美しい。
ハゼノキは漢字で櫨の木と書き、ウルシ科ヌルデ属の落葉小高木である。この木は東南アジアから東アジア一帯の温暖な地域が本来の自生地で、わが国には江戸時代に琉球王国から持ち込まれた外来植物である。

この木の葉は丁度今頃から紅葉を始める。
その紅葉の仕方が面白い。
梢の先の葉群れが一斉にではなく、部分的に紅葉するのだ。それも紅葉する葉は徹底的に真紅に変じる。一旦紅葉するとなったら、相当の決意をもって一気に真紅に身を変じたように見える。
遠目には、未だ夏の緑のままの枝の一部に、真紅に燃える葉が混じっているのは不思議でもあるし美しい。

ハゼの実からは木蝋を作る。元々は観賞用としてではなく、木蝋採取のための資源作物として持ち込まれたのだそうだ。
木蝋から出来上がるのは和蝋燭だ。和蝋燭はパラフィン系の蝋燭より、明るく長時間持つ。それに炎から出る煤が少ないため、仏間や寺院などで金箔を貼った仏具を汚さないとして、西日本では未だに人気があるのだそうだ。

ハゼノキの紅葉 その三因みに、有名なマイケル・ファラデーの「ローソクの科学」での観察は、この和蝋燭を使ってのものだったそうだ。

俳句の世界では秋に美しく紅葉するハゼノキを櫨紅葉(はぜもみじ)とよび秋の季語としている。櫨の実も秋の季語である。

漱石先生にも櫨紅葉を詠んだ句がある。

二三本竹の中なり櫨紅葉

明治28年、先生28歳の句である。

ハゼの木はこれから日々色を変えていくのであろう。全木紅葉した眺めも良いが、未だ部分的な今頃が僕は好きだ。





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最終更新日  2009.10.29 17:54:06
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