カテゴリ:小言こうべえ
☆ 1月13日(水曜日) 旧十一月二十九日 癸亥(みずのと い) 先負:
【成人の日再び】 さて、成人の日のテレビニュースで、新成人に「あなたにとっての大切なものは?」と訊ねたら、例のフラミンゴ女たちが「家族です」などと答えていた。 又「新成人として何を決意しますか?」との問いには、若造が「二十歳の社会人として、社会のために責任を持ちたいと考えます。」などと答えているのが耳に付いた。 非常に気持悪かった。 今の二十歳は昔の二十歳とは大いに違う。 「昔の二十歳」といっただけでは幅が広すぎてよく分からない。 戦国時代から江戸時代位までは、日本人の平均寿命も短かった。人間だけでなく生き物はその一生の長さに応じて、人生の階梯の時期も変わってくるように思う。 ネズミは生まれるや否や程なく歩き始め、直ぐに「大人」になり、早々に自立して生殖行為を精一杯繰返し、四年もすれば世代交代していく。 人間も「人生五十年」などという時代には、十歳デコボコの頃には既に大人としての責任を背負わされ、二十歳代の頃までに何事かを成し遂げ、三十歳かそこらで老成し、家督を譲ったりして、後は成仏するに任せるというようなプロセスが典型的であった。 それに較べれば現代人の一生は格段に長い。 一生が長いと人生の節目の時期も延びる。人間が一生の間に成し得る事は、今も昔も大差は無いはずだ。だから、結局節目の間隔が長くなるという事でもある。 現代の物理年齢(実際の歳)に0.7を掛けてやることで、司馬遼太郎の小説に出てくる主人公たちの年齢と対等に比較する事が出来るという説がある。 こういう説は私などにとっては有り難い。49歳で亡くなった、我が畏敬する夏目漱石は、この方式では70歳に亡くなった事になり、「未だ私でも間に合うかもしれない!」と思える。 漱石の小説にも出てくる寺田寅彦は享年57歳だったから、これは今の81歳に相当する。こうなりゃもう私なんぞは楽チンじゃないか! 凶刃に斃れた坂本竜馬は31歳だったが、これが現代に引き直せば44歳くらいだと思えば、「それでも早すぎる死だが、よく頑張った!」と落ち着ける。 私だって昔流に言えばタカが43歳ではないか!まだまだ頑張ってやるぞ、という気持ちにもなろうではないか。今後この説は「年齢七割論」として、大いに支持することにしてやろう。 さて、そういう意味では現代の二十歳は十四歳という事になる。 そう思って見れば確かにそうだ。 未だ二十歳の大多数は親掛りだし、殆どが学生である。つまりは「成人」どころか、「やっと子供時代を抜け出しかかったひよっこ」程度のものだ。 その「十四歳のひよっこ」が、賢しらげに「家族」を大事にしてどうする!? 「社会のための責任」って、そんな責任を担えるレベルか!? 彼らはテレビの手前だからと、殊勝な事を言って取り繕ったのかもしれない。昔の十四歳と今の二十歳が断然違うところは、「マスコミ受け」することに非常に敏感だという点である。無論、昔には今のようなマスコミは無かったからでもあるが。 それにしても、タカが二十歳、されど二十歳でもある。 制度的には大人扱いを受け、しかも中身はまだまだ清新な年齢である。カメラの前で詰まらないチマチマしたことなど言って欲しくは無い。 むしろそういう歳であれば、家族などどんどん踏み台にして外の世界に向かうべきだろう。 今のいい加減な社会に貢献することなどは考えず、社会を作り変えるくらいの事を考えろってんだ。 二十歳なんて、これからが黄金の時代じゃないか。今は多少乱暴でもいいから、大望や大志を養い、大きい事にどんどん挑戦してやろうと思うべきなのだ。 弱冠二十歳にして、「家族を大事にし」、「社会に責任を果たす」などと考えるのは、こういうのを「草食動物的」というのかもしれない。 「草食動物」というのは今の流行りらしいが、草食動物は食物連鎖上、肉食動物を養うために在るのだ。肉食動物のための「栄養凝縮装置」だ。少なくとも生き物の世界ではそうだ。 おまけにこの世界には、獰猛な肉食動物が一杯いる。 身近、近隣、国内はもとより、国外に至るまで、狡知に長けた肉食動物が舌なめずりして諸君らを眈々と狙っているのだ。これをグローバリゼーションというのだ。 そういう環境の中に、実質十四歳のあなた方は、しかし形式的には成人として、これまでの少年法などの手厚い制度的な庇護を剥奪されて乗り出していくのだ。 あなた方は、高々二十歳になったくらいで、老成したフリをして、月並みに殊勝めいたことを言っていると、絶好の獲物として肉食動物たちに易々と餌食にされてしまうぞ。 若者たちが皆御行儀の良い草食動物になってしまうと、この国はいよいよ滅びるぞ! ・・・と大いに言い続けたいのだが、ちょっと草臥れたので、これは又の機会に譲ることにしよう。 何れにしろ、今年の成人は全員が平成生まれになったのだそうだ。昭和生まれの世代こそ、ぶうぶう煩く言わないでおとなしく草食動物になれと、反撃されそうな心配もあるし。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.01.13 18:51:29
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