カテゴリ:よもやま話
☆ 2月5日(金曜日) 旧十二月二十二日 丙戌(ひのえ いぬ) 先負:
【本の話】 最近は、小説などは極力ブックオフで買うようにしている。 ブックオフでの本の買い方は、普通の本屋でのそれとは違う。あそこは、小説類は作家名の五十音順で並べてある。だから、読みたい作家の名前を知っていないと本は探せない。 それと、例えばネルソン・デミルのプラムアイランドを見つけたとする。但し、上下分冊の上だけで下は無かったとする。ブックオフでは売りに来た人が持ってきた本だけが並ぶから、プラムアイランドの下巻は、次に誰かが売りに来ないと書棚には並ばない。だから、いつ手に入るか分からない。そうなると、今この本を買って、読み始めるべきかどうか悩むことになってしまうのだ。 こういう時、ネルソン・デミルのプラムアイランドの下巻が何処のブックオフにあるか探せると、そして有ったとすればそれを最寄のブックオフに回送できる。そういったサービスが付加されれば(既に行われているのかもしれないが)ありがたい。 小説というものには当たり外れが多い。読んでみて「何だ詰まらない」と思った場合には、本の購入に充てたお金が非常に惜しくなってしまう。読書に充てた数時間も惜しくなる。しかし、そういう場合でもその値段が新刊本の数分の一、又はそれ以下であれば(最近は「105円本」のコーナーも、店によっては随分充実している。)、まぁ諦めもつく。逆に予想外に面白く読めた場合には、随分「お値打ち」なのだから、幸福感もひとしおなのだ。 それやこれやで、若干の不満はあっても、私は最近ブックオフを利用するのである。 つい先頃C.C.ベニスンの小説を、これまたブックオフで見つけて購入し読んでいた。 C.C.ベニスンは前から知っている作家だ。イギリスの現王族に因むお城で起こる殺人事件を、エリザベス女王おん自らが解決なさる。そこにカナダから来ているメイドが絡む。けれんみが無い筋立てで、血湧き肉踊るアクションとか、ハードボイルドタッチなど何も無い。 しかし、読んでいる内にバッキンガム宮殿や、ウィンザー城の内部に入りこむことができる。英国王族、特にエリザベス女王や、女王に仕える下僕やメイドなどにも交わることが出来る。翻訳で読んでいても、クィーンズイングリッシュの気取った響きが聞こえてくるような気分になる。 就寝前に布団の中で読むと、心がまったりして、安らかに眠りに入る事が出来る。運が良いと、時々夢の中で女王陛下にお目にかかることすらできる。だからベニスンは、私の好きなミステリー作家の一人である。 そうしたら、ページの間から「Hiroshi Morii: Replaceable Summer」と書いてある栞が出てきたの。これは森博嗣の「夏のレプリカ」の栞なのだ。夏のレプリカは私は未だ読んだことが無いが、森博嗣は名古屋大学の現職の工学系の先生で、彼の作品は「理科系のミステリー」として、かなり以前に有名になった。「すべてがFになる」とか、「封印再度」とか、一連のシリーズものは、当時私も出版されるや直ぐに買って読んだものだ。特に主人公の一人である天才少女、西之園萌絵嬢には、密かに恋心すら抱いた。 この栞には講談社文庫と書いてあり、C.C.ベニスンの本とは関係ない。ベニスンの本の出版社は早川書房なのだ。 つまり、この本の以前の持ち主が、自分の使っていた栞を挟んだままブックオフに売ったのだろう。 なるほど、この人は森博嗣も読んで、C.C.ベニスンも読んでいるのだ。そう思うと、この本の見知らぬ前の持ち主に何とはなしに親しみを感じてしまう。 こういうのも新刊本にはない、ブックオフならではの楽しみなのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.02.08 12:04:23
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