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マックの文弊録

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2010.05.03
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カテゴリ:何か変だね
☆ 5月3日(月曜日) 旧三月二十日 癸丑(みずのと うし) 仏滅: 憲法記念日

今日は憲法記念日だ。日本には憲法記念日といえる日は年に2回ある。
今日、5月3日は1947(昭和22)年のこの日に、現行憲法が施行されたのを記念する日である。現行憲法はその半年前、1946年の11月3日に発布された。いわば正式に予告されたわけだ。11月3日はしかし、憲法とは何の縁も感じさせない「文化の日」と呼ばれ、休日になっている。

ところで、現行憲法は施行直後より改正の意見や主張が見られたが、このところ普天間基地移転などの問題を巡って、同様の議論が活発になってきている。
憲法改正を主張する側に共通する主張は、当時からおおむね同じようなもので、先ず第一に敗戦国だったわが国が、占領下で米軍に強制された「押し付け憲法」であるというのは、改憲側の人たちに共通している。最近はもう一つ、現行憲法になって既に63年、実情に合わなくなったという、「老朽化」と言う主張も加わってきている。

私も日本の国民として、自国の憲法が余所者に決められたものであることには、余り面白い気がしない。しかし、一部の人たちが言うように、当時のアメリカが自国の利害で憲法の内容を決め、それを戦勝国・占領者の強権で押し付けたという意見には、組みしない。アメリカと言う国は、ある部分で非常に理想的なものに憧れる国である。しかも、それに燃えてしまうと、すぐにそれをだれかれ構わず実行しようとする連中が多い。昨今いよいよ急な嫌煙運動もそうだし、ウーマンリブも然り、反捕鯨運動なども同じである。
憲法についても、こういうお節介な面もあって、当時の米国側の連中が自らの理想とするところを日本において実現しようとしたであって、政略や世界戦略などの遠謀が働いた程度は殆ど少ないのではないかと思う。

次に「老朽化」ということだが、憲法というものはそれ自体にかなり精神的・理念的なものを含むものだ。英語ではConstitutionというが、これは「構成」、「組織」などという意味の言葉で、同様の意味を持つConstructionよりは、堅く高邁な意味で使われる。他の法律や規則より上位にたって、崇高な地位を占めるべき法律、或いは規範と言ってもいいものだ。
それが「老朽化した」とか「実情に合わない」と批判して改憲議論の根拠とするのは私はにはどうしてもしっくりこない。

憲法議論になると常にハイライトされるのが第9条だ。
折角だから、ここに全文を掲載しておく。憲法第9条は以下の二つの項からなっている。

1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

どうもこの第2項の「戦力を保持しない」と、「国の交戦権」が議論の対象になっているらしい。第1項は理念としては至極全うに思える。しかし続く第2項ではその理念を実践するための具体的手段が書かれている。それが具体的な規制であるがゆえに、議論の集中するところとなっているのだろう。

第2項を実践して果たしてこの国は現実に守ることが出来るのか?
ある人がブログ上で、「憲法第9条がそんなにありがたく崇高なものなら、中国や北朝鮮にも採用させたらいいじゃないか。」という意見を書いていらした。その心には、「日本だけ武力放棄していたら、馬鹿を見るだけじゃないか」という事がおありなのだろう。

或いは国際平和自体が未だに「正義と秩序を基調」とせず、現実には経済と軍事力を基にした「秩序」で維持されているのだから、日本がそういう「国際平和」に貢献しようとするにはやはり「軍事力」が求められるではないか。という考え方も有るようだ。

理念と現実は常に乖離する宿命を持っている。その両者は常に折り合いを付けていかなければならない。その折り合いを付ける際にどちらの側に考えの軸を置くかといえば、私はやはり理念の方にすべきだと考える。理念が老朽化したとか、実情に即さないなどと言う考え方は、どうしても不自然である。理念は人間の時々の都合で安直に変更すべきものではない。
私はそう思う。

それにしても、憲法記念日をきっかけにして、そういうことに思いを致させてくれるのは結構なことだ。どうせなら、年に一回ではなく、「文化の日」などというよく意味の分からない名も改めて、「憲法発布記念日」に戻して、年に2度ずつ考える日を作ったらよいのではないか?





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最終更新日  2010.05.07 16:22:28
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