カテゴリ:そこいらの自然
☆ 5月9日(日曜日) 旧三月二十六日 己未(つちのと ひつじ) 仏滅: 母の日
5月5日の拙ブログに引用した「夏は来ぬ」という唱歌には、冒頭に時鳥が出てくる。ホトトギスは、今頃の季節に中国南部やインド地方からやってくる渡り鳥だ。この鳥は、随分昔から日本人には親しまれていたようで、清少納言も、ホトトギスのその年の一番鳴きを聞くために夜明かしをしたそうだ。当時の風流人にとって、ホトトギスの初鳴きは初鰹と同じように貴重だったらしい。ホトトギスは日本人との付き合いが長いせいか、充てられる漢字も多く、時鳥の他に「杜鵑」、「子規」、「不如帰」、「杜宇」、「蜀魂」、「田鵑」などがある、どれもルビ無しで読むのは大変だ。 この鳥は托卵といって、他の鳥の巣に卵を産みつけ、それとは知らぬ養い親に子供を育ててもらう習性があるそうで、無理やり育児を押し付けられる鳥はウグイスだそうだ。また時鳥は食虫鳥でもある。 だから、ウグイスが卵を産みつけ、毛虫が這い回る頃にならないと日本にはやって来ないわけで、他の夏の渡り鳥よりは、渡ってくる時期が遅い。 時鳥の鳴き声は、「テッペンカケタカ」(天辺懸けたか)と聞き為すのが有名だが、これは関西弁での話だと、金田一春彦先生の「ことばの歳時記」に書いてあった。 「考えてみると、あれを『天辺懸けたか』と聞きなした人は、京都の人で、京都のアクセントなら『天辺懸けたか』ということばを言っているようにきこえても、無理のない話しだ。愛知県三河の鳳来寺山はホトトギスの名所であるが、あそこではホトトギスの声を「特許許可局」と聞きなしている。」 そこで、実際に鳴き声を聞けないものかと、探してみたら見つかった。 私のブログの僅少な「購読者」に中に、ここでも何度か引用させていただいた釈迦楽先生という方がいらっしゃるが、東京育ちで現在名古屋にお住まいの先生の耳にも「許可局」と聞こえていらっしゃるそうだ。 果たして皆さんにはどう聞こえるであるだろうか? 釈迦句先生は更に、 「あと鳥の鳴き声で面白いと思うのはコジュケイでしたっけ、『チョットコイ、チョットコイ』、あと三光鳥の『ツキ・ヒー・ホーシー』です。」と教えてくださった。 折角ネット上で鳥の鳴き声を聞く場所を見つけたので、同様に此処に掲げてみることにする。 まず、コジュケイである。コジュケイは漢字で「小綬鶏」と書く。キジの仲間のこの鳥は渡り鳥ではなく、雑木林や里山に一年中いる留鳥である。昔台湾辺りから日本にやってきた鳥だそうで、寒いところが苦手らしく、東北地方の南部が生息地の北限で、雪深い日本海側には居ないそうだ。さて、その鳴き声だが、「ちょっと来い、ちょっと来い」と聞こえるだろうか? 次にサンコウチョウ(三光鳥)である。この鳥はスズメ目カササギヒタキ科に分類され、日本には夏鳥としてやって来る渡り鳥だ。里山から低山にある暗い林の中に住んでいる鳥だそうで、その鳴き声が「月・日・星」と聞こえるから「三光」という名が付いたのだそうだ。 その鳴き声だが、私には「ツキヒー・ホシホシホシ」といやにお星様に思い入れがあるように聞こえる。この鳥は渡り鳥ながら静岡県の県の鳥にもなっている。サッカーチームのジュビロ磐田のエンブレムにも、この鳥が月・日・星と共に描かれている。 何処の局か覚えていないが、タモリの出てくる番組で「空耳アワー」というのがある。英語の歌の歌詞を日本語の句に聴きなすという趣向で、中々面白い。 こうして、鳥の鳴き声を聞いてみると、今では街中では中々聞くことが出来ないけれど、どれもかつて何処かで聞いた覚えがある。覚えがあるということは、それ程昔のことではないということだから、まだそれなりの場所へ行って注意していれば聴くことが出来るのだろう。そういう鳴き声を私のように先入観の無い若者や子供たちが聞いたら、天辺懸けたかとか特許許可局、あるいは月日星などとは恐らくは聞き為さないだろう。どのような「空耳」になるか、ちょっと興味がある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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