カテゴリ:そこいらの自然
☆ 5月11日(火曜日) 旧三月二十八日 辛酉(かのと とり) 赤口: 長良川鵜飼開き
今日は先日までの「夏日」とか「真夏日」とは打って変わって、この辺ではどんよりとした空からしょぼしょぼ雨が落ちてきて薄ら寒い。予報では大陸から寒気が運ばれてきているらしい。 郷里の岐阜では、この日から鵜飼が長良川で行われる。鵜飼の歴史は千数百年前にまで遡ることができるそうで、爾来時々の天皇や戦国武将などにも愛好され、獲れた鮎は彼らに献上されていたそうだ。明治以後も鵜飼の鮎は宮内庁に献上されており、鵜匠は今でも宮内庁の職員だという。国家公務員というわけだ。 鵜の捕らえる鮎は鵜の首の途中で絞められてショック死するので、針などによる傷が付いておらず、突然死の故に味も損なわれないのだそうだ。 確かにこれから獲れる新鮮な鮎を塩焼きにし、蓼酢に浸していただくのは美味しい。香魚という名に恥じない微かな香りと、内臓にある苦味は、新緑を前に一献傾けながら戴くのにはまことに相応しい。 それにしても、今日のような天候では、折角の鵜飼開きも寒いことだろう。残念なことである。 鵜の喉越しの鮎は高くて中々戴けないが、そろそろ普通の鮎でも良いから食べてみたいものだ。 何年か前の5月に、友人と横浜の倉庫街から山下埠頭に向けて歩いていた時のこと。 「あっ、クローバーだ。」と声を上げて通りかかった草むらの緑に向かって走っていらした。この人は「四葉のクローバーを探すのだ!」と緑の中でご執心であった。その内今度は「あっ、シロツメグサが咲いている。」とおっしゃった。見ればクローバーの花がそこ此処に咲いているのである。 どうもこの人にとっては、クローバーとシロツメグサは別物として記憶されていたようだ。 クローバーとシロツメグサは同じ草の英語名と和名である。これは、明治の頃飼料として輸入されたものが野生化したものだという説がある一方で、幕末にオランダから幕府に献上されたガラス器などワレ物を運ぶ箱の中に、緩衝・充填材として、この草を乾燥したものが詰められ、その中に混じっていた種が自然に蒔かれて広がったという説もある。恐らくはその両者ともが正しいのだろうという気がする。 クローバーの和名には「ウマゴヤシ」(馬肥やし)というのもあるし(但し「ウマゴヤシ」には、マメ科のウマゴヤシ属に属する別の植物もある)、シロツメグサを漢字で書くと「白詰草」で、緩衝・充填材として用いられていたことが知れる。 クローバーの葉は、3小葉からなる複葉だが、時に4小葉やそれ以上のものもあって、特に4小葉のものは「四つ葉のクローバー」として珍重される。但し、四葉以上のクローバーも有って、今までには56小葉のものまで見つかっており、途中で葉の枚数でギネスブックに載せることが断念されたのだそうだ。 四葉のクローバーは幸運をもたらすと言われているが、五つ葉のクローバーは特に金銭面での幸運をもたらすと云われ、逆に二つ葉のクローバーを見つけると不幸が訪れるとも言われているそうである。 花言葉は意外や意外、「復讐」。 他にも、「約束」とか「私を想ってください」というのがあって、むしろそちらの方が有名だ。恐らく「約束を破ったら承知しないぞ!」とか、「私以外の人を想ったら怨んでやる!」ということに繋がって「復讐」という花言葉になるのだろう。 事ほど左様に、愛や善意と怨念や復讐とは表裏の関係なのだ。 それにしても、草の部分はクローバーで、花の部分がシロツメグサというのはユニークだ。私はその人の「誤解」を正さないままにしてある。その方がこの先面白い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.05.11 17:58:48
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