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マックの文弊録

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2010.06.14
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カテゴリ:そこいらの自然
☆ 6月14日(月曜日) 旧五月三日 乙未(きのと ひつじ) 先勝:

グッピーという魚がいる。手軽に飼うことが出来る観賞魚として我が国でも広く普及しているらしい。このグッピーはラテンアメリカ原産のカダヤシ目、カダヤシ科、グッピー属に属する魚だ。簡単に言えば、要するにメダカの仲間である。19世紀の中頃にイギリスのグッピーさんという植物学者が発見したので、グッピーという名がつけられたそうだ。このグッピーは卵胎生といって、雌は受精した卵をお腹の中で孵し、稚魚としてお産をする。

水槽の中のグッピーグッピーが観賞魚として飼われている所以は、雄のグッピーが形も色も派手で、体の模様にも様々なヴァリエーションがあるせいである。環境さえ整っていれば飼育も繁殖も容易で、集団で群泳させておくだけでどんどん増える。このグッピーの体色や体型に関わる遺伝子は非常に変化が早いという特性を持っている。雌の産卵周期は一ヶ月くらいだそうだから、1年もすれば約十世代の世代交代があることになる。だから体色や体型もこの過程でどんどん変化していく。少なくとも世代交代周期が50年ほどもかかる人間と較べれば、グッピーの世代交代のスピードは数百倍も速いことになる。
※ ただし市販されているグッピーには、生存を阻害するウィルスのキャリアも多いそうで、実際の飼育にはグッピーの購入時からも細心の注意が必要だそうだ。

さて自然の摂理で、グッピーにも捕食者がいる。捕食者はやはり魚だが、グッピーにとっての強力な捕食者から、そうでもないものまで、数種類の「敵」がいるのだそうだ。

偶々強力な捕食者と共存する野生環境(こういう環境を捕食圧が高いという)では、雄のグッピーの色は地味で、体の模様も川底の砂利などと紛らわしい。要するに保護色になったままで、観賞用には適さないそうだ。
ところが、捕食者がいない、或いは捕食者がいてもそれほど強力ではない種類の環境、つまりは捕食圧の低い環境では、世代を重ねるごとに雄の体色はどんどん派手になっていく。模様も川底の地砂利とは関わりなく、大きく複雑になっていく。

これは要するに性的なアピールのためなのだ。グッピーの雌にとっては派手な模様の雄がより魅力的に見える(これは一部の人間の女性にも共通するな)。
強力な捕食者がいて、生きながらえることが最重要課題である環境では保護色が優先されるが、平和な環境になると今度は雄の中での競争が優先されるようになるのだ。

これは、イギリスの進化遺伝学者のジョン・エンドラー(J.A. Endler, PhD.)先生による仕事だ。ちょっと驚くのは上のような結果を得るまでに、高々数年の期間しか要しなかったことだ。

平和環境におけるグッピーの変化は体色だけではなく、群れ全体の変化ももたらした。
平和環境のグッピーは、捕食圧の高い環境のグッピーに較べて、相対的に性的成熟に要する期間が長く、体も相対的に大きく、産仔数も少なく、そして生まれてくる稚魚の体は大きくなったのである。

進化の存在証明この辺の話は、「利己的な遺伝子」で有名になった、リチャード・ドーキンス(Richard Dawkins)の最新刊である、「進化の存在証明」(垂水 雄二訳;早川書房2009年11月)に詳しい。

グッピーの例を見る限り、世の中が平和になると;
? 段々体は大きく、見かけは派手になり
? 子供のままでいる期間が長く
? 中々成熟した大人にならず(つまり婚期は遅くなり)
? 少子化が進む
と、こうなる。

少子化は先進国家共通の大問題で、とにかく若者が居ない事には国には税金も入らず、GDPを増やすことも出来ないから、日本を含む各国では少子化対策に腐心している。
大方は、社会環境や雇用環境を改善・充実させ、親になるべき世代の生活を安定させることで出生数を増やそうという点では共通している。

しかし、上のグッピーの例を見る限り、こういう事では逆効果になりそうだ。逆効果とはいえないまでも、積極策とはとても云えなさそうである。

私は戦後のベビーブームのピーク世代である。
物の本によれば、戦争に負け、方々から出征兵士が帰ってくる。敗戦国に必至の未曾有の不景気のせいで職も無く金も無く食料も無い。文字通り国民の大半は飢え死にの瀬戸際だ。将来に対する不安も半端なものではなく、子供を産んでも安心して育てられるような見通しはない。つまりは明日をも知れぬ生活だったそうだ。
それなのに、決して希望など持てなかった時期に、なぜ日本全国であんなに大量の子供が生まれたのか?

これも上のグッピーの例を見れば何となく理解できそうな気がする。要するに「捕食圧」ならぬ「種の保存」或いは「民族の保存」に対する「負圧」、つまり危機感があったのではなかろうか?

そうなると、日本の少子化傾向に抜本的な歯止めをかけるためには、どうすれば良いのだろうか?少なくとも現在のような「親になるべき世代の生活改善」では駄目そうである。

それに、第一「これ以上人間が増えていって良いのだろうか?」という本質的な疑問もある。
ある試算によると、今のペースでこのまま世界の人口が増えていくと、2千数百年後には(人口×体重)が地球の総重量と等しくなってしまうのだそうだ。





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最終更新日  2010.06.15 16:40:39
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