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マックの文弊録

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2010.08.30
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カテゴリ:薀蓄
☆ 8月30日(月曜日) 旧七月二十一日 辛亥(みずのえ ね) 先負: 

【人間は考える竹輪である ? (4)】

《我われは流れに浮かぶ竹輪である》
我々が普段体の表面だと思っている部分だけでなく、「体の中」だと思っている胃や腸の表面も、実は元を質せば竹輪の(内側の)壁で、つまりは体表と同じ「外側」なのだと、今まで繰り返し述べてきた。つまり、「おなかは中ではない」。

我々の体の本当の内側は、竹輪の肉の部分なのだ。言い換えれば生き物としての我々のアイデンティティは「竹輪の肉」にこそある。我々は、この竹輪の肉を、養い育て、外界に対して防御することを所与の作戦としているのだ。

我々の体は約60兆個もの細胞から出来ているそうだ。
そして毎日その20%ほどが死んで新しく生まれ変わっている。20%といえば約12兆個だ。つまり約1億4千万個もの細胞が、たった一秒の間に世代交代していることになる。
そうなると、明日のあなたは、今日のあなたの8割しか「あなた」ではない?(残りの2割は誰だ!?)

我々は、毎日水を飲み、ものを食べ、排泄をしている。呼吸もしている。その過程で行動したり考えたりするエネルギーを獲得し、連日全細胞の2割を更新している。

山奥の渓流。そんなイメージを思い浮かべよう。
川の流れがあるところまで来ると、一旦淀んで淵を作る。水は淵の中で緩やかに還流した後、やがて反対の端から下流に向かって又流れ去っていく。生命とはそんなものだといえるかもしれない。

そうなると、我々は淵に浮かぶ竹輪のようなものだ。水は常に淵に流れ込み、くるくる回っては再び流れに戻っていく。そこに竹輪が浮かんでいる。竹輪の一部が水に溶けて流れ去ると同時に、又新たに竹輪の一部が作られてもいる。竹輪も大きな眼で見れば流れの一部であるのだ。

こうして、我々は常に流れの中にある。その流れの中から必要なものを吸収し、竹輪の肉にしなければならない。不要になったものは流れに戻さなければならない。流れの中には色々なものも混じっている。だから、必要以外の様々な異物が入り込む可能性がある。我々のアイデンティティを守るためにはそういった異物が体の「内部」に入り込まないようにしなければならない。

《マイ・タンパク質しか意味は無い》
アミノ酸の一つグリシン我々のみならず地球上のあらゆる生き物はタンパク質によって作られている。タンパク質はアミノ酸というものが沢山連なったものをいう。
アミノ酸は更に分解すると、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、窒素(N)になる。一部には硫黄(S)も含まれている。これらは全て地球上ではありふれたものばかりである。地球上に生命が生まれる際には、こうした何処にでもあるありふれたものを材料にしたのである。

これらの材料が組み合わさって出来上がる有機化合物であるアミノ酸は約500種類以上あるが、地球上の生物はこの内20種類を、体を構成する材料として使用している。この20種類は、長いながい生命の歴史の中で選び採られたものである。アミノ酸の一つカルボン酸

言い換えれば、すべての生き物、そして我々の体は、20種類のアミノ酸を様々に組み合わせたタンパク質で出来ているのだ。

ところでこのタンパク質は何種類くらいあるのだろうか。
なんとその数は数千万種類にも及ぶのだそうだ。これはちょっと確かめてみればすぐに分かる。例えば、アミノ酸が5個つながって出来ているタンパク質があるとする(アミノ酸が5個というのはタンパク質としては単純な方だ)。それぞれのアミノ酸は20通りの選択可能性があるのだから、20を5回掛け合わせる、つまり20*20*20*20*20=320万種類ということになる。

これだけの多くの種類のタンパク質の中で、我々人間は約10万種類のタンパク質を選び出して、体の材料にしている。
選ばれたタンパク質以外は、我々にとっては異物である。我々のアイデンティティを維持していくためには、これらの異物は体の「内部」つまり竹輪の肉の方には入れてはいけない。

実際のタンパク質は、アミノ酸が数十から千以上、複雑に組み合わさって出来ており、体の各部位を形造ったり、我々の体が様々な生理作用を営む際に使われている。
タンパク質の主な働きを列挙すると;
(1) 酵素:代謝などの化学反応を起こさせる。
(2) 生体構造を形成する。
(3) 生体内の情報のやりとりに関与する。
(4) 運動に関与する。
(5) 免疫を司る抗体として働く。
(6) 栄養の貯蔵・輸送に関与する。
などなど、およそありとあらゆる生命現象はタンパク質の働きによっているのだといえる。

高分子有機化合物であるタンパク質は、その構成の仕方により、折れ曲がったり畳み込まれたりと、複雑な三次元構造を持つようになる。この構造によって、上に掲げたような機能が生じてくるのである。つまりこの構造が異なれば、上記の機能は発動しないか、発動しても誤った動作をもたらしてしまう。そして、類似のタンパク質であっても、生物の種が異なればこの構造が異なるが普通である。

ある生き物にとって有用なタンパク質は、アミノ酸が多数結合する時の順番が自らのDNAによって、きっちりと記述されている。その結果その生き物にとって必要なタンパク質が、誤ることなく用意されることになるのだ。

つまり我々にとってのタンパク質は「マイ・タンパク質」しか意味が無い。他の生き物のタンパク質を持ってきても、それは我々にとっては基本的に異物でしかないのだ。

タンパク質の一つミオグロビンそうはいっても、我々は炭素や窒素などから直接タンパク質を製造する機能を持っていない。だから他の生き物の体を戴くのだ。野菜にしろ、魚にしろ、獣肉にしろ、我々は他の生き物を殺して食べることによって、エネルギーや体の源とさせていただいているのである。

そうなると、元来異物であるタンパク質が体の「内部」に入り込まないようにするにはどうするか。
我々の体は、極簡単に「タンパク質は取り込まない」という作戦を採用したのだ。つまり、疑わしきもそうでないものも、タンパク質は取り込まない。その代わりに高分子であるタンパク質をどんどん切り離していき、アミノ酸の形にまで小さくして、そこで初めて体の「内部」に取り込むのである。アミノ酸の形にしてしまえば、どの生き物にとっても共通の20種類に落ち着くのだ。
これが「消化」である。
アミノ酸さえあれば、必要なタンパク質は体の中で作ればいいのである。

「よく噛んで食べないと消化に悪いよ」といわれるが、これは消化の極始めの段階しか捉えていない。つまり、「消化」とは、先ず口の中で咀嚼して他の生き物の体を細かく砕き、それを飲み込む。それが胃から腸へと「竹輪の内側の皮」を通過していく過程で様々な酵素を投入して、タンパク質の鎖を断ち切り、アミノ酸にまで分解する。それまでの一貫した過程のすべてをいうのである。

アミノ酸の形になって初めて、竹輪の内側の皮に並んでいる細胞の膜が、「栄養物」だとして竹輪の肉の方に選択的に通してくれるようになる。それまで、つまりアミノ酸にまで分解される前のタンパク質は、我々の体にとってはエイリアンなのだ。だから、アミノ酸まで分解されなかったタンパク質は、そのまま排泄されてしまうことになる。

我々の体は、自らのアイデンティティを守るために、異物に対しては様々な対抗手段を用意している。アレルギーやアトピー、拒絶反応、それに炎症などは、すべてこの対抗手段の発現の結果なのだ。

つまり、あるタンパク質が足りないといって、タンパク質を食べることなんて、全く意味が無いのである。





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最終更新日  2010.09.02 13:40:57
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